Waseda Weekly早稲田ウィークリー

早稲田の学問

早稲田祭の模擬討論会でも実感した「言語化」の大切さ

主専攻法学演習(刑事法)M【法学部設置科目】

法学部 4年 高橋 祐梨子(たかはし・ゆりこ)

松原芳博先生(法学学術院教授)の「主専攻法学演習」(ゼミ)は、事例を素材にしながら、刑法学のさまざまなテーマについてディスカッション形式で学びます。議論のテーマは、個々の罪に共通する問題、いわゆる刑法総論(正当防衛、故意、共犯など)を多く取り上げています。

このゼミでは、自分の考えを自分の言葉で表現する、「言語化」を大切にしています。ゼミ生は、扱う論点に関する判例や主な学説の対立に縛られず、それぞれの意見や疑問を素直に自分の言葉で議論の場に提供します。

「完璧な主張よりも、程よく隙のある意見の方が相手に対して突っ込む余地を与え、会話を生み、議論を発展させる」という先生の考えの下、整理のついていない考えや感覚的な意見、さらには例え話なども言語化されます。さまざまな意見が出されることで、議論が寄り道したり、前の話題に戻ったりと、蛇行を繰り返すのは日常茶飯事ですが、この蛇行のおかげで、新たな視点やより深まった考えを得ることができます。

(写真左)議論の風景。松原先生は囲いの中で椅子に座り、自在に動きます
(写真右)ゼミ後に毎回先生も参加して行われる懇親会(左端が松原先生、左から2番目が筆者)

そして、この自由な議論において欠かせない存在こそ、我らが松原先生です。先生はゼミ生の発言を要約したり、隠れた真意をくみ取ったり、時に質問を投げ掛けたりと、言語化の作業を手助けしてくださいます。蛇行する議論を歓迎してくださった上で、うまく議論のかじ取りもしてくださいます。

模擬討論会のリハーサル風景

また、松原ゼミでは毎年、早稲田祭で模擬討論会を開催しています。一般のお客さんに刑法の面白さが少しでも伝わるよう、丁寧かつ分かりやすい言葉で討論を組み立てるという作業は、日頃のゼミとはまた違った言語化の力が鍛えられます。今年は、第三者の暴行が介在した場合でも当初の暴行と死亡との間の因果関係が認められるとされた「大阪南港事件」(最高裁 平成2年11月20日決定)などを素材に討論しました。

ゼミ合宿では毎回山登りをします(写真は最終地点で休憩している様子)

「言語化」を大切にするのは、生じた問題について、言語による解決、さらには説得ではなく納得による解決を図るべきだという先生の考えに基づきます。犯罪者に刑罰を科す場合、被害者のことを思うと、とにかく厳罰を望みたくなるかもしれません。しかし、いざ自分が犯罪者で刑罰を科される立場になった場合を想像してみてください。納得できない厳罰は反発しか生まないと感じるのではないでしょうか。犯罪者に納得して刑罰を受けてもらい、自分の罪と向き合ってもらうことで真の正義が実現されるはずです。そして、その納得を得るためには、丁寧かつ理路整然とした言語による説明が不可欠です。私たちは刑法を学んでいるからこそ、言語化を怠ってはならないと考え、ゼミでの議論に臨んでいます。

松原ゼミのメンバー(2列目中央が松原先生、前列右から3人目が筆者)

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