Waseda Weekly早稲田ウィークリー

学生注目!

早大自動車部女子レーサー アクセル全開の恐怖超え 関東学生ダートでV

「車の力を最大限使ってあげることで成果を出すことができます」

商学部 3年 城越 明日香(しろこし・あすか)

f 優勝した全関東学生ダートトライアル選手権大会女子の部の表彰式で。真ん中に立つ城越さん(写真提供:早稲田大学自動車部)

今年6月に開催された全関東学生ダートトライアル選手権大会女子の部で優勝した商学部3年の城越明日香さん。滑りやすいダート(未舗装)の路面を走るレースは、モータースポーツの中でも高度なテクニックが要求されると言われています。大会当時、早稲田大学自動車部で唯一の女子選手であった城越さんに、練習や自動車部ならではの苦労、そして今後の目標などを聞きました。

――自動車部に入ったのはなぜですか? モータースポーツにはどのような競技があるのでしょうか?

入部は新歓で声を掛けられたのがきっかけです。それまで自動車部の存在は知らなかったのですが、父が以前にモータースポーツをやっていたので、小さいころ家族と筑波や鈴鹿のサーキットへ父のレース観戦に行っていました。その話をしたら「自動車に興味を持ってくれる女子はなかなかいない。君は逸材だ」と、まんまと口車に乗せられてしまいました(笑)。また、運転免許が必要なモータースポーツは大学から始めるため、競技人口が少なく、1位を目指しやすいスポーツだと思ったことも理由でした。

競技は、舗装路面のコースを走行してタイムを競う「ジムカーナ」と、未舗装のコースを走ってタイムを競う「ダートトライアル」、縦列駐車やスラローム(意図的に行う蛇行走行)など、狭いスペースの中でいかに素早く車を操れるかという運転の正確さを競う「フィギュア」の3種類があり、どの競技も1台ずつ走行します。

――6月に開催された全関東学生ダートトライアル選手権大会で優勝されました。どんな大会でしたか?

初めてのダートの大会だったので、チャレンジャーとして臨みました。今年は法政大学や慶應義塾大学など4年生の選手層が厚く、一方で3年生の選手は少ないため、早い段階から来年は勝ちが狙えると分かっていました。だったら「今年勝つことに意味がある」「今年勝てなければ強くなれない」と思いました。

モータースポーツはとにかくアクセルを踏むことが大事ですが、女子は怖がってなかなか踏み込めません。また、ダートは車のリア(後方)をスリップさせ、進行方向に対して斜めに走行させるドリフト走行すると速く走ることができるのですが、スピンしてしまったり、滑って制御が効かなくなったりするところが難しいレースです。それでも恐れず、できるだけアクセルを踏む時間を長くするために、コーナーの入り方やステアリング(ハンドル)を切るタイミングを計って踏み出しを早めるなど、レースを組み立て走ったことで優勝することができました。

レース中の城越さん(全関東学生ダートトライアル選手権大会)

試合では車も大事な要素となります。部で所有している車は台数が少ないので、試合の日程が立て込むと専用車両を用意するのは難しいのですが、その中で今回は私専用に女子車両を作ってもらうことができました。150センチの私の体格に合わせてシートポジションを決めたり、サスペンション(※)やタイヤをダートのコンディションに合わせたり、整備担当の部員とミリ単位の調整を繰り返しました。

※ 車輪と車体をつなぎ、路面からの衝撃や振動を吸収して車体を安定させる装置。

5月の全関東学生ジムカーナ選手権大会では成績が振るわず、落ち込んでいた時期もあったので、優勝できたことは今後の大会のモチベーションになりました。ただ…全力を出しすぎたのか、胃腸炎にかかってしまい、自分の祝勝会に参加できなくて悲しい思いもしました(笑)。

6月24日(日)全関東学生ダートトライアル選手権大会車載動画 午後のタイム:2’05″21(2位との差0.49秒) 試合車輛:トヨタ・スターレット(型式EP82)

――自動車部の練習とは? 大変なことは何ですか?

今回の大会では6月の初めから毎週末会場に足を運び、苦手なS字区間の走りを繰り返しました。練習で大変なのは時間と金銭面です。運転自体は日ごろから普通車で公道を走っていれば慣れていきますが、試合前の練習はどこででもできるわけではありません。競技仕様の車をトラックで運んで練習するので、週末の限られた時間にいかに集中するかが大事になります。また、競技用の車はもちろん、運搬用トラックのガソリン代や部品代、タイヤ代など、費用の大部分を自分たちで負担します。部で所有している車は20年くらい前のものばかりで故障も頻繁にありますし、金銭的に大変な面もあります。

2017年8月に鈴鹿サーキットで開催された「エコドライブチャンピオンシップ」で

――それでも頑張ることができるモータースポーツの魅力はどんなところですか?

全関東学生ダートトライアル選手権大会のために、城越さん専用に作られた車と

運転するときは、車の調子を音やにおいで感じるなど五感を使ったり、腕の筋肉も必要ですし、見た目以上に体力を消耗するスポーツです。失敗すれば大事故につながることもあります。でも、車と自分の運転に向き合い、車の力を最大限使ってあげることで成果を出すことができます。日常の運転では見えなかった部分が見えてくるんです。ドライビングスキルは一生役立つものですし、モータースポーツは魅力的でかっこいいスポーツだと思います。

――ところで、早稲田大学に入学したのはなぜですか? レースや練習で大変ですが、どのような大学生活を送っているのでしょうか?

両親が早稲田大学出身なので、私も早稲田に入りたいと思っていました。大学では国際マーケティングマネジメントのゼミでグローバル企業やグローバルリーダーの考え方などを学んでいます。早稲田は広くて学生数も多いので活気に満ちあふれていますし、授業の種類もたくさんあって選べるところがとてもいいと思います。今、就活中ですが、自分が成長し続けられるような場所で、ものやサービスを作ることができたらなと思っています。

10月に開催された「五大学対抗フィギュア定期戦」は、早稲田、慶應義塾、立教、青山学院、明治の五大学で競う、全日本フィギュアに向けての前哨戦とも言える大会。城越さんは女子貨物自動車の部で優勝し、この秋に試合デビューした1年生の大沼さん(右)は女子乗用自動車の部で優勝した

――これから試合が続くそうですが、今後の目標を聞かせてください。

まずは11月のフィギュアの大会(全日本学生自動車運転競技選手権大会)で優勝を狙いたいです。もう一つは団体戦に出場することです。女子団体戦は2名から出場できますが、今まで女子部員は私一人だったので個人で戦い続けるしかなく、勝算はあるのに出られず、ずっと悔しい思いをしてきました。でも今年、大沼すず音(国際教養学部 1年)が入部してくれたので、今後は団体戦にも出場することができます。ただ…大沼は来年の夏から留学に行ってしまうんです。なので、それまでになんとしても団体で優勝するというのが二人の目標です。

後列右から4人目が城越さん。前列右から3人目が1年生の大沼さん

第714回

【プロフィール】

福井県出身。福井県立藤島高等学校卒業。学業と部活の傍ら自動車部の活動費のため、企業の社員食堂と自動車メーカーの2つのアルバイトをこなしている。中学、高校はスポーツの中でもハードと言われるバドミントン部に所属。「筋トレや走り込みに耐えてきたので、持久力や忍耐力には自信がある」と話す。現在、マニュアルの普通自動車免許、B級ライセンス、競技車運搬用の中型自動車免許を持っている。

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