Waseda Weekly早稲田ウィークリー

学生注目!

30万人の小中高生が学ぶ「スタディサプリ」 人気講師は教育学部1年生

「全ての経験はマイルストーン」

教育学部 1年 伊藤 賀一(いとう・がいち)

DSC_1219---コピー高品質な教育を手軽に受けられるとして絶大な支持を集めている、小学生~高校生向けのオンライン学習サービス「スタディサプリ」(リクルート社)。受験の際に利用した早大生も多いのではないでしょうか。そのスタディサプリで「日本史」「倫理」「政治経済」などの社会科目を担当している人気講師が、2016年4月、早稲田大学教育学部に入学しました。予備校講師として人気を博していた伊藤賀一さんは、43歳にしてなぜ一般入試で受験をし、再び大学生となることを選んだのか。大きな決断の理由と多忙な学生生活にせまります。

――伊藤さんはお仕事を続けながら、どうしてこの年齢で早稲田大学教育学部入学を決意したのですか?

入学式にて。キャンパス内でも常にスーツを着用

18歳の最初の大学受験では、早稲田大学教育学部を第一志望にしていました。しかし残念ながら願いはかなわず、法政大学文学部史学科に進学。その後、かねてからの予定通り予備校講師(東進ハイスクール日本史科)に就き、現在は映像授業「スタディサプリ」講師を担当しています。このサービスは小中高生に限らず、社会人からご老人まで幅広い年代の方々も受けられる。なので誰にでも分かりやすい授業を目指そうと、生涯教育に興味を持つようになりました。そんなとき思い出したのが、若いころに志した早稲田大学だったんです。早稲田の教育学部には生涯教育学専修があり、一気に受験への意思が固まりました。25年前の忘れ物を取りに来たような感じですね。

――大学生とはいえ講師の仕事も忙しいと思いますが、どのような学生生活を送っているのでしょうか?

DSC_1192---コピー同じ授業にスタディサプリの教え子さんがいて、何人かに声を掛けられました。当然のことながら、びっくりされますね(笑)。早稲田のいいところは、それでも誰からも特別視されないところです。43歳の僕に対して、みんな分け隔てなく接してくれます。どこへ行くときも常にスーツを着ているのですが、先生から「社会人だったの?!」と驚かれたことも。ただ、早稲田に入って衝撃を受けたのが、社会人の学部生が非常に少ないこと。もっといると思っていましたね。

一日の過ごし方としては、例えば、1限から3限まで大学で授業を受けてから出版社で書籍の打ち合わせ、カルチャースクールで「上手な話し方」に関する社会人向けの講座を担当した後、テレビで知り合った芸人さんのライブを観に行く。そんな毎日です。仕事の関係上、どうしても授業の欠席が多くなるので、テスト前は大変ですね(笑)。一日を通じて講師業・著述業の占める割合は多いですが、空き時間には大学の学生読書室にもよく行きます。早稲田で素晴らしいと思ったのが、図書館に加えて各学部にも読書室があること。勉強や調べ物に限らず、執筆にもよく利用しています。

――講師の経験から見て、早稲田大学の授業はいかがですか?
伊藤賀一

分かりやすい説明で人気の授業

僕は教育者ではなく教育ビジネスの従事者なので、いかに面白く、分かりやすく伝えるかということに心を砕いています。なので、研究者であり教育者でもある大学の教員の方とは全く違う立場からの発言になりますが、授業が“うまい”かどうかと、研究者・教育者としての能力は関係ないと思います。正直に申し上げて、非常勤講師の方々の方が授業は面白い傾向にありますね。岩川ありさ先生の「ジェンダー・スタディーズI(身近なことを視座にして)」や伊藤功先生の「哲学研究」などは、特に好きな授業です。

――プレゼンテーションの苦手な早大生が多いようです。伊藤さんのキャッチフレーズにもなっている“圧倒的な話術”はどのように身に付けたのですか?
親交ある女子プロレスラー、里村明衣子さんと試合後に

親交ある女子プロレスラー、里村明衣子さんと試合後に

早大生はプレゼン上手ですよ。成功体験があり、自分に自信がある人は、人前でしゃべることに抵抗がない人が多いと思います。また、“圧倒的な話術”は圧倒的な知識からできるものなので、まずは話す内容に関する知識を身に付けることが一番です。身なりを整えることも大切ですね。プレゼンは、事前準備が大事なんです。ただし、発表の練習はし過ぎない方がいいかもしれません。万が一練習通りに話せなかったときの立て直しが難しい。実際に話すときは緊張していても全然構わないですよ。僕もいまだに場慣れすることなく、緊張しますから(笑)。

――早大生として、プロの講師として、今後の目標や夢をお聞かせください。

早大生としては勉強をしっかり行い、ゼミではeラーニング(オンライン教育)の研究をしたいですね。eラーニングは教育格差をなくすために効果的で、今後ますます重要になる分野。勉強でも仕事でもそれを突き詰めていきたいです。これまでも、予備校講師、執筆活動、テレビ出演などさまざまな仕事を同時並行でやってきました。現在、給料も21カ所から得ています。そもそも、予備校講師になった理由は、教育に限らずいろんなことに活躍の場を広げていけると考えたからです。一度きりの人生、自らやりたいことを次々に達成していけば、教え子たちにも「そんなふうに生きていいんだ!」と思ってもらえるかもしれません。僕には、小説家にもなりたいという目標もありました。最近ようやく小説の執筆依頼が来て、来年の春には出版予定です。無駄なように思える経験も、それぞれが夢へのマイルストーン(道しるべ)。これからも挑戦を続けていきたいです。

第654回

最新刊『世界一おもしろい日本史用語の授業』(KADOKAWA/中経出版)

【プロフィール】

京都府出身。洛南高等学校、法政大学文学部卒業。東進ハイスクール、辰巳法律研究所などで講師を担当。現在はリクルートの映像授業「スタディサプリ」で幅広い年齢層から人気を得ている。またYouTube、ニコニコ動画などでも積極的に情報を発信。一方、43歳で早稲田大学を一般受験で合格し、教育学部生涯教育学専修1年に在学中。テレビ東京「なるほどストリート」準レギュラー。著書に『世界一おもしろい日本史の授業』(KADOKAWA/中経出版)『きめる!センター倫理』(学研教育出版)などがある。公式Webサイト

早大生のための学生部公式Webマガジン『早稲田ウィークリー』。授業期間中の平日はほぼ毎日更新!活躍している早大生・卒業生の紹介やサークル・ワセメシ情報などを発信しています。

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