「日本代表で吸収したことをチームに還元して、大学日本一に貢献したい」
スポーツ科学部 3年 中田 珠未(なかだ・たまみ)
身長182センチという恵まれた体形を生かし、バスケットボール部で活躍中の中田珠未さん。2017年度はユニバーシアード日本代表に選出され、今年は8月からインドネシアで開催されるアジア競技大会の女子日本代表候補メンバーにも残っています。トッププレーヤーとして忙しいスケジュールをこなしながらも、早大バスケ部員として2014年度以来の全日本大学バスケットボール選手権大会(インカレ)日本一を狙う中田さんに、大学や日本代表のことについて話を聞きました。
――バスケットボールを始めた年齢やきっかけを教えてください。
バスケを始めたのは中学1年生のときです。小学校で金管楽器のバンドに入っていたので中学でも続けようと思っていたのですが、進学先の吹奏楽部では自分の希望する楽器のパートがなく、演奏できないことを知りました。どうしようか考えていたときに、周りの友達がバスケ部に入部したので一緒に入ることにしました。ちなみに父はバスケ経験者なのですが、勧められたことはありませんでした。
私を含め初心者が多いチームだったこともあり、身長が170センチ近くあって大きいからという理由だけで1年生のときから試合に出てはいましたが、本格的に始めたと言えるのは中学3年生になってからです。バスケの強豪校である明星学園に転校し、系列高校の練習に参加するようになったものの、レベルが違いすぎて最初の数カ月は一緒に練習さえできず、体育館の隅っこでドリブル練習など別メニューをこなしていました。きつすぎて毎日泣いていましたし、辞めたい気持ちもありましたが、もう逃げ出せる環境にはなかったですね。
――早稲田大学にはなぜ入学を決めたのですか?
実は、父が早稲田大学のバスケ部OB、母はバレーボール部OGなので、早稲田には昔からなじみがあったんです。兄やいとこも早大生だったので、進学するなら早稲田という思いがありました。今でもバスケ部OBの方には「小さいときから(私のことを)知っているんだよ」なんてよく言われます。早稲田の場合は推薦だけでなく、一般入試で入ってきた人も部員にいるところがいいと思っています。試合に勝つためには技術面と戦術面の両方が機能しないといけないと思うのですが、特に頭を使う戦術面でそのチーム構成が強みを発揮できていて、良い方向に作用していると感じています。
――日本代表候補にも初めて選出されたんですよね。
日本トップレベルの方たちと一緒ということで空気感が違いますし、緊張感もあって常にプレッシャーを感じます。今までのユニバーシアードやU18などのカテゴリー代表と違って年齢差が大きく、大学生で候補に残っているのは自分を含めて2人だけなんです。大学と日本代表とではどうしてもレベル差がありますし、大学の練習だと思い通りにできることが、日本代表だと通用しないことも多いですが、かえっていい刺激になっています。ただ、日本代表候補の練習合宿期間中に大学の練習に参加することがあったのですが、それぞれ異なる戦術にその都度対応しなければならないのが少し大変でした。
――日本代表候補の練習合宿などで忙しそうですが、学生生活はいかがですか?
昨年はユニバーシアードの遠征が多くて授業にあまり出席できず、なかなか単位が取れませんでした。でも、早稲田は文武両道を大切にしている先生が多いですし、できる限り授業に出席して、課題もしっかりこなすように頑張って取り組んでいます。きついと感じることもありますが、きちんと卒業したいです。授業の中ではやっぱり体を動かす実習が好きで、バスケの単位を取りました。他にも取りたい体育の科目がありますが、楽しみは最後に取っておこうと来年のために温存しています(笑)。
――今年の目標を教えてください。
大学ではインカレ日本一を目指しています。4年生と一緒にチームを引っ張っていく立場になりましたし、日本代表で吸収したことをチームに還元して日本一に貢献したいです。日本代表では、最後まで残ってアジア競技大会に出場したいという気持ちもありますが、初めてのことなのでとにかく必死です。高身長にしては走れる、動けるといったように身体能力を評価してもらっていると思っているのですが、自分はまだできないことが多いですし、もっと成長しないといけないと感じています。バスケを始めたのが遅かった分、技術面や経験値では劣る部分があるものの、その代わりにまだ伸びしろがある、と前向きに捉えて取り組んでいきます。
――将来の夢を聞かせてください。
高校生の頃までは、小さい子が好きだったので幼稚園教諭を目指していましたが、今はプロの世界とか高いレベルでバスケを頑張りたいという気持ちが強いです。最近は男子バスケが熱く盛り上がってきているので、女子もその力を借りつつ、負けないようにしたいですね。
第708回