Waseda Weekly早稲田ウィークリー

学生注目!

「亡父にいい報告を」14歳で自立、反骨精神と使命感を抱き続けた6年間

「何事もベストを尽くしてこそ一流」

大学院スポーツ科学研究科修士課程 2018年3月修了 鈴木 北斗(すずき・ほくと)

2018年3月にスポーツ科学研究科修士課程を修了し、現在は総合商社の三井物産で社会人生活を送る鈴木北斗さん。早稲田大学スポーツ科学部入学後、学業だけでなく、留学やさまざまな課外活動にまい進し、「世界で活躍する人材になる」という目標に向かって努力を重ねてきました。日米派遣交流プロジェクト「Walk in U.S., Talk on Japan 2017」のメンバーに選出されるなど、華々しい学生生活を満喫したようにも見える鈴木さんですが、その原動力の背景には、約10年前に父を亡くし、母も重い病に倒れ、14歳にして自立せざるを得なくなったという過去がありました。

――「Walk in U.S., Talk on Japan 2017」の他、Japan-ASEAN Youth Leaders Summit 2015」The 68th Japan-America Student Conference 2016」KAKEHASHI  Project 2017」など、数々のプロジェクトに参加してきたんですね。

カリフォルニア州チコにあるカリフォルニア州立大学チコ校でのプレゼンテーションの様子
(カリフォルニア州立大学チコ校Webサイトより Jason Halley/University Photographer)

2017年10月に行った「Walk in U.S.,~」は、内閣府主催のプロジェクトです。アメリカにおける対日理解を促進させるために民間人を派遣するというもので、今回は全国から選考を通過した12名が選出されました。僕は9日間かけて4都市5地域(ダラス・ロサンゼルス・アーバイン・サンフランシスコ・チコ)を訪問し、アメリカの政府関係者や教育関係者、大学生などを対象に、日本のスポーツ・ツーリズムについてのプレゼンテーションを行いました。

スポーツ・ツーリズムというのは、沖縄のスキューバ・ダイビングや北海道のウィンター・スポーツ、両国国技館での大相撲観戦など、スポーツに関わるさまざまな旅行・観光のことを指します。日本観光といえば東京や京都などの人気都市に観光客が集中していますが、スポーツ・ツーリズムを促進していけば、地方活性化にもつながります。

プレゼンテーションでは、渡米前に屋久島を訪れて実際にハイキングをした経験や、早稲田大学で学んできた知識を生かして、スポーツを通して日本各地域で四季折々の魅力が楽しめるということを全て英語でお伝えしました。多くの方から「日本に行ってみたい」などのフィードバックをいただき、うれしかったですね。

――そもそもなぜ早稲田大学へ入学したのですか?

2017年、「Walk in US., Talk on Japan」でのプロジェクト中。カリフォルニア大学アーバイン校でのスピーチを終えた後に、団長・団員と。カリフォルニア州、University of California, Irvine にて

小学2年生で始めたバスケットボールを通して、心が震えるような素晴らしい瞬間を度々経験してきたことから、スポーツが持つ感動の力や特異性を科学的に理解したいと思ったんです。アメリカのプロリーグを見て育ったため、特にスポーツビジネスに興味があり、その分野で国内トップである早稲田大学スポーツ科学部に進学しました。

入学後は、全力で勉学に励みました。何事にもベストを尽くしてこそ一流だと考えていて、学業だけではなく課外活動にも全力で取り組みました。その一つとして、世界一(※)のスポーツ用品メーカーであるナイキでアルバイトとインターンシップを行いました。自分が持っているスポーツ経験や商品知識、学業の専門分野であるスポーツ・マーケティングの専門知識も役立てることができ、自身の研究する理論の実践の場としても非常に有り難い恵まれた環境でした。

※NIKE,Inc.(ナイキ社)の2017年5月期の売上高は、343億5,000万米ドル(約3兆7,785億円、1米ドル=110円で換算)。スポーツメーカーでは世界1位。

――非常に精力的な学生生活を送ってきた鈴木さんですが、どのようにその意欲を保ち続けてきたのでしょうか?

修士論文、公開審査を終えて迎えた誕生日に。大隈記念講堂前で(2018年2月)

私が14歳のとき、前日まで元気だった父がくも膜下出血で急死し、その2カ月後には母が同じ病で倒れ、九死に一生を得たものの重い身体障害を抱えてしまいました。家庭から両親を失い、兄弟4人はそれぞれ自立せざるを得なくなったのです。

与えられた宿命を恨む間もなく、この先どう生きていくのか、就職するまで生き抜く方法を考えました。自分は何になりたいのか、どんな人生を送りたいのか、そのためには今何をすべきなのかと、常に自問自答を繰り返していました。学業も課外活動も遊びも何でも全力で取り組み、結果を出し続けてきたことで、高校・大学・大学院と奨学金を得て進学することができ、留学などの自分がやりたいことも実現させることができました。今思えば、両親が与えてくれたこの境遇に感謝しています。結果として、精神的に大きく成長することができたからです。不謹慎かもしれませんが、誤解を恐れずに言えば、父の死は僕の人生において、あのときがベストなタイミングであったと今では思えます。僕の性格からかもしれませんが、常に現在と未来を見て何事もポジティブに捉え、ここまで生きてきました。

その裏には、周囲から同情されるようなこの境遇に、断じて負けないという強い反骨精神と、自分の目標を達成して、社会や周囲に対し自身の姿を通して勇気や希望を与えるという使命感、そして亡くなった父に必ず良い報告をするという強い決意がありました。

――そういった強い想いが、鈴木さんを支えてきたんですね。

幼いころから続けてきたバスケットボールも、つらいときにも自分を支え、世界を広げてくれたように思います。スポーツビジネスに興味を持つきっかけにもなりましたし、バスケットボールもスポーツビジネスも本場はアメリカであることから、アメリカ留学や日米外交プロジェクトに参加することになりました。そういったことから、将来はビジネスを通して「日米の架け橋」になりたいですね。入社した企業でも世界という舞台に果敢に挑戦し、マーケットの最前線で自分の力を存分に発揮したいです。

第695回

【プロフィール】
神奈川県出身。県立横浜翠嵐高等学校卒業。目標とする人は、アメリカの元プロバスケットボール選手のマイケル・ジョーダン。「僕が父を亡くしたとき、彼に多くの勇気をもらったんです。彼も全盛期に父親を失い、それが原因で一度引退するのですが、再び復活を遂げ、大活躍をします。失敗を恐れずに常に挑戦を続け、絶対に諦めない彼のポジティブなパーソナリティーを尊敬しています。僕がナイキで働きたいと思った大きな理由でもあります」と語る。

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