スポーツ科学部 4年 千葉 梢恵 (ちば こずえ)
スポーツ科学部 4年 中田 航平 (なかた こうへい)
創部89年。その長い歴史の中で数多くの有名選手を輩出し、日本サッカー界に貢献してきたア式蹴球部(以下、ア式)。関東大学サッカーリーグ戦1部でリーグ優勝25回という輝かしい実績を誇り、昨年のインカレ(全日本大学選手権)では5年ぶり12回目となる優勝を果たした。連覇が期待される今年のチームを束ねるのは主将の中田航平さん。ア式を担う才能として、入学当時から将来を期待されてきた逸材だ。しかし、入学してから3年間での公式戦出場時間はわずか5分だった。「ケガをして焦りが生まれ、またケガを重ねてしまって。当時はとにかく不安で、本気でサッカーを辞めようか悩んだこともありました」。
それでも懸命なリハビリを経て復帰を果たし、昨年のインカレ前にはスターティングメンバーに定着。しかし、今度はノロウイルスに侵され病床に。一度も出場する機会がないままインカレは終わり、中田さんは悔しさをかみしめながらチームの優勝を見届けた。そんな苦難の日々から学んだのは“自分で考え、実践すること”。
「言われたからやるのではなく、自主的に動くようにしてからケガが減りました。プレーでも、自主性のあるチームこそ強いと気付いたんです」。
インカレ連覇、念願のリーグ制覇に向かって突き進むチーム。挫折を乗り越えた中田さんが牽引するからこそ、今年のア式は粘り強く、勝利に貪欲だ。
一方、ア式は女子部も全国レベルの強豪であり、昨年のインカレでは準優勝に輝いた。だがこの結果に、主将・千葉梢恵さんは悔しさをにじませる。「目標は優勝だったし、勝てる試合だった。勝たないといけなかった」。
その無念の瞬間を、千葉さんはピッチで味わった。それだけに、今年のインカレ優勝に懸ける思いは誰よりも強い。「目標と目的を持て」と言う長岡義一監督の言葉で、意志はさらに固くなった。
「私がインカレ優勝を目指すのはなぜなのか。その目的を考えたとき、まず浮かんだのは両親のことでした。ずっと支えてくれて、応援してくれた両親のために、必ず目標を達成したい。昔は日本代表に入るのが夢だったけど、今はサッカー人生を大学までにしようと思っています。だからこそ、残りの時間に全てを懸けたいんです」。
そう打ち明けてくれた千葉さん。卒業後には新たな夢も抱いているそうだが、「それはまだ絶対ヒミツ!」とかわいらしく笑い飛ばされてしまった。
女子部は5月の東京大会で優勝し、今季初タイトルを獲得。6月9日の早慶戦も制し、好調な滑り出しを見せている。続く男子部の早慶戦は6月29日。この大一番に向けて、中田さんは語る。「子どものころ、父親と観戦したことがあるんです。その熱気に、子どもながらにとても興奮した記憶が脳裏に焼き付いていて、自分が同じ場所に立てることを誇りに思います。4月の慶應戦は勝っているので、次もひたむきに走ってハードワークをこなす早稲田らしいサッカーで連勝し、皆さんを楽しませたいです」。
強い思いを胸に、慶應に挑む!
第568回