Waseda Weekly早稲田ウィークリー

学生注目!

第571回 史上3人目となる完全試合を達成!念願のプロ野球入りを胸に、勝負の秋季へ

スポーツ科学部3年
髙梨 雄平 (たかなし ゆうへい)
埼玉県出身。私立川越東高等学校卒業。左投げ左打ちで野手もこなす二刀流投手。高校時代はバンドを組んで文化祭に出演したほどのロック好き。たまのオフにショッピングを楽しむのが現在のリフレッシュ法。

埼玉県出身。私立川越東高等学校卒業。左投げ左打ちで野手もこなす二刀流投手。高校時代はバンドを組んで文化祭に出演したほどのロック好き。たまのオフにショッピングを楽しむのが現在のリフレッシュ法。

歴史的瞬間は、小さなガッツポーズで飾った。東京六大学野球で史上3人目、早稲田大学野球部としては初となる、完全試合の達成だった。

「リラックスして、いつも通りを意識して投げ続けました」と偉大な記録を成し遂げた髙梨さんは振り返る。5回の投球後には肩に張りを感じ、ベンチ裏でトレーナーによるマッサージを試した。それで球威を取り戻したため、イニングが終わるごとに同じ秒数、同じ施術をルーティンで行いゲンを担いだ。ヒット性の打球も野手の正面を突き、「今日はツイてる。記録を作るならこういう日なのかな」と冷静に感じながらの投球。7回を過ぎるとチームメイトから、「達成したら史上3人目だって!」と何度も声を掛けられた。記録を前にした投手はナーバスになりがちで、そっとしておくのが常だが、いつも通りのコミュニケーションが逆に髙梨さんをリラックスさせた。

振り返れば、決して順風満帆な野球人生ではなかった。中学からプロを目指し、高校では期待の左腕として注目されていた髙梨さんだが、甲子園出場の夢には届かず。早稲田大学に入学して半年後の秋季リーグ戦では、30人ほどいる投手陣から2人しか選ばれない先発の枠を勝ち取り、いきなりチームトップとなる5勝を挙げる。しかしその後、肘、足首と立て続けに故障。手術に踏み切るも、思うように投げられない日々が続き、大学日本一になった2012年の全日本大学野球選手権大会では一度も登板機会がなかった。歯がゆい思いでチームメイトの活躍を見守ったこの瞬間が、野球人生で一番の挫折だったという。

「当時は悔しくて、喜ぶ気にはなれなかった。でも、このままでは成長できないことに気付きました。今ならけがをしていても、チームのためにできることはないか考えられると思います」。

そして迎えた今シーズン。けがから復帰し、熾烈な争いを経て再び先発の座をつかんだ。完全試合を達成した4月26日は、今季初登板。そのため試合後に感じたのは、まず1勝を挙げられた安堵だった。さらに偉業を成し遂げた理由も、仲間のおかげと謙虚に語る。高校時代は4番を務め、現在も野手として出場することもある「二刀流」の髙梨さんは、どの投手よりも守備の難しさを知っているからだ。「ピッチャーよりも、守る方がすごいプレッシャーだったと思います。完全試合がかかった場面で、正直僕だったら守備につきたくないですよ(笑)。だからあの記録は、本当にチームメイトの力だと思ってるんです」。

挫折を味わい、仲間の支えがあったからこそ達成できた大記録。だがシー
ズンを終えた今、本人に充実感はない。「完全試合も1勝は1勝。結局あの試合後は思うような結果を残せず、チームも4位に終わった。この成績では喜べません」。

昨年苦い思いで見つめた優勝を、今度はマウンドで味わうために。そして幼い頃からの夢を実現するために。「プロ入りに向けて、次の秋季リーグが勝負」と意気込む髙梨さんの活躍に期待を寄せて、リーグの動向を見守りたい。

 

第571回

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