Waseda Weekly早稲田ウィークリー

学生注目!

自分世代のトレンド発信で女子大生の心をつかむ早大生起業家

 「女子大学生が生活を楽しむためのインフラを創りたい」

文化構想学部 4年 大槻 祐依(おおつき・ゆい)

早稲田大学の起業家養成講座の受講や学内のビジネスプランコンテストで優勝したことなどがきっかけで、シンガポール・ナンヤン理工大学での留学などを経て2017年3月に起業した文化構想学部4年の大槻祐依さん。ファッション、ヘアスタイル、グルメなど、流行に敏感な女子大学生にライフスタイル情報を届けるWebメディア「SUCLE(シュクレ)」を運営しています。メディアはスタートから約半年ですが、写真投稿サイト「インスタグラム」のフォロワーはすでに25,000人以上。次々と口コミでトレンド情報を広げている早稲田発の女子大学生起業家が、ビジネスに対する情熱を語りました。

――「SUCLE」とは、どのようなWebサイトなのですか?

2017年12月半ばにスタートしたWebサイトで、女子大学生向けにファッション、ヘアスタイル、グルメなどの情報を発信しています。SUCLEのインスタグラムやWebサイトを見たユーザーが実際に商品を買ったり、ヘアスタイルや服のコーディネートを参考にして満足感を得て、さらにインスタグラムに投稿するという流れで広がっています。読者が情報に接して終わるのではなく、「このコスメいい。買っちゃった!」と、行動に移すところまで目指しています。読んだだけで終わらず、行動につながる読者が多いのがSUCLEのいい点だと思います。

「100均黒ゴムで簡単アレンジ」の動画は25,000回以上、再生された

――そもそも、文化構想学部に通いながらビジネスに興味を持ったきっかけはどのようなことでしょうか?

渋谷区のシェアオフィス。社員やインターン学生ら6名でメディアを運営している

大学入学当初は起業に全く興味が無かったのですが、グローバルエデュケーションセンターの「起業家養成講座」が“楽単”だと聞いて、2014年の大学1年の春学期に受講したことがきっかけになりました。この授業ではライフネット生命創業者の出口治明さんなど、毎回、各界の起業家がゲストで来て講義する授業です。一流の起業家のお話は大変刺激になって面白く講義を聞くことができました。

最終的に自らのビジネスプランを発表して優劣を競います。新しい事業を考えることは大変わくわくして楽しい経験になりました。今までに無い刺激があって頑張って企画を練ったところ、私は運よく優勝することができました。さらに担当の清水康先生(GEC客員教授)に誘われて、11月に「第17回早稲田大学ビジネスプランコンテスト」(※1)に出場することになりました。このンコンテストは、リブセンスの村上太一(※2)さんなども優勝しているコンテストです。

※1 早稲田大学インキュベーション推進室主催のイベント

※2 2009年、早稲田大学政治経済学部卒業。大学1年の時に「株式会社リブセンス」を設立。2012年10月、25歳11カ月の史上最年少で東証一部上場を果たした。

――ビジネスプランコンテストではどのようなプランを発表したのですか。

「訪日外国人旅行者向け日本文化体験企画運営会社」というインバウンドのプランを提案したところ優勝できました。大学生がアニメやグルメなど自分の得意分野を生かして訪日外国人観光客にマニアックな観光ガイドをするという企画です。今考えると甘いビジネスプランですが、素晴らしいメンターを付けていただいて、訪日だけに限らず世界中でやろうとビジネスプランを練ることになり、いい経験をさせていただきました。

ビジネスプランコンテストの優勝の副賞として2015年2月、アメリカのシリコンバレーで行われた1週間の研修プログラムに参加させていただきました。その研修には起業家や起業家になりたい方が日本全国から参加していました。早稲田大学のビジネスプランコンテストは通常はチームで参加する方が多いのですが、私は一人で参加したので、サンフランシスコの長期滞在が認められました。サンフランシスコでホームステイしながら、シリコンバレーではいろんな起業家に話を聞き、合計5週間ほど滞在していました。

――文部科学省の「トビタテ!留学JAPAN」プログラムで2年生の夏から1年間、シンガポールのナンヤン理工大学に留学してビジネスを学んでいます。起業を考え始めたのはいつからですか。

シンガポールに留学していたときの大槻さん

シンガポールに留学先を決めたのは、これからはアジアの時代ですし、その中心になっている多国籍でダイバーシティなシンガポールがいいと考えたからです。授業では英語でビジネス分野を学んでいました。留学の後半、現地で日本人の女性社長が経営するネイル関係の商品を取り扱う会社でインターンシップも経験しました。また、空いた時間を使ってバックパッカーをして東南アジアを回りました。その頃のアジアの友人たちとの交流は、現在も続いています。

留学から帰国後、就職すべきか悩み、大手企業での就活のインターンも経験しました。ミャンマーに行かせていただき、個性的な友人たちに会えたのも収穫でした。その後、ベンチャー企業でのインターンを考え、東京大学の学生が起業した会社「株式会社Candle」に入りました。女性向けキュレーションメディアなどを運営していた同社が事業売却したときに、事業立ち上げのノウハウを学ぶことができました。それまで自分が社長として起業するつもりはなかったのですが、同年代の学生が次々と起業していく姿を目の当たりにして、「自分もできる」と思い、起業を意識しました。

――「できる」という自信はどこから湧いてきたのでしょうか。

私には何かすごい強みがあるという訳ではありません。根拠のない自信です。しかし、「志」では負けないと思っています。今までの学生生活、留学、部活、インターンなどそれぞれの場面でつらい思いをしながらも最終的に乗り越えて失敗や成功を重ねてきた経験が自分を構成していると思っています。失敗を重ねても志を持って継続すれば、絶対に成功につながると信じています。諦めない気持ち、折れない気持ちが大切です。

――経営上で最も重視していることはなんでしょうか。

若い起業家が集まるという渋谷にオフィスを構えてトレンドを発信

大切なのは数値です。分かりやすい例ではページがどの程度クリックされたかを計る「ページビュー(PV)」や「ページ滞在時間」ですが、スマホ画面に表示された回数を示す「インプレッション」、「いいね」や「クリック」につながった「エンゲージメント」など、指標の全てを数値で計ります。「インプレッション数」分の「いいね数」を計測するなど、どの施策でどの数値が上がるのか、指標を編み出して顧客満足度も判断しています。「自分がどれだけ頑張ったのか」ではなく、例えば顧客満足度が「何%上がったのか」が重要なんです。週ごと月ごと、各担当者が受け持っている数値を追っています。収益は広告収入で得ています。戦略的に運営していかなければならないと思っています。

――まだ、SCULEはスタートして1年たっていませんが、今後はどのように展開していく予定ですか。

女子大学生が必ず見るようなメディアを目指しています。例えば、レシピだったら「クックパッド」、飲食店だったら「食べログ」というようなものがありますが、続々と新しいものが出てきています。SUCLEは写真が中心のメディアです。今の女子大学生は、雑誌も写真に引かれて手に取ると思っています。

そして読者・ユーザーにとってSUCLEは、「こんなアクセサリーがいいよ」「こういうヘアスタイルはどう?」と提案してくれるメディアなんです。インスタグラムの投稿を中心にユーザー同士のコミュニケーションが深まって、ブームやトレンドを生んでいきたいですね。大学生活の中でなくては困るもの、インフラとしてのブランドに育てていこうと思っています。

バナナを使った手作りアイス「生クリームバナナ」を紹介した投稿。100万以上のインプレッションがあり、約12,500の「いいね」がついた

第706回

【プロフィール】東京都出身。吉祥女子高等学校卒業。「早稲田大学には“超”感謝しています」と語る。「全然興味が無かったのに、先生たちに『ビジコンに出てみなよ』と言われて、『何ですかそれ?  出てみたいです!』と出場して。先生たちからビジネスプランのフィードバックをもらって。大学1年生のとき、起業の第一歩を踏み出しました。インターンしたいなと思ったのも全部、早稲田のおかげだと思っています」

 

早大生のための学生部公式Webマガジン『早稲田ウィークリー』。授業期間中の平日はほぼ毎日更新!活躍している早大生・卒業生の紹介やサークル・ワセメシ情報などを発信しています。

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