Waseda Weekly早稲田ウィークリー

早稲田の学問

学生同士で語り、考える グローバルの 「入り口」から 見えたこと<前編>

多様な国と地域から学生が集まる早稲田大学には、その国際性を生かして、グローバルへのさまざまな「入り口」が用意されている。代表的な存在といえるのが、学生同士が交流するICC(異文化交流センター)。ここでイベントを企画・運営する学生スタッフに、異文化交流から得たことについて聞きました。

商学部 4年 タ・ティ・カイン・ホア
英語の学習者が多いベトナムで、日本語を習得すれば「武器」になると考え、高校から勉強をスタート。企業の奨学金制度を利用し、早稲田大学へ留学。「海外に出る」という念願をかなえる。

属性で判断せず、その人自身を見る

私は、日本人学生やいろいろな国の留学生と交流するようになってから、人の捉え方が変わりました。以前は「米国人はにぎやか」「日本人は礼儀正しい」と、国籍や出身地で人を分類していたところがあります。でも今は、その人の属性ではなく、性格や考え方など、内面を見るようにしています。

将来は教育を通して、私の経験をベトナムの役に立たせたいです。長期的な目で見ると、社会に最も強い影響を与えるのが教育だからです。特に、ベトナムの子どもたちに世界が広いことを伝え、夢を与えるのが目標です。でも、そのためには資金調達や利益の循環など、ビジネスの知識が必要。今、在籍している商学部でしっかりと学び、数字に操られるのではなく、数字を操る人間になり、社会に還元していきたいと思います。

大学院法学研究科修士 2年 ファヴェロ・ソウザ・タイス
ブラジルで日本語を勉強したことをきっかけに、アニメや音楽など日本文化の大ファンに。2008年、日本へ留学。「ルールを尊重する文化が自分にフィットした」。法学の中でも、女性の権利を中心に研究している。

ブラジルにICCのノウハウを持ち帰る

大学の中で、留学生と留学生はコミュニティが同じなので、出会うチャンスはたくさんありますが、実は日本人学生と出会う機会は少なく、留学生が日本人学生と「友達」になることは、かなり難しいです。ゼミなどでクラスメイトとして接することはあっても、プライベートで付き合うような間柄に発展することはあまりありません。

でも、日本人学生も多く参加するICCのおかげで、日本の友達がたくさんできました。留学生にとって、ICCは人と関わり、成長する上で、とても助けになる場所です。ブラジルの大学にはこのような仕組みがないため、まずは日本でICCのような交流をサポートする仕事に就き、ゆくゆくはそのノウハウを母国に持ち帰り、特に女性の留学生をサポートしたいと思っています。

大学院日本語教育研究科修士 2年 松下 結妃(まつした・ゆいき)
留学など海外で長期滞在した経験はなく、「新しい自分が見つかるかも」という友人の言葉がきっかけでICCに参加。4月からは企業で働きながら、ボランティアで日本語教育に携わる予定。

幅広い意味での「多文化共生」を考える

私は、グローバル人材とは何か常に自分に問いながら活動してきました。一つ明確なのは、「他者性」を否定しないことだと思います。でも人は、自分と違う生き方や考え方に対し、壁をつくりがち。そこで私は、国の違いだけを焦点化しない企画の立案を心掛けてきました。障がい学生支援室やLGBT(※)のグループと連携を試みているICCの現状の姿勢も、さらに継続的に保っていてほしいと思っています。

学生スタッフとして、協働でイベントを企画し、実行し、改善する。実践重視の経験は、とても有益でした。これを生かして、今後もさまざまな異質性を踏まえた多文化共生の在り方を考え、自分自身が多様な異質性を尊重できる人として成長していきたいと思います。

※ “Lesbian(レズビアン)”“Gay(ゲイ)”“Bisexual (バイセクシュアル)”“Transgender(トランスジェンダー)”の頭文字をとった略語で、性的マイノリティを指す言葉としても使われる

キャンパスで見つける身近なグローバル

ICC(異文化交流センター)(Intercultural Communication Center)

学生主体で「創り・育てる」、異文化交流のコミュニティ。2006年から活動をスタート。学生スタッフが主体となり、学生同士の交流はもちろん、地域や校友、教職員などとの幅広い交流機会を生み出している。特に異文化や多様性に対する相互理解を促進することを重視している。3号館1階のラウンジは居心地も よく、利用価値大。

学生が留学生に日本語を教える「にほんごペラペラクラブ」の様子。早大生であれば気軽に参加できる

年に数回、泊りがけのイベントも企画。「日中韓ホンネ交流キャンプ」では領土問題などについて本音で議論する

ICCのイベントは実にバラエティー豊か。気軽に参加できるカフェ・スタイルのトーク・セッションや、音楽、ダンス、スポーツ、日帰りや泊まりがけのフィールド・トリップなど、まずは自分の興味や気分に合わせて参加してみては。

平山郁夫記念ボランティアセンター(WAVOC)(The Hirayama Ikuo Volunteer Ceter)

ボランティアプロジェクトの企画・運営やオープン科目の設置などを通して、全学的に「ボランティア活動」を推進。2002年の設立からこれまでに15万人を超える学生たちが体系的なプログラムを体験してきた。環境や人権、教育などさまざまな切り口で、海外とつながるボランティアプログラムを用意している。

タンザニアにてアフリカゾウ被害対策の養蜂箱の設置作業をする学生ボランティア

国際学生友好会(WIC)(Waseda International Club)

61年続く国際交流サークル。来日した留学生が日本の生活になじめるようにボランティアをする一方、「稲門祭」への出店、スピーチコンテストの運営、旅行など、さまざまなイベントを通して留学生と交流を行っている。早稲田大学の留学生だけでなく、大学近辺の日本語学校の留学生とも多く交流しているのも特徴。

バーベキューを楽しんだサークルメンバーと留学生たち

国際交流虹の会

1965年創立の伝統あるサークル。早稲田大学にある数多くのサークルの中でも最大規模で、アジア、欧州など、さまざまな国や地域から来た留学生がたくさん在籍している。活動内容は、スポーツ、文化交流、パーティーなど、多彩なイベントを実施。国内で国際交流という貴重な経験ができる。

サークルメンバーで早慶戦を応援

 >> 後編へ続く(6月30日掲載予定)

(『新鐘』No.83掲載記事より)

※記事の内容、登場する教員の職位および学生の所属・学年などは取材当時(2016年)のものです。

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