Waseda Weekly早稲田ウィークリー

学生注目!

「そのダイエット方法、間違っているかも?」早大スポ科から飛び級で進学した筋肉研究者

目指すは、運動も万能な「動ける研究者」

大学院スポーツ科学研究科 博士後期課程 2年 野口 史織(のぐち・しおり)
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撮影場所:戸山キャンパス学生会館内トレーニングセンター

高校まで続けていた陸上競技では日本ジュニア選手権3000mで全国4位、学部から入った日本拳法部では初の全国優勝にトレーナーとして貢献、友人に誘われて応募した「ベストボディジャパン2014(※)」名古屋大会ではグランプリ、プロフィールに並ぶ資格の数々…現在は早稲田大学大学院スポーツ科学研究科博士後期課程に在学しながらフィットネストレーナーとしても活躍中の野口史織さんは、一貫して「体の健康」に関わることに携わり、結果を出してきた異色の研究者。何事も100%の力で挑む野口さんに、そのエネルギーの源について聞きました。

※ベストボディジャパン…ボディビルのように筋肉量を競うのではなく、バランスのとれた健康美に加えて内面性なども評価される大会。

――スポーツ科学部から飛び級して大学院修士課程に入学、今は博士号取得のために論文執筆中の野口さん。スポーツ科学に興味を持ったきっかけについて教えてください。

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さまざまなマシンがそろうトレーニングセンター(戸山キャンパス)にて

中学・高校と陸上競技を続けていて、将来はオリンピック出場を目指して実業団に入るつもりでした。でも、高校で大きなけがをしてしまい、競技をやめなければならなくなったんです。実は女子の長距離選手は生理が止まってしまうのが当たり前。でもそうすると女性ホルモンが出ないために骨粗しょう症になってしまい、私は骨密度が「75歳並み」まで悪化して競技生命を縮めることに。そのとき通っていた医院にスポーツ専門のドクターやトレーナーがいて、陸上のコーチからチームが勝つために言われることと違い、将来の健康も考慮したアドバイスがいただけました。それで、スポーツ医科学を勉強したいと思ったんです。

スポーツ科学部では、取れる科目は全部取ったというくらい、たくさんの授業を履修しました。家があった熊谷から所沢まで通学時間が2時間半もあったので、その間に教科書を読んでいれば自然と覚えてしまったんです(笑)。そして3年で学部を中退し、飛び級で大学院スポーツ科学研究科修士課程に入学(※)しました。

※2006年入学者以降、スポーツ科学部3年終了時の大学院入学資格適用者は、所定の試験の合格を経て、早稲田大学スポーツ科学研究科に進学できる制度があります。入学資格基準は、次の通りです。詳細は、こちらをご覧ください。
①2年終了時にGPAが対象学年の上位5%以上に含まれること。
②3年終了時にGPAが3.1以上であること。
③3年終了時の修得卒業算入単位数が100単位以上であること。

2016年には、「ミスユニバースジャパンビューティキャンプ」のアシスタントトレーナーを務めた

2016年には「ミスユニバースジャパンビューティーキャンプ」のアシスタントトレーナーを務めた(前列左から7人目が野口さん)

現在は、水泳の元オリンピックドクターの金岡恒治教授(スポーツ科学学術院)の下、「筋シナジー」について研究しています。スクワットなどをする時、初心者と熟練者を比べるとフォームが全く違うのですが、それには「筋シナジー」という、時間または空間における複数の筋を含むグループの一まとまりの活動が関連しているんです。筋活動を測定し、筋シナジー解析をして神経モジュールを抽出する研究を行っています。その他、パーソナルトレーナーやフィットネスインストラクターの仕事をしています。

パーソナルトレーナーとしては、去年「ミスユニバース」埼玉代表の藤塚瞳さん(2017年人間科学部卒業)を指導して、2カ月で10kgの減量を達成しました。肌や髪の状態を保ちつつきれいな体を作るために、食べ物なども工夫しましたね。また、OGでもある体育各部「日本拳法部」のトレーナーとして、けがのケアやテーピングのやり方、一人一人に合ったトレーニングメニューを組むなどしています。

――陸上競技をやめて、なぜ日本拳法部に?

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タンパク質が豊富な鶏のささみはお気に入りの食材

心身共に鍛えようと思ったんです。当時私は金髪だったのですが、染髪がNGな体育各部が多い中、見た目ではなく一生懸命さを重視してくれるところがいいと思いました。私が日本拳法部に入部して一番驚いたのが、部員が(アイシングのための)氷のうを分厚い道着の上から置いていたこと(笑)。それまで部にはそういうことをアドバイスする人がいなかったようで、選手として入部しましたが、トレーナーも兼任することになりました。トレーナーとして参加した2011年、日本拳法部は全日本学生拳法選手権大会において初の全国優勝を果たしました。今までやってきたことが肯定された気がして、人生で一番うれしかったですね。

――目下の目標は博士号を取得し研究者になりたいとのことですが、今後目指す方向性は?

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腹筋を鍛える「プランク」をバランスボールを使って

フィットネスの世界は、研究より大幅に遅れていることが多いんです。最近、フィットネス業界では「HIIT(ハイ・インテンシティ・インターバル・トレーニング)」がブームになっていますが、研究者から見れば20年以上前の論文に書かれていたこと。また、一時期おなかをへこませるフィットネス方法(「ロングブレスダイエット」など)が大流行しました。実際は体の内側に圧力をかける「ドローイング」と外側に圧力をかける「ブレーシング」の使い分けが大切なのですが、それを知らないインストラクターも多いんです。Web上には誤った情報も多く、知識がない人がそれをそのまま信じてしまうのも危険です。私は研究者として、フィットネスの現場にいる人に正しい知識を発信をしていきたいと思っています。

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トレーナーとしての仕事につながった「ベストボディジャパン2014」名古屋大会での一コマ

私は学部生時代からトレーナーをしていますが、トレーナーというのは目の前にいる選手を改善したり、パフォーマンスを良くするのが役割。指導できる相手の数に限界があります。でも研究者であれば、論文を書けば世界中の人に届き、より多くの人を幸せにできる。それが研究者になろうと思ったきっかけなんです。そのように研究と現場の橋渡しができる存在でありたいですし、一人でも多くの人を幸せにしたいですね。目指すは、運動も研究も万能な「動ける研究者」です(笑)。

――「これは」と思ったことには全力で取り組む野口さんから、好きなことを見つけられない学生に向けてひと言アドバイスを。

いろんなことに興味を持ってチャレンジしてみると、自分に合うものが分かってくると思います。何かアクションを起こしてみて、少しでも興味を持ったことにはもう一歩踏み込んでみると、意外と道が開けたり手伝ってくれる人が現われたりします。私もコンテスト(ベストボディジャパンなど)に出場するなんて思っていなかったのですが、それが他の仕事につながりました。そして何事も簡単に諦めるのではなく、今はできなくても、あと少し頑張れば違う世界が見えるかもという希望を持って毎日を過ごすと、さらに楽しいと思いますね。

第673回

【プロフィール】
埼玉県出身。県立熊谷女子高等学校卒業。大学院スポーツ科学研究科の金岡研究室所属。2016ミスユニバースジャパンビューティーキャンプアシスタントトレーナー。運動不足気味の早大生にお勧めの運動を聞くと、「わざわざ時間を作るというとそれ自体がストレスになってしまうので、生活の中でなるべく動くこと。エレベーターを使わず階段を上ったり、一駅余分に歩くなど。ストレッチも、毎日するタイミングを決めると続きやすいです」とのこと。持っている資格は、上級救命技能認定、ヨガインストラクター、日本プロカウンセリング協会認定2級心理カウンセラーなど10個以上で、毎年一つ取得することを目標にしている。

早大生のための学生部公式Webマガジン『早稲田ウィークリー』。授業期間中の平日はほぼ毎日更新!活躍している早大生・卒業生の紹介やサークル・ワセメシ情報などを発信しています。

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