「視覚的質感」でディスプレーの新時代を切り開く
大学院基幹理工学研究科 修士課程 2年
岡田 陽平(おかだ・ようへい)
私の所属する基幹理工学研究科機械科学専攻の岩瀬英治研究室では、「マイクロマシン」と呼ばれる、人間の髪の毛の太さくらいの数十nm(ナノメートル)~数百µm(マイクロメートル) サイズの小さな機械の研究を行っています。あまりなじみのない言葉かもしれませんが、皆さんが普段使っている携帯電話の中には多くの「マイクロマシン」が使われており、現代の生活に欠かせない物となっています。
私は現在、その「マイクロマシン」を使った『視覚的質感の可変提示』というテーマに取り組んでいます。視覚的質感とは「つやつや」や「ざらざら」といった見た目の質感のことを指します。人間は、物体表面の質感を、触らなくても目で見ただけで「つやつや」や「ざらざら」といった視覚的質感として知覚することができます。私の研究では、さまざまな視覚的質感をディスプレー上に再現します。テレビや液晶ディスプレーでは、多くの色を表示することができますが、実は元になっているのは「赤」「青」「緑」の三つの色で、これらの光を混ぜ合わせて表示しています。
そこで、これと同じことが質感でもできないか、ということで「つやつや」と「ざらざら」の二つの質感のものを細かく並べ、その両者の割合をマイクロアクチュエータ(小さな駆動装置)などを用いて変えることにより、実物同様のさまざまな質感を表示させることを目指しています。これが実現すれば、通信販売において画面で見た商品と、実際に届いた商品の質感が違った、ということが防げるようになるかもしれません。
先行研究がほとんどない、新しいテーマであるこの研究に取り組むにあたり、最初は多くの苦労がありました。また、自分の専攻である機械科学以外に、光学、心理学の勉強なども必要であり、西早稲田キャンパスの学生読書室や理工学図書館には何度も足を運びました。他学科の先生に相談させていただいたこともあります。また、実験がうまくいかず、気付かぬうちに終電を逃してしまったことも。大変なことは多いですが、自分の考えた理論と一致するデータが取れたときの喜びはかなり大きいです。
これまでに、「ロボティクス・メカトロニクス講演会2016」「第21回バーチャルリアリティー学会」「インタラクション2017」の三つの学会で発表を行いました。他の大学の方とお話しすることで、新たな課題やアイディアが見つかり、研究に対するモチベーションを高めることができました。また、特許の出願も行っています。本年度は国際学会での発表・受賞を目指し、研究に取り組んでいきたいと思います。
【ある日のタイムスケジュール】
- 6:00 起床
- 9:00 研究室に到着、メールチェックなど
- 10:00 実験
- 12:00 同期と楽しいお昼ご飯 西早稲田キャンパス周辺にも、おいしいお店はたくさんあります。
- 13:00 実験
- 16:00 岩瀬先生とミーティング 週1回程度で行う先生とのミーティングは毎回新しい気付きがあり、非常に有意義なものです。
- 18:00 プロ野球観戦 良い研究を行うためには、研究と遊びのめりはりが大切だと思います。
- 23:00 帰宅・夕食・入浴
- 25:30 就寝