馬場下町交差点のシンボルでもあった三朝庵。加藤さんは最終日も番台で注文をさばいた
卵とじカツ丼やカレー南蛮の発祥の店とされ、多くの早大生が通った1906(明治39)年創業のそば屋「三朝庵」が7月31日、惜しまれつつ閉店しました。4代目のおかみ・加藤峯子(かとう・みねこ)さんによると、「おかげさまでお客さんはたくさん来てくれますが、従業員も高齢化し、人手不足で泣く泣く閉店します」とのこと。
三朝庵に嫁いで約60年、長きにわたって番台でお客さんの注文をさばいてきた加藤さん。先代が亡くなったあとは語り部として、三朝庵の歴史を語り継いできました。永い間、本当にお疲れさまでした。
早稲田大学創設者・大隈重信ともゆかりのある「三朝庵」の歴史について、早稲田ウィークリーでは2017年5月、スペシャルイシュー「『カツ丼 早稲田発祥説』を探る」の中で紹介しています。
加藤峯子さんの話
「約60年前にここへ嫁いで来たときに食べたそばが、それまでに味わったことがないくらい美味しかったことを今でも覚えています。早稲田大学の卒業生たちが喜んでくれるのが嬉しくて、これまで頑張ってきましたが、体力の衰えもあって、最近はお客さんが店内の仕事を手伝ってくれるようになってしまいました。しかし、それは私が理想とする店の姿ではありません。本意ではないのですが、体力ももう限界です。今までどうもありがとうございました」
名物のカツ丼と店内に飾られている往年の写真