Waseda Weekly早稲田ウィークリー

学生注目!

内野聖陽氏を輩出「四大学英語劇大会」 早大英語会史上初の4冠独占

「真に心から打ちたい、お客さんを奮わせる芝居」

法学部 4年 寺地 真一(てらち・しんいち) 写真右
政治経済学部 4年 山田 凌央(やまだ・りょう) 写真左

ステージマネージャー(舞台監督)の山田さん(左)と、ディレクター(演出)の寺地さん

昨年11月19日に開催された「第81回四大学英語劇大会」。テレビや舞台で活躍する内野聖陽さん、別所哲也さんらを輩出したこの大会で、早稲田史上初、各賞独占の四冠(Best Performer、English Prize、Stage Effect、Grand Prize)を達成したのは、120年以上の歴史を持つ早稲田大学英語会(公認サークル)、通称W.E.S.S.(Waseda English Speaking Society)の早稲田プロダクション(※)でした。2012年に総合優勝に輝いて以来、栄光から遠ざかっていた早稲田プロダクション。彼らを率いたディレクターの寺地真一さんと、ステージマネージャーの山田凌央さんに、四冠への道のりや演劇の魅力などを聞きました。

※ W.E.S.S.には3年生によるスピーチセクション、ディベートセクション、ドラマセクションという3つのセクションがあり、四大学英語劇大会には、ドラマセクションと1・2年生のメンバーで構成された早稲田プロダクションが参加する。

――大会ではニール・サイモンの『Fools(フールズ)』を上演されました。この作品に決めた経緯は?

山田凌央さん(以下、山田):まず、500本ほどある脚本のデータベースから、3年生全員でテーマなどの条件を出し合って選考を重ね、手分けをして脚本を読んで演目を決定しました。

寺地真一さん(以下、寺地):この作品の特徴は、ファンタジックな世界観です。僕たちはいい作品を作り、勝たなければいけないという強い思いがありました。その中で、この作品なら役者も裏方も、全員でその世界観を楽しみながら作り上げることができると思いました。

早稲田プロダクションは総勢200名の大所帯です。その強みを生かすには、まず全員がワクワクしなければ駄目だと考えたんです。

盛り上がるダンスのシーン

――舞台の準備はどのように進めましたか

照明のオペレーション

山田:役者10名は、プロダクション内のオーディションで7月頃に決定しました。そこから11月の大会まで、役者も、ダンスシーンのエキストラも、裏方も、ほぼ毎日活動しました。

寺地:最初はみんな素人なので先輩たちが指導しますが、大道具の場合はプロの現場に修行に行き、お手伝いをしながら覚えることもあります。

役者の場合は、本来、自ら演技力を高めて演出の要望に応えるのがベストですが、W.E.S.S.にはプロの劇団にはない「キャストセクション」があります。ここに所属する3年生のアクティングトレーナーとイングリッシュトレーナーが演技を指導します。

トレーナーたちは自身で本を読み、外国人のワークショップに参加したりして、演技に関する知識や指導法などを吸収し、役者を指導します。

フールズを演じた役者たち

――大会当日の手応えは?

寺地:僕が特に意識していたのは、自信を持ってお客さんへ届けられるまで決して妥協しないということでした。本番直前には、1年間ささげてきたものを消化しきれたと感じることができ、他大学の舞台を見ても、早稲田はどのセクションもクォリティーでは引けを取らないと感じました。それでも自分の中にまだ満足できないところがあり、直前まで修正して臨みましたが、客席から予想以上の反応がきたので、これはいけると感じました。

山田:僕も同じ感覚でした。他大学の舞台も見た上で、演出賞は絶対取れる、総合優勝もたぶん取れる、という感触を得ました。もちろん結果が出るまで寺地以外には言わないようにしました(笑)。

僕たちは1、2年生のときに賞を一つも取ることができず、この大会に対してやりがいや価値を見失いかけている代でした。その一方で、早稲田の英語劇を復権させたいという強い思いがありました。そこで僕たちが目指したのは、「真に心から打ちたい、お客さんを奮わせる芝居」でした。これは、自分たちだけが心地良いとか、反対にお客さんにこびるのではなく、その両方が最大限に達成された状態です。そこを目指し、達成したことで四冠を取ることができたと考えています。

『Fools』 字幕付き動画

――大学生活で演劇に役立ったことはありますか?

寺地:一番感謝しているのは演劇博物館(エンパク)です。演劇の映像作品がたくさん所蔵されていて、今買うことができないDVDなどもあるので貴重ですね。エンパクでは映像作品をたくさん見ましたし、スクリプト(台本)も所蔵されているので、作品を選ぶときに見させていただきました。

また、僕は法学部ですが、条文や判例を読むときなど、論理的思考が求められます。総論から各論に入っていくという体系的な思考法は、演出をする上でとても役に立ちました。

山田:僕は組織をマネージメントする上で、効率的な行動を選択しようとするときに、経済学における機会費用という概念が役立ちました。

メインキャストの二人

――お二人が考える英語劇大会や演劇の魅力は?

寺地:演劇は総合芸術と言われます。演劇には絵や音楽など、あらゆる芸術の要素が入っていて、感情に総合的に訴えるところが魅力だと思います。また、自分が演出として作品を作り終えて思うことは、制作過程で一つの作品に大勢の人の価値観が交じり合い、数カ月の間に積み重なったものが最後にお客さんに届き、笑い、悲しみ、無音、そして拍手となって返ってくる、この流れが素晴らしいということです。つまり、舞台と客席との間にあるコミュニケーションやエネルギーのやり取りが何にも代えがたい喜びなのです。

山田:僕は演劇を組織面から見て、スタッフ全てのこだわりを最大に表現できる舞台は、本当に魅力的だと感じています。この大会で僕たちは、大道具や小道具、照明や音響、衣装の縫い目やメイクなど、細部にまでとことんこだわりました。終演後にあるOBの方から、「役者が演じている姿を見て、裏方200人の顔や姿が思い浮かんだよ」と言ってもらえました。W.E.S.S.には「組織は舞台に乗る」という言葉が脈々と受け継がれているのですが、OBの方の言葉を聞いて、全員のこだわりや努力の積み上げ、そして一体感が舞台の質としてお客さんに届くんだということをあらためて実感することができました。

搬入前の整列

――これからの目標や夢を教えてください。

山田さん(左)と寺地さん

寺地:四大学英語劇大会は、もっとクォリティーの高い大会になれると思っているので、より素晴らしい価値が生まれるように、自分たちのリソースを割いていけたらと思っています。

また、リアルなパフォーマンスでお客さんが喜ぶというシチュエーションは、演劇だけではなくライブやお笑いなどたくさんありますが、ある程度趣味にしている人しか足を運ばないように思います。でも、映画の場合は「趣味です」とわざわざ言わなくても映画館へ足を運ぶ人はたくさんいます。この差は何だろうと感じます。演劇だってライブだって面白い、より多くの人にそれらの価値を享受してほしい、そうしたらもっと人の心が豊かになる、そう思うんです。

今はネット配信などたくさんありますが、ライブにこそ価値があり、大事だと思っているので、自分たちに何かできることはないか考えていきたいと思います。

山田:ライブエンターテインメントをもっと身近にできるよう、いつか二人でビジネスとして形にできたら、と考えています。

第703回

四冠を獲得した後の集合写真

【プロフィール】

寺地真一
東京都出身。早稲田実業学校高等部卒業。1年生のときにW.E.S.S.内のオーディションで約100人の中から役者に抜擢され、四大学英語劇大会の舞台に立ったことをきっかけに演劇の魅力に引き込まれる。今回の大会ではディレクターを務めた。小学生のときに1年間アメリカで過ごした経験があるものの「英語は好きだが、ほとんど話せない」のだそう。

山田凌央
群馬県出身。県立前橋高等学校卒業。高校時代は生徒会長を務めた。W.E.S.S.のメンバーの雰囲気や人の温かさに引かれて入会。3年生でドラマセクションを選んだのは、過去の悔しさと組織として一つのものを作り上げる演劇の魅力に引かれたため。四大学英語劇大会には1、2年生のときに音響に携わり、今回はステージマネージャーを務めた。「演技の才能はありません。しかし全体のマネージメントによって最高の劇を打つことに最高の喜びを感じます」と話す。

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