ハイソサエティ・オーケストラ
基幹理工学部3年 鈴木孝宜 (すずき たかのぶ)
創造理工学部3年 金野俊太郎 (きんの しゅんたろう)
国際教養学部3年 荒牧峻也 (あらまき しゅんや)
ジャズには多様なバンド形態が存在する。その一つが「ビッグバンド・ジャズ」。4トランペット、4トロンボーン、5サックス、4リズム(ピアノ、ドラムス、ベース、ギター)の17名編成を基本とするスタイルだ。「ハイソサエティ・オーケストラ」は演奏依頼が後を絶たない人気ビッグバンド。公認サークルとして「ハイソ」の名で親しまれ、創部58年の歴史の中で数々の賞を手にしてきた。その歴史をさらに輝かせるのが昨年度の「小野梓記念賞」受賞。同年度における「R! JAZZ in練馬アマチュア ビッグバンドコンクール」最優秀賞受賞、「第17回太田市大学JAZZ Festival」優勝という実績が評価された。そんなハイソが今、最も欲しているのが8月17、18日に行われる「山野ビッグバンド・ジャズ・コンテスト」(以下「山野」)の栄冠。毎年50近いバンドが参加する国内最大規模の学生ビッグバンドコンテストの頂点だ。
「『山野』は6年連続で国立音楽大学が優勝しているのですが、今年こそはその勢いを止めたい。ライバルの明治、慶應にも負けません!」。
幹事長の鈴木孝宣さんからは過去に「山野」を8度制したハイソの復権に懸ける思いが伝わってくる。高い目標を達成するべく、ハイソでは1日4時間、週3回のハードな練習を行うのが定例。さらに大会2カ月前にはメンバー内でシビアな出場者選びも行われる。
「ハイソには“3年生以上はレギュラーのみ在籍可能”というルールがあって、1、2年生の『ジュニア』と呼ばれる時期にレギュラー入りができなければ2年で卒業になります。また、3年生以上もオーディションでレギュラーから落ちればサークルに在籍できません」。
テナーサックス担当の金野俊太郎さんの言葉からは、レギュラーになることの難しさや飽くなき競争がバンドの高い実力を支えていることを思い知らされる。先ごろ開催された「山野」に向けたオーディションでも、落選した3年生2名がサークルを去った。だが、メンバーの絆が揺らぐことはない。なぜなら、全員が集まる場で皆が納得するまで選定理由を説明する。大会で演奏する曲決めも然り。これまで幾度も重ねてきた話し合いの回数がそのまま、ハイソの絆の深さといえるのだろう。
厳しい競争に勝ち残ったメンバーは8月初旬、5泊6日の合宿に向かう。「ここでメンバー同士の演奏にまとまりが生まれます」とトランペット担当の荒牧峻也さん。ハイソの強みである重奏時の音色の美しさは、食事と睡眠時以外は練習というハードな時間を過ごすことでようやく完成するそうだ。
正課活動にも真面目に取り組む一方、それ以外の時間はほとんど練習に費やすハイソのメンバー。「それでも休憩時間にはジャズを聴いてしまうんです(笑)」と3人は笑う。メンバーの多くがハイソ入会までジャズ演奏の未経験者ながら、そのひたむきな探究心が、5月に行われた「早慶明3大学対抗JAZZフェスティバル」での3年ぶりの優勝につながり、「山野」に向けて弾みをつけた。勢いに乗るハイソは、悲願のビッグバンド・ジャズ学生チャンピオンに王手をかける!
第570回