Waseda Weekly早稲田ウィークリー

学生注目!

日中友好大使 初代ミス・マンダリン「単なる“懸け橋”に収まりたくない」

「両国の過剰な対立関係を緩和し、中国に対する潜在的な苦手意識を変えたい」

国際教養学部 3年 吉川 慧玲(よしかわ・えみ)

日中の友好大使にふさわしい中国語スピーカーを決める「ミス・マンダリンコンテスト2018」(一般社団法人Japanese & Mandarin Union-JMU主催)。第1回開催となった同コンテストで8名のファイナリストに選ばれ、4月22日に開催された決勝で見事グランプリに輝いた吉川慧玲さんは、現在ダブルディグリープログラムで中国・北京大学に留学中の早大生。同コンテスト決勝出場のため、弾丸スケジュールで帰国していた吉川さんに、コンテスト翌日、北京に戻る直前に話を聞きました。

――中国語はいつから勉強していますか?

物心が付いたころからずっと東京暮らしなのですが、実は生まれが中国ということもあり、いつかは中国語を勉強しようという意識は頭の片隅にありました。早稲田の中でも国際色豊かな国際教養学部に入学したのをきっかけに、英語以外の武器が自分には必要だと確信し、別の言語にもチャレンジしようと中国語の勉強を始めました。国際教養学部は授業のほとんどを英語で行うのですが、英語で発信される情報のみならず、中国語を学ぶことで中華圏の情報も把握できるのは大きなアドバンテージになり得ると思いました。早稲田大学は古くから中国とも結び付きが強く、中国留学への選択肢や制度が豊富な早稲田ならではの環境面も後押しになりました。

――北京大学での留学生活について教えてください。

留学中の北京大学は今年が創立120周年

昨年9月からダブルディグリープログラム(※)に参加し、北京大学の国際関係学院で中国人の学生と一緒に政治学を専攻しています。中国語を学び始めたころは四声(4種類の高低アクセント)やピンイン(アルファベットによる発音表記)の発音が難しいと感じていましたが、今は膨大な資料を中国語で読むことに苦労しています。特に外来語が全て漢字表記なので、歴史上の人物や地名など、高校までの世界史で習ってきた内容であっても理解するのに時間がかかることがあります。例えば、中国語の授業で主要な国名の勉強はしましたが、「阿塞拜疆(アゼルバイジャン)」が突然出てきたときは「何?」って感じでした(笑)。あとはレポートを書くことやプレゼン、ディスカッションに至るまで全て中国語なので、苦労することが多いですね。

北京大学の学生はとても優秀で、いくら勉強しても追い付けず、満たされない感覚で正直苦しい環境ではあるのですが、学問を深める面白さを体感できているような気がします。今まで気付けなかった分野に対する興味、関心も湧いてきましたし、出会う人のタイプもこれまでと違うのでとても新鮮です。

(※)早稲田大学在学中にダブルディグリーのカリキュラムを提供する大学に留学し、所定の要件を満たせば、本学の学位と留学先大学所定の学位の両方を取得できるプログラム。現在は北京大学の他にアーラム・カレッジ、上海交通大学、復旦大学、国立シンガポール大学、国立台湾大学との間で協定がある。

――「ミス・マンダリンコンテスト2018」に応募したきっかけを教えてください。

ファイナル進出時のプロフィール写真

応募締切日に、たまたま『人民日報(中国共産党中央委員会の機関紙)』のニュースサイトを見て知り、軽い気持ちで応募しました。二つの国で開催されるコンテストで、かつ今年が第1回目ということもあり、自分自身で新しい価値観を創造できるのではと考え、そのことに意義を感じました。

「北京」と言えば、天安門や北京ダック、大気汚染などを連想する人も多いと思うのですが、もちろんそれだけではありません。私はカメラが好きなので、長期休みには一眼レフを持って中国各地を回り、さまざまなものを撮影してインスタグラムなどのSNSやブログ上で記事としてまとめて発信しています。ネット上では、北京に関するリアルタイムの情報が少なく、今の北京の変化を伝えたいと思って、昨年から1週間に1本以上のペースで記事を書いて発信してきました。今では日本人だけでなく多くの中国人からも読んでいただいており、読者の方からのリアクションがあるのがうれしいですし、自分がきっかけで中国語や中国に興味を持ってもらえたときは感激します。

これまで自分一人だけで行ってきた情報発信ですが、ミス・マンダリンになることで、『人民日報』や『レコードチャイナ(中国関連の時事ニュースを配信するニュースサイト)』など、メディアの力を借りてもっと多くの人に伝えることができ、より効果的かつ広域に向けての発信ができるようになるのではないかと思って応募しました。

バックパッカー旅行で訪れた世界遺産・桂林の川下り(写真左)、新疆ウイグル自治区の世界遺産トルファンの巨大遺跡「交河故城」(中)、氷点下30度ハルビンの氷祭り(右)

――選考ではどんなことをアピールしたのでしょうか?

私は“新時代を生きるアジア女性のパイオニア”になりたいという目標を掲げ、中国社会の変化を自分の目で見て、耳で聞いて、肌で感じた中で、新しい女性の生き方を提示できたらと訴えました。経済や資源・人材などの面において、世界の中でも、アジア特に中華圏は最も可塑性に富んだ地域だと思っています。その環境下で日本と中華圏を結ぶ友好大使になることで、自分自身が周囲にプラスの影響力を与え得る、パワフルかつエレガントに生きるアジア女性のロールモデルになることが、私の大きな夢です。

――グランプリになって今後どんな活動をしていきたいですか?

表彰状を受け取る吉川さん(写真中央手前) 写真提供:一般社団法人Japanese & Mandarin Union

よく使われる表現なのですが、私は日中の「懸け橋」という言葉があまり好きではありません。橋は手段であって目的ではないように思うからです。単に橋を架けることよりも、橋を架けた先の土地やそこに住む人の気持ちを変えたいなど、目的があるから橋を架けるのであって、私は単なる日中の懸け橋には収まりたくないと考えています。日本と中国の優劣に決着をつけようとする報道が多いですが、中国には中国の良さがあり、考え方があります。必ずしもそれを日本に当てはめて考える必要はないですし、お互いを蹴落とし、引っ張り合いをするのは、双方のエネルギーやメンタルを無駄に消耗しているに過ぎないように思えてしまいます。これまで中国に対して興味を持っていなかった人たちや、どちらかといえばネガティブな印象を持ってきた人たちにこそ、実際の中国の情報や、多くの魅力を伝えられるような活動をしていきたい、両国の過剰な対立関係を緩和し、中国に対する潜在的な苦手意識を変えたいと思っています。

――将来の目標を教えてください。

私は国際関係学を専攻する上で、日本の大学で、日本からの観点のみを学ぶだけでは不十分だと感じ、中国でも学ぶことを選択しました。二つの国で学ぶことで多角的に理解できる部分も多いと感じています。模索中ではありますが、将来はアカデミックな方面で国際協力やアジアでの国際開発・国際関係に携わる人材になりたいと思っています。

第701回

(撮影=石垣 星児)

【プロフィール】
東京都出身。中央大学附属高等学校卒業。オープンキャンパスで模擬講義を聞き、著書を読み、興味を持った陳天璽教授(国際学術院)の授業を履修できたのが早稲田に入学してうれしかったことの一つ。中国語を勉強するきっかけは、単純に中華料理が好きでも、世界遺産を見たいでも、中国人俳優・女優が好きでも、ささいなことでいいのではと語る。
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