Waseda Weekly早稲田ウィークリー

学生注目!

100本中97本的中で都内学生トップに 早稲田の”与一”が弓道で得た自信

「自分に甘えずに最後まで戦い抜けるか、そこを克服していくのが楽しみ」

スポーツ科学部 4年 牧山 千莉(まきやま・せんり)

毎年5月に明治神宮の弓道場で開催され、一人100本の矢を射て的中数で勝敗を競う「百射会(ひゃくしゃかい)」(※)。弓道部にとって唯一個人戦だけの大会で、1試合で100本もの弓を引くのが百射会の最大の特徴です。2018年の第56回大会で、64連続、合計97本を的に中(あて)て優勝した弓道部男子主将の牧山千莉さん。28メートル先にある直径36センチの的の中心を目掛けて弓を引き続け、約8時間にもおよぶ戦いを制することができた理由は? 牧山さんに弓道の魅力や今後の目標などを聞きました。

※「東京都学生弓道連盟」主催の個人戦。連盟に所属する50の大学から、代表1~2名が出場する。各自100射で勝敗を決定し、同じ的中数の場合は連中数により優勝者を決める。

――弓道を始めたのはいつですか?

高校入学と同時に始めました。兄が弓道部に入っていて、見ていて面白そうだと思ったからです。僕は小学校でサッカー、中学ではソフトテニスと、動きのあるスポーツをやっていたのですが、ちょっと違った視点からスポーツに関わりたいと思ったことも弓道を始めた理由の一つです。

最初はうまくいかず、なかなか成果は出ませんでした。でも幸運にも、入学と同時に弓道経験のある先生が赴任してきて、弓道部の顧問になってくださいました。形を一つ一つ丁寧に指導してくださったおかげで徐々に上達していき、高校2年の夏のインターハイでは全国4位に入賞することができました。

 

――優勝した百射会とはどのような大会ですか? 長時間の戦いと聞いていますが、どのように臨んだのでしょうか?

百射会の優勝カップ

通常の大会は団体戦と個人戦があり、4本の矢を引いて的中した数を競いますが、百射会は個人戦のみ、100射を引いて総的中数で順位を決める唯一の大会です。12人1グループとなり、一人1回4本の矢を引いたら退場し、次の順番が来るまで20分ほど待ちます。それを25回繰り返すので約8時間もの長丁場となります。僕は2回目の出場でしたが、前年は87本の的中で6位と納得できる結果ではなく、悔しい思いをしました。そこで、まずは前回の記録を超えること、そしていい弓を引いて終わることを目標に臨みました。

正直、97本も中るとは思っていませんでした。さらに64連中は試合における自分の新記録…。すごく集中できていたと思います。弓道の大会では、選手には必ず「介添え」が付くのですが、このとき付いてくれた同期と休憩時間に話をしたりしてかなりリラックスできていたので、気持ちの切り替えが良い結果に結び付いたと感じています。

――弓道では日ごろどのような練習をするのですか? 牧山さんのように上達するために必要なことは何でしょうか?

弓道は初心者でもできるスポーツで、基本的に運動神経は関係ありません。他のスポーツのように走り込んだり、筋トレをしたりするということはなく、練習はひたすら弓を引くことです。

うまくなるには、一つはやる気があるかどうか。そして次に大事なのが練習量です。上達するまでにはいろいろな段階がありますが、弓道は才能ではなく、自信を付けることによって成長できるスポーツだと思っています。その自信を付けるためには、やはり練習量を増やすこと、努力できるかどうかということが重要です。試合のときは精神的な強さも大事ですが、それも同じですね。

――弓道の魅力、また難しいと思うことを教えてください。

試合では相手もいますが、最後は自分と的との闘いになります。いかに自分に甘えずに最後まで闘い抜けるかということが大事で、そこを克服していくことが楽しみです。サッカーなどはチームプレーの良さもありますが、弓道は研鑽(けんさん)を積めば、それが自分に返ってくるところが魅力です。

難しいのは、”同じ弓”を引けるわけではないということです。自分には自分の理想の射(弓を射ること)があるのですが、一度できたと思っても次に同じ射ができるとは限らない。毎回、思い描いているイメージと少しずつ違ったりするので、何がいけなかったのか、次はこうしようと考えてまた次の弓を引きます。そういった反省と改善の繰り返しを自分でしていくところが難しいところです。

――これから大学最後のシーズンを迎えます。今後の目標を聞かせてください。

2018年全国大学弓道選抜大会にて。奥左から2番目が牧山さん

早稲田大学の弓道部は、日本一を目指して日々練習をしています。昨年は団体で準優勝までいきましたが、日本一から遠ざかっているので、まずはそこの目標に向かってチーム全員一丸となって、一人一人が戦っていけたらと思っています。シーズン最後の11月に「全日本学生弓道王座決定戦」があり、これは8月の「全日本学生弓道選手権大会(インカレ)」と、秋に行われるリーグ戦の優勝チームが出場できます。そこを目指して、王座決定戦で日本一になるのが目標です。

高校から弓道をやってきて、いろいろな方にお世話になりました。その方たちへの恩返しも含めて、卒業して就職しても弓道を続け、将来は国体(国民体育大会)の選手になって優勝したいですね。出身地の千葉県へ恩返ししたいと思っています。

撮影=石垣星児

第726回

2018年1月、京都・三十三間堂大的大会(通し矢)にて同期と(後列右から3番目が牧山さん)

【プロフィール】
千葉県出身。県立千葉高等学校卒業。2015年10月「第70回紀の国わかやま国体」弓道高校生の部で優勝。早稲田大学弓道部で印象に残っている試合は、昨年6月に「全国大学弓道選抜大会」団体で準優勝できたこと。「1、2年のときは予選落ちしたりと、試合で結果を出せていなかったので、チーム全員で準優勝という結果を残せたことがうれしかった」そう。「田無学生寮」に住み、大学生活は授業と練習の毎日。ゼミは志々田文明教授(スポーツ科学学術院)の「スポーツ思想史」。趣味はスポーツ観戦で、空き時間に部員とサッカーをして遊ぶこともある。

早大生のための学生部公式Webマガジン『早稲田ウィークリー』。授業期間中の平日はほぼ毎日更新!活躍している早大生・卒業生の紹介やサークル・ワセメシ情報などを発信しています。

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