さまざまなストレスや環境変化などから、心がむしばまれる「うつ病」への理解を深めてもらう青少年自殺防止ミュージカル『つまづいても』が10月17日(火)と18日(水)、早稲田キャンパスの小野記念講堂で上演されます。アルバイトや学業に追われ、そこに就活の重圧も重なって精神的に追い詰められる主人公(由紀)。その母親(亜紀子)を演じる校友(卒業生)の女優・新村沢美=写真=さんに、作品にかける意気込みや学生時代の思い出を聞きました。
【略歴】新村 沢美(しんむら・たくみ)。女優、振り付け家。1999年、早稲田大学第一文学部卒業。在学中より演劇活動を始める。「ミュージカルシアターヒラソル」の旗揚げに参加、のちに主宰。舞台への出演の他、振り付けや子どもへのミュージカルの指導にも力を入れている。
この作品に出演することになったきっかけは?
これまで出演してきたミュージカルではエキセントリックな役が多く、「普通の母親」などを演じたいと思っていました。また、娯楽以外で演劇のできることを模索していたこともあり、オーディションに応募しました。
どのような母娘関係なのですか。
母・亜紀子は主人公の娘・由紀が幼いときに夫を亡くしており、しっかり者の娘に期待をかけています。親からの期待が大きいと、娘にとって母親はややこしい存在になることもあると思います。私自身、由紀の気持ちも理解ができます。
ミュージカルの見どころはどこでしょう?
派手な衣装や大掛かりな舞台装置があるわけではありませんが、歌で由紀がその苦しい真情を吐露したり、劇中に登場する医師が「うつ病」についてそのメカニズムを歌と踊りで分かりやすく説明したりするところなどです。
エンターテインメント性を持ちながら、社会派の作品なのですね。
由紀は飲食業のアルバイトをしているのですが、いわゆるブラックバイトで休みをもらえない…。そうした生活で学業にも支障が出て、指導教授にしかられて次第にうつ状態になっていきます。彼女を取り巻く状況や登場人物は大学生が中心なので、現役の学生さんたちも共感して見ていただけると思います。
どうして演劇をするようになったのですか。
高校時代から漠然と演劇に関心を持っていましたが、入学して間もないころに、「一緒に劇団を作らないか」と男子学生に声を掛けられたのがきっかけで、自分たちで劇団を立ち上げました。歌とダンスは大学に入ってから始め、並行して千葉でミュージカルシアターヒラソルの活動を開始しました。
現役学生に伝えたいことはありますか。
よく、「早稲田は自由だ」と言われますが、私にとって学生時代の4年間は「いろんなことが選択できる」場だったと思います。当時は携帯電話もパソコンも一般的ではない時代で、早稲田には「放り出された」ような自由さがありましたね。大学に対して、面倒見のよさを求める人もいるかもしれませんが、現役の学生さんたちは、与えられるのでなく自分で判断し選ぶという経験をしてもらいたい。それがきっと後で役立つと思います。ただし、いざ、うつという状態になったら、周りの助けが必要となります。早稲田大学には「保健センター」がありますので、相談するといいと思います。
青少年自殺防止ミュージカル『つまづいても』
日時:
①10月17日(火)18:30〜20:30(開場30分前)
②10月18日(水)16:45〜18:45(開場30分前)
会場:早稲田キャンパス小野記念講堂(27号館地下2階)東京都新宿区西早稲田 1-6-1
主催:早稲田大学保健センター
共催:早稲田大学文化推進部、NPO法人社会貢献ミュージカル振興会
入場料:無料(先着順 各回 200名)
※平成29年度 厚生労働省自殺防止事業 補助金事業