Waseda Weekly早稲田ウィークリー

早稲田の学問

貧困削減の鍵 ヤギ銀行の研究にまい進

持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた国際協力:UNDPでの経験を生かして

大学院アジア太平洋研究科 博士後期課程 2年
河村 由美子(かわむら・ゆみこ)

私がアジア太平洋研究科の博士課程に進もうと思ったのは、これまでの勤務経験から自然に湧き起こった思いからでした。WWF(世界自然保護基金)ジャパンという国際環境保全団体に約10年在籍し、気候変動をはじめとした地球規模の環境問題に取り組む中で、次第に人権問題に興味を持つようになりました。その後、日本ユニセフ協会や現在の国連開発計画(UNDP)などの国際機関での勤務を通じて、人間の安全保障を中心とした活動について学んでいます。

20世紀が“戦争の世紀”とすれば、21世紀は“災害の世紀”ともいわれるように、世界で異常気象が多発し、人類は新たな脅威にさらされています。その中でも最も被害を受けるのは、温室効果ガスをほとんど排出してこなかった開発途上国の貧しく脆弱(ぜいじゃく)な人々です。災害だけではなく、食の安全保障や保健、教育など、さまざまな分野に及ぶ格差に対して、アカデミックな視点から現実的なソリューション(解決策)を見いだしたく、あらためて勉強してみたいと考えるようになりました。

私が博士課程で研究しているのは、家畜銀行、とりわけヤギ銀行の貧困削減、栄養改善、ジェンダー平等への貢献についてです。これらの貢献は、すなわち国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」への貢献にもつながります。ネパールやラオス、ベトナムなど、開発途上国の貧しい地方の村では、ヤギ銀行によって貧困削減や栄養改善などに取り組んでいる事例があります。基本的なスキームとしては、貧困家庭に2頭ずつメスヤギを貸し付けて子供を増やしてもらい、3年後に2頭のメスヤギを返してもらうというものであり、貧困層への金融支援としてノーベル平和賞を受けたムハマド・ユヌス氏のグラミンバンクの「ヤギ版」ともいえる取り組みです。ヤギは、繁殖力に優れ、気候変動にも対応しやすく、女性でも扱いやすく、乳製品などの副産物からの現金収入も期待できる家畜であることから、その有用性が注目されています。

自宅でもヤギを飼育しています

現在PRコンサルタントとして勤務するUNDPは、災害から紛争解決、ジェンダー問題など、実にさまざまな人間開発(※)に関する課題を扱う国連機関です。中でも、特にUNDP駐日代表事務所が力を入れているのが、日本政府と取り組むアフリカ開発会議(TICAD)です。TICADは1993年、日本政府と国連、(当時の)アフリカのための世界連合による共同イニシアチブとして、アフリカとその開発パートナーとのハイレベルの政治対話を促進すること、およびアフリカ主導による開発への取り組みに対する支援を結集することの2つを目的に発足しました。今回8月27日~28日にアフリカ、ケニアで開催された「TICAD VI」では、アフリカに対する国際的な支援を結集する格好の場を提供し、日本からも多くの企業やNGOなど、さまざまなステークホルダーが参加しました。今回のTICADを通して、単に提供するだけの支援から自立するための支援へ、また企業のCSR活動(社会貢献活動)としての支援から本業の取組みとしての支援へ、国際協力の質が大きく変わっていることを実感しています。

国際機関でのこれらの勤務経験を博士研究の糧として、持続可能な開発目標(SDGs)を達成するための実際的なアプローチを、アカデミックな見地から追求していきたいと考えています。

※人間開発…人々が各自の可能性を十全に開花させ、それぞれの必要と関心に応じて生産的かつ創造的な人生を開拓できるような環境を創出すること(UNDPのWebサイトより)

【ゼミに出席する日のスケジュール】
  • 表参道界隈で500円以内でランチできる貴重な丸亀製麺の「かけうどん+野菜天」計490円

    06:00 起床、テレビでニュースチェック

  • 07:30 自宅を出発、湘南新宿ラインで渋谷へ、車内でメールチェック
  • 09:30 職場到着、勤務開始
  • 13:00 ランチ
  • 17:30 勤務終了、ゼミに出席
  • 研究室兼仕事場の様子

    20:00 ゼミ終了、帰宅途中の車内でゼミの振り返り

  • 21:30 帰宅
  • 22:00 文献購読、論文用のメモ作り
  • 24:00 就寝

    DSC_0808

    “愛読書”(といっても翻訳に携わったUNDP関連報告書)

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