Waseda Weekly早稲田ウィークリー

早稲田の学問

〈資源エネルギー学〉未来のエネルギーの主役は?

化石資源の現状と新しいエネルギー技術の可能性

理工学術院 教授 関根 泰 (せきね・やすし)

1993年東京大学工学部卒、1998年同博士課程修了、2001年まで同助手、2004年まで早稲田大学理工学部助手、以後講師、准教授などを経て2012年より現職。2011年よりJSTフェロー兼任。2015年より文部科学省第8期 環境エネルギー科学技術委員会委員、他触媒学会理事など多くの学会での要職を務める。専門:触媒化学・資源エネルギー化学。http://www.f.waseda.jp/ysekine

今、世界は化石資源に由来するエネルギーに支えられている。しかし、いずれその利用からは脱却しなくてはならない。私たちが将来にわたり、安定したエネルギーを得るための課題は何だろうか。

限られた資源を有効に使うために

宇宙から見ると地球は大気に包まれた閉じた殻である。私たちはその閉じた殻の中で、限られた物質である化石資源を掘り出し、それを使ってエネルギーを獲得している。化石資源は有限であるので、100年後あるいは数百年後には必ず、その利用から脱却しなくてはならない。

その時、一次エネルギーとしては太陽を有効に使わなくてはいけないということは自明である。一方で現在の太陽光エネルギーの利用技術は未完成であり、決して効率が高いとは言えない。そのため、限られた化石資源を有効に使う技術を創り上げ、その間にも太陽光をよりよく使う技術を並行して開発していく必要がある。

各国の現状

現在、化石資源の利用においては世界で多くの方法論が並行して進められている。このうち、わが国は、中東から輸入した石油を中心的なエネルギー源とし、さらには天然ガスと石炭を海外から輸入して用いている。そのバランスを表したのが右図である。一方で北米ではシェール革命と呼ばれる新たな天然ガス・原油掘削方法の開発に伴い、安価に大量の天然ガス・原油が手に入るようになり、エネルギー源のシフトが進んでいる。すでに米国は世界最大の産油国・産ガス国となった。中東では、原油への依存はもちろんながら、並産する軽質ガスからの化学品製造が大きな流れをつくっている。ヨーロッパでは、ドイツはロシアからノルド・ストリームという2国間パイプラインを構築して天然ガスを大量に輸入し、フランスは原子力にエネルギーの大部分を依存している。また、スペインや北欧の一部では再生可能エネルギーに大きく頼っている。中国は、中央アジアからの天然ガスパイプラインが整備され、また、ミャンマーからもガスと石油のパイプラインがつながっている。一方で中国国内では、低品位な石炭を大量に産出しており、これを用いた発電や化学品製造が大規模に進められている。また三峡ダムのような巨大な水力発電も稼働している。

熱量基準で見たエネルギーの流れ (図中の数字は×1018 J/年<FY2014>) 出典:資源エネルギー庁・総合エネルギー統計2016年4月

知識の応用で未来のエネルギーは変えられる

今後のエネルギー利用を考えると、天然ガスや石炭の有効利用と、バイオマスなどの太陽光由来の資源の利活用、さらには太陽エネルギーの直接利用、の3つが柱となる。1つ目の天然ガスや石炭の有効利用については、わが国が得意とするところであり、現在、国のプロジェクトによって新たな研究開発が進められ、早稲田大学もそれに参画している。2つ目のバイオマス資源の利活用は、エネルギーとしての利用よりも、化学品としての利用、すなわちプラスチックや医薬品などの合成に植物を用いる方法が考えられてきている。3つ目の太陽エネルギーの直接利用としては、光触媒による水の分解、太陽光発電の高効率化と、それを用いた水電解による水素製造、太陽熱利用、などが進められている。

また、再生可能エネルギーによって得られた二次エネルギーは、主に電力か水素の形態をとる。電力の場合はそれを運んで貯めて使いやすくするための送配電技術(とりわけ超伝導送電)や、軽くて効率のよい二次電池の開発が期待される。また、水素の貯蔵・輸送においては、有機ハイドライドやアンモニア、メタノール、ギ酸などのエネルギーキャリアへの貯蔵と利用が有力と言われている。

これらはいずれも現在進行形の研究開発であり、皆さんが大学で得た知識を有効に利用して新たな技術を生み出すことで、次世代のエネルギーは大きく変えられる。皆さんの頭脳が新たなエネルギーの利活用のための技術を生み出すことに期待している。

(『新鐘』NO.83掲載記事より)

※記事の内容、教員の職位などは取材当時(2016年)のものです。

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