「大気水圏環境化学研究」【大学院創造理工学研究科設置科目】
大学院創造理工学研究科 修士課程 1年 村上 周平(むらかみ・しゅうへい)
私の所属する大河内研究室(大河内博教授・創造理工学部)では、環境問題の早期発見、早期解決に貢献できるような研究課題に取り組んでいます。環境に放出された無機・有機のさまざまな汚染物質の存在量を明らかにし、汚染物質がどのような経路で環境を移動し、その過程で環境やヒトに対してどのような影響を与えるのかを研究します。当研究室の目標は、医者が人を診断・治療するように、地球を診断して早期治療する“アースドクター”になることです。
私は、「大気中界面活性物質の動態・起源・環境影響」について研究しています。界面活性物質は家庭用洗剤や表面処理剤などとしてよく使われていますが、大気中ではPM2.5に含まれており、ドライアイなどヒトの健康に悪影響を及ぼすと言われています。上空に運ばれて雲粒に取り込まれると、雲粒の性質を変えて太陽光の反射率を変えたり、降水量を減少させたりして気候変動にも影響を及ぼすと考えられています。しかし、大気中界面活性物質の動態や起源は世界的にも報告例がほとんどありません。
私の研究目的はそれらの解明です。PM2.5、雲水、雨水などさまざまな試料を研究の対象にしているので、他の人とデータを共有していろいろな観点からディスカッションを頻繁に行っています。
研究室には学部4年生が6名、修士課程1年が5名、2年が3名、それに社会人で博士後期課程1年の学生が1名、計15名が在籍しています。大河内先生は研究、教育に熱心な先生です。学生との日常のコミュニケーションはもちろんですが、研究に関するディスカッションも毎週欠かさず実施しており、先生と学生の距離は非常に近いです。
また、大河内研究室では、大気・水質調査のためのフィールドワークが多く、さまざまな場所(富士山、丹沢、生田、福島、福井、カンボジア)へ行きます。いろんな場所へ行き自然を感じることができるので、学生は自分の研究テーマに関係なくても自ら積極的にフィールドワークに参加します。
富士山頂でのフィールドワーク(左)、福島でのフィールドワーク(右)
大河内研究室では横と縦のつながりを重視しています。横のつながりでは、月1回ペースで学生がイベントを企画したり、誕生日の人がいなくても「誕生日会」と称した懇親会を毎月行い、学生同士および先生との仲を深めています。また、大河内研究室は今年度で13期を迎えましたが、縦のつながりとして毎年11月に1期から一番下の代までが集まる「博友会(はくゆうかい)」別名「ひろしとものかい」が行われ、OB・OGの先輩たちと交流を深めています。
私たちはこれからも先輩たちが築き上げてきたものを引き継ぎ、アースドクターになれるよう努力していきます。