Waseda Weekly早稲田ウィークリー

学生注目!

学院卒コンビ、メルケル首相と面会 独文化伝える授業企画案コンテスト優勝で

「ドイツ語は世界を広げるためのツール」

政治経済学部 3年 一圓 涼介(いちえん・りょうすけ)
基幹理工学部 3年 阪井 健人(さかい・けんと)

左から、一圓さんと阪井さん

早稲田大学の附属校である早稲田大学高等学院(以下、学院)は、高等学校でありながら第二外国語を3年間必修としている極めてまれな学校です。そんな学院でのドイツ語履修がきっかけとなり、現在はさまざまな形でドイツと関わるようになったという政治経済学部の一圓涼介さんと基幹理工学部の阪井健人さん。今年2月に来日した独・メルケル首相と面会するチャンスにも発展しました。二人のドイツ語との関わりの始まり・現在・今後について聞きました。

――ドイツ連邦共和国のアンゲラ・メルケル首相と対談をされたとのことですが、どういったいきさつがあったのでしょうか?

独・メルケル首相と面会。握手しているのが一圓さん

一圓 面会の場にお声掛けいただけたのは、「ゲーテ・インスティトゥート東京(東京ドイツ文化センター)」というドイツ文化振興のための団体が主催する、「Hallo Deutschland 2018」という小学生に向けてドイツの文化を伝える授業案を作成するコンテストに阪井と二人で応募し、最終的に優勝し日本選抜に選ばれたことが直接のきっかけでした。

阪井と二人での優勝でしたが、面会の場では人数の関係で僕が代表してお会いしました。もともと優勝者が首相と面会ができるといったたぐいのコンテストではなかったことと、メルケル首相と実際に交わした会話は自己紹介の他は二言三言であったため、当時はあまりすごいことをしたという実感はありませんでした。しかし、この面会の記事を見た知人から連絡が来たりと、その後の周囲からの反響が大きく、その機会の貴重さは後から実感したものでした。

「Hallo Deutschland 2018」 各国の選抜チームとの集合写真(後方右端が一圓さん、その隣が阪井さん)

阪井 コンテストへは一定程度のドイツ語の語学能力があるペアで参加する必要がありました。授業の企画案をドイツ語で作成したものを提出し、書類選考を経て、その後二次選考として審査員4~5人の前でドイツ語でのプレゼンを行いました。大学のテスト期間の真っ最中だったので、かなり大変でしたが、振り返ってみると両方ともやらなければいけない状況下で、かえって計画的に準備を進めることができたとも思っています。

――どんな授業案を提案したのですか?

一圓 あらかじめテーマだけ与えられており、それを軸にして授業を組み立てました。今回のテーマは「eスポーツ」についてでした。

阪井 相手が小学生なので、どこまでドイツやeスポーツについての前提知識があるかは企画段階では未知数でした。そのため授業計画にはある程度の余白を持たせ、生徒の反応を見ながら臨機応変に対応することを想定しました。実際、授業の冒頭でドイツについてのイメージを聞いたところ、「ナチス」や「工業国」といった答えが返ってきて面食らいました。「小学生ならサッカーだろ」とタカをくくっていたので(笑)。

一圓 僕らの案の特徴は、まずは興味を持ってもらうことが大事だと考え、ドローンを使った参加型のミニゲームを自分たちで考えたところにあります。スクリーンに映し出されたドイツ語の単語カードを、ドローンカメラの目線のみで教室内から探し出すというものです。ドローンの目線で探すこと自体がeスポーツの本質をつかんでおり、このゲームで自分たちの授業案にオリジナリティを出しました。

「Hallo Deutschland 2018」で提案した企画で実際に授業を行っている風景
(写真左)eスポーツについて知っていることを小学生に質問している様子
(写真右)ドローンカメラの目線で小学生が単語カードを探している様子

阪井 こうしたゲームを通じて生徒の自発的な参加意識を促し、双方向的な授業となるような構成が選考では評価されたのだと思います。実際の授業でも、ドイツの授業自体が日本と比べて双方向的な面が強いことから、授業を通してドイツスタイルを伝える意図も成功したかなと実感しています。

今回の一連の取り組みによって、これまでのドイツ語自体を学ぶ視点から、ドイツ語を使って何かを伝えることの楽しさを学びました。

――そもそも二人がドイツ語を始めたきっかけは?

一圓 僕たちが通っていた早稲田大学高等学院では1年生のときから第二外国語が必修科目となっていて、入学前にフランス語・ドイツ語・ロシア語・中国語の4つの中から一つを選ぶ必要がありました。当時は「哲学をやるならドイツ語」や「人口が多い中国語」などの発想はできず、ただ単にカッコ良さそうかどうかが基準でした。

阪井 僕はなんとなく「後々理系に一番役立ちそうなドイツ語」と考えていたのを覚えています。

――ドイツ語と聞くと、固くて難しそうなイメージがありますが…。

一圓 今回の取材を受けるにあたり、ドイツ語の先生からは「ドイツ語は『難しくない』『とっつきやすい』と宣伝してきて」と言われましたが…実際難しいです(笑)。というのは半分冗談で、英語と似ている分とっつきやすさもありますし、発音も比較的簡単な方だと思っています。続けられた理由としては、僕の場合、憧れていた学院に何とかして入れたことがうれしくて。でもその分、入学直後は周囲に対して劣等感を抱いていた時期がありました。ただ、他のことは劣っていても、ドイツ語であればスタートラインは皆同じだろうと考え、一生懸命勉強しました。やればやるだけ学力が伸びていくのが分かり、それが楽しかったというのが大きかったと思います。

学院時代の「国際ドイツ語オリンピック2016」日本代表選考会で。阪井さん(写真左)が金賞に、一圓さん(写真中央)は銅賞に輝いた

阪井 僕たち二人が出会ったきっかけは、ゲーテ・インスティトゥートが学院をパートナー校として指定しており、ドイツに3週間無料で行ける「Jugendkurs(ユーゲントクルス)」というプログラムが提供されていて、学院に与えられた二枠に入ることができたのが僕と一圓でした。そこで得た刺激がその後の学習意欲につながったのは確実です。二人とも学院出身ではあるのですがクラスも違ったため、これがなければ出会わなかったかもしれません。

一圓 そういう意味でも、僕らの原点は学院にあります。学院では、大学受験がない環境で3年間本当に自由に好きなことをやらせてもらえました。周囲の生徒や先生もいろんなことに打ち込む人がいて、勉強の切磋琢磨(せっさたくま)だけではなく、あらゆることで刺激を与えてくれました。学院に入る前までは、専門分野の勉強はそれだけに特化してやっていればいいと思っていましたが、専門分野をやるにしてもさまざまな知識や知的好奇心が必要だということを教えられました。学院時代の恩師も、元々理系だったのが文系に転じたりと、学問の自由さや奥深さは学院で学んだ一番大きなことです。

(写真左)Jugendkursで行った初ドイツでのツーショット
(写真右)Jugendkurs参加各国のメンバー。この交流がその後のドイツ語に対する勉強意欲に直結したという

――今後の進路についてはどう考えていますか。やはりドイツ語を生かした分野に進まれるのでしょうか。

阪井 現在学部では機械工学を専攻しており、将来は金属材料の研究に携わる仕事がしたいと思っています。あくまでもドイツ語ありきの選択ではなく、プロセスの中でドイツ語が生きてくればうれしいです。

一圓 まだ進路は決めかねています。ただ、ドイツ語を学んだことで、日本語だけしか知らないときと、英語もドイツ語も知っている今とでは同じ景色を見たときにも全然違う切り口で見えることを実感しているため、世界を広げるためのツールとして何らかの形でドイツ語を今後も活用して行きたいと考えています。

第725回

【プロフィール】

一圓 涼介

神奈川県出身。早稲田大学高等学院卒業。自分を変えてくれた学院への恩と愛情から「生まれ変わっても学院に入りたい!」と語る。好きな言葉は「Übung macht den Meister(名人も練習次第)」。現在力を入れているのは政治学のゼミで、世の中の現象をデータをもとに因果関係を特定していく実証分析を学んでいる。

 

阪井 健人

千葉県出身。早稲田大学高等学院卒業。ドイツの好きなところは「なんと言ってもビールがうまい!」ところだという。「Man lebt nur einmal in der Welt(人生は一度きり)」をモットーに、普段は公認サークル「TAP-LOVERS」の練習に日々打ち込んでいる。

Page Top
WASEDA University

早稲田大学オフィシャルサイト(https://www.waseda.jp/inst/weekly/)は、以下のWebブラウザでご覧いただくことを推奨いたします。

推奨環境以外でのご利用や、推奨環境であっても設定によっては、ご利用できない場合や正しく表示されない場合がございます。より快適にご利用いただくため、お使いのブラウザを最新版に更新してご覧ください。

このままご覧いただく方は、「このまま進む」ボタンをクリックし、次ページに進んでください。

このまま進む

対応ブラウザについて

閉じる