Waseda Weekly早稲田ウィークリー

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触って分かる「触知案内図」に込めた思い 早稲田祭2017のバリアフリー対応

早稲田祭バリアフリー (2)

点字と共に、一部の建物も立体的に表現されている「触知案内図」

「触知(しょくち)案内図」。11月に行われた「早稲田祭2017」(以下、早稲田祭)では、この耳慣れない地図を持った視覚障がい者の方が会場を歩く姿が見られました。早稲田祭運営スタッフの発案によって作られた、点字の施された触って分かる案内図です。「障がいをお持ちの方やご高齢の方を含め、全ての方に早稲田祭を楽しんでいただきたい」という思いを込めて、15年前から取り組んできたバリアフリー対応は2017年、触知案内図の無料配布により、さらに一歩進んだものとなりました。対応チームのリーダーとして活躍した中西健太郎さんは「積んできた経験、いただいた意見を生かして、もっと多くの人が早稲田祭を楽しめるようにしたい」と話しました。

「1万人の内の一人でも、支援の存在意義は確実にある」

 文化構想学部 2年 中西 健太郎(なかにし・けんたろう)
早稲田祭バリアフリー (4)――触知案内図とはどのようなものなのですか。

視覚障がいをお持ちの方が、点字や凹凸を指で触ることで情報を得られるようにした案内図です。作成にあたっては、触知案内図のJIS(※)を取りまとめた人間科学学術院の藤本浩志教授に、また最終版の確認については実際に触知案内図の製作・監修を手掛けている社会福祉法人「日本点字図書館」の方に協力していただきました。印刷も点字図書館に委託しました。早稲田祭は2日間で約18万人が訪れるという大きなイベントです。障がい者の方がなるべく人混みを避け、段差がないルートで目的地にたどり着けるように、自分たちで早稲田キャンパスと戸山キャンパスの現場を調べて作りました。

(※)日本工業規格

――なぜ無料配布することにしたのですか。

1年生だった昨年、早稲田祭運営スタッフになり、バリアフリー活動に参加することになりました。2016年は活動の拠点となっているバリアフリールーム(8号館内)に1枚の大きな触知案内図を置いていました。ところが、その場で地図に触って理解したとしても、ルートを覚えてもらうのは難しいという反省が生まれ、2017年は持ち運びできる触知案内図を作って配布することになりました。案内図は早稲田キャンパスは16枚、戸山キャンパスは15枚作りましたが、バリアフリールームを訪れた視覚障がい者の方はそれほど多くはなかったので用意した枚数で足りました。しかし、実際にはバリアフリールームを訪れない視覚障がい者の方もいらっしゃいます。早稲田祭の会場で手渡すのではなく、事前に自宅に送れるといいのですが、これには費用が掛かります。今後の検討課題ですね。

障がい者の方に付き添う運営スタッフ

――早稲田祭当日は、どのような活動をしたのですか。
早稲田祭バリアフリー (7)

8号館B105教室に設置されたバリアフリールーム

バリアフリールームには、視覚障がい者以外にもさまざまな障がいを抱えた方が訪れます。体が不自由で車いすで移動される方、聴覚障がいのある方。バリアフリー担当のスタッフは数名で、大学公認サークルである「手話さあくる」「ボランティアサークル 積木の会」の学生にも手伝ってもらいました。「ガイドヘルプ」という活動では、スタッフが来場者に付き添って会場を回ることもあり、1対1だけでなく1対2の対応が必要な場合もあります。飲食物の買い物代行をすることもあります。集中して6人の方が来られたら、それで手一杯という状況です。付き添い者の方も含めると今年は30人以上の障がい者の方が来場されました。年々、増えてきていると思います。もっと、バリアフリー対応のスタッフを増やしていきたいですね。

――担当学生は事前に研修を受けているそうですね。
早稲田祭バリアフリー (6)

運営スタッフのバリアフリー担当者は、研修を受けた上で対応した

今年9月に早稲田大学障がい学生支援室による2時間の研修を担当学生10名が受けました。車いすの操作方法や耳栓・アイマスクを着けた訓練。視覚障がい者役と誘導者役がペアになって、どのように対応すれば障がい者は不安を抱くことなく動き回れるのかを理解するシミュレーションなどです。その後、研修を受けた10名の学生が講師となって、他の早稲田祭運営スタッフ約80名に対して講習を実施しました。午前組・午後組と分けて合計4日間かかりました。大学から借りられる車いすだけでは数が足りないので、「新宿区立障害者福祉センター」からもお借りしました。

――2年間、早稲田祭に関わって何を感じましたか。
早稲田祭バリアフリー (5)

バリアフリールームで、リーダーとして指示を出す中西さん(右)

最初は「18万人も来る学園祭のスタッフって面白そうだな」という軽い気持ちで早稲田祭運営スタッフになりました。運営スタッフにはさまざまな役割があるのですが、自分の性格や適性を考えると、最も身近に早稲田祭の熱気やお客さんが楽しんでいる様子を感じられるのが来場者対応だと思いました。高校時代に障がい者福祉に関わった経験もあってバリアフリー担当になりました。障がい者の方は、来場者全体の数からすると確かに数は少ないと言えます。しかし、本当は一人で行きたいけれども、混雑ぶりを見たら不安になって行けなかったという人もいたかもしれません。1万人のうちの一人が相手だとしても、支援がないと困る人は確実にいる。私たちの存在意義は確実にあるのだ、ということを2年間で感じました。運営スタッフは2年生で終わりにするので、来年は当日の臨時スタッフとして後輩たちの活躍を支援したいと思います。

早稲田キャンパスの触知案内図

【プロフィール】東京都出身。国立筑波大学附属高等学校卒業。早稲田祭運営スタッフ以外では、テニスサークルや企画サークルも掛け持ちしている。早稲田祭2017のバリアフリーの取り組みとしては、文字を大きくし、写真やイラストを添えることで見やすくまとめた「バリアフリーブック」や、多目的トイレやエレベーターの位置、段差がなく通りやすい道などの情報を分かりやすく載せた「バリアフリーマップ」も作成・配布した。「手話対応」や「車いす貸し出し」を行った他、ステージや講堂ではイベントを見るための「優先スペース」を設置した。
「早稲田祭2017」のバリアフリーへの取り組み

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