「総合的な学習の時間の実践研究」 【大学院教職研究科(※)設置科目】
大学院教職研究科 2年 増田 真裕花(ますだ・まゆか)
田中博之先生(教育・総合科学学術院 教授)による「総合的な学習の時間の実践研究」の授業では、受講者が「主体的に議論に参加したり、言葉だけでなく体や心を使って体験したりしながら、相互に学び合う」ワークショップ形式で授業が進められていきます。ワークショップ学習の手法を学びつつ、それを実際に体験するため、教員としてどのように授業を創り上げていくか、学級の中でどのような児童生徒を育てていきたいかなど、さまざまなイメージを膨らませていくことができます。
この授業で学べるワークショップ学習の手法は多様ですが、中でも海外で実践されてきた「ドラマ教育」を体験しながら学ぶことができるのが特徴です。「ドラマ教育」とは、子どもの豊かな表現力、感受性、人間関係力、そして自信と自尊感情を育てることを狙いとして、グループで多様な即興表現を行わせる教育活動のことです。
秋学期後半の11月から始まるこの授業では、2月の最終授業での「即興劇発表会」に向けて、まずは受講者が“劇団”になるための人間関係づくりを目的としたワークショップを行います。そして、互いにありのままを表現できる関係になったところで、相手に出されたお題に対して全身を使って表現する「なりきり表現」ワークショップで、表現力や創造力を高めていきます。
授業回数を重ね、劇を創り上げる力が身に付いてきた中で迎えた最終授業で「即興劇発表会」が行われました。いつもの教室を離れ、早稲田小劇場どらま館の舞台での発表はとても新鮮でした。
受講生がその場で決められた2グループに分かれて、劇を発表するのですが、この劇のお題は授業中に発表され、グループで30分程度話し合いながら、ストーリーを創り上げ、配役を決めて演じるため「即興劇」と呼ばれるのです。今回のお題は、授業開始時に田中先生から1枚の写真が示され、その場面をイメージし、ストーリーを考え、演じるというものでした。
実際に発表してみると、同じ1枚の写真から創造したにも関わらず、それぞれのグループで、ストーリーも劇の構成の仕方も全く違うものになりました。演じるだけでなく、互いに発表を鑑賞し合い、学び合うことができるのも魅力の一つです。
この授業を通して、ワークショップの手法はもちろんのこと、ドラマ教育を体験することで、即興力や創造力、表現力を高めることができ、自身が成長することもできました。社会では組織として何かを創造することも大切であるため、この授業を通して、グループで創造していくといったプロセスも体験でき、大変良い経験になりました。
※2017年4月より大学院教育学研究科高度教職実践専攻(教職大学院)に再編されました。