Waseda Weekly早稲田ウィークリー

コラム

【早稲田演劇の今】早稲田小劇場どらま館レビューVol. 2 システマアンジェリカ×亜人間都市

2015年4月30日、早稲田キャンパス近くの南門通り商店街にグランドオープンした早稲田演劇の拠点「早稲田小劇場どらま館」。開館から約1年、多くの団体がその舞台を彩ってきました。毎日一番近くでステージを見ている劇場スタッフが、公演模様をレビューとしてお届けします。

Vol. 2 2016年3月19日(土)~21日(月)

システマアンジェリカ×亜人間都市『サイバネティック、ゴースティック』

劇場内に入場して違和感を覚えたのは、客席が外扉からの自然光の光のみであったこと。一般的にはこういった小劇場での演劇では、暗幕などを用いて自然光を全て遮り、入場時には客電といわれる客席を照らす照明機材が設置されています。しかし、この公演では、客電はもとより舞台上にも一灯もつられていませんでした。

Photo:飯田奈海(以下、全ての写真)

舞台上は、真っ黒な床に白い布が幾何学的に配され、中央には大きなスクリーンが設置されるというシンプルな舞台作りとなっていて、舞台に明かりをもたらしているのは1台のビデオプロジェクターのみでした。

小劇場演劇で最初にビデオプロジェクターによる演出を取り入れたのが誰かは分かりませんが、20年ほど前の早稲田演劇においてはすでに取り入れられ始め、今は映画監督としても活躍されている三木隆浩氏などが映像制作として携われていたのを覚えています。

小劇場演劇の中では、さまざまな演出手法の下、映像が使われてきました。しかし、それらの多くは補助的なもので、特に共に「明るさ」をその表現手段とする照明とは排他的なものでした。この公演ではそれを逆手に取り、映像だけで「明るさ」を表現しながら、映像だからこそできる、シンプルな舞台をベースとしたシーンごとの空間作りをたくみに達成していました。

演劇では、しっかりと練られたストーリーや演者の華麗な演技に目を奪われがちです。早稲田小劇場どらま館のように小さい空間では演者との距離が近いので、よりその傾向があるかもしれません。

しかし、演劇はそれだけでは成り立たず、劇場全体の空間を使って表現することによって完成するのです。そのための舞台美術であり、照明・音響であるわけですが、今回はそれをシンプルに、照明に至ってはなくしてしまうことで映像による演出を際立たせ、新しい空間全体の演出にチャレンジしています。このことは、演者のセリフを重視した動きの少ないこの舞台では、より効果を高めた演出となっていました。

image5

これらは、商業的な演劇ではエンターテインメント性に偏ってしまうのに対し、学生たちだからこそできるチャレンジングな演出であったのだと思います。

実験的であったからこそ、まだ粗削りなところもあり、決して技術レベルとしては高いものではありませんでしたが、その発想は新しく、これからも学生ならではの制約条件にとらわれない、自由なチャレンジを続けていってもらいたいと思います。

(早稲田小劇場どらま館スタッフ)

関連リンク

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