「海外の日本語教育を考える」(グローバルエデュケーションセンター設置授業)
社会科学部 2年 高橋 かのん(たかはし・かのん)
日本語教育研究センターの毛利貴美先生によるこの授業は、海外における日本語教育の現状や問題を、さまざまな角度から考え、深めていくというものです。他の学生とディスカッションをする機会が設けられているので、自分で考察して終わり、というわけではなく、自分の意見を分かりやすくまとめ、伝えることが求められます。また、学期末には日本語教育研究センターなどの留学生を招いて、教育についてインタビューやディスカッションをします。
私が履修したときには、クラスにいる学生は皆、学部や学年、そして留学生も多く国籍もばらばらでした。そのため、ある1つのトピックについて話すときでさえ、小さな異文化交流が行われているようでした。
この授業で一番ユニークだと思うのが、Skypeを活用した遠隔セッションです。海外(私が受けた授業では、フィリピン・アメリカ・ブラジル・韓国)に住んでいる日本語教育の専門家が、ゲストスピーカーとして教室の大画面に映し出され、各国の日本語教育の実情や問題を語ってくださいました。といっても、終始専門的で堅い講義が繰り広げられるというわけではなく、個人的な経験や現場での苦悩・挫折なども交えた「生の声」を聞くことのできる授業でした。リアルタイムで質問することもでき、大変貴重な時間だったと思います。
毎週授業後にはレビューシートを書くのですが、そのときに内容を振り返り、内省します。そして次の週のディスカッションでは、課されたテーマについて他の学生と意見交換をし、全員の前で発表する場も設けられています。自分とは違ったバックグラウンドを持つ学生の意見は毎回新鮮で、新しい気付きを与えてくれました。クラスが一体となって、1つのテーマをゆっくり深めていく、そんな授業です。
「月曜日1限」という、文字を見ただけでも少し気が重くなる時間帯に設置された授業ですが、先生の温かい雰囲気と、毎回何かしらの発見や収穫がある内容のおかげで、出席するのが楽しみでした。
初めは興味半分で履修しましたが、15回の授業を受け終えたときには、「海外で日本語を教えたい」というモチベーションが高まっていただけでなく、海外で日本語を教えるために必要なスキル、待ち受けている困難や日本語を海外で教えるやりがい、そして自分の中での日本語教師の理想像がクリアにイメージできていました。これは、ディスカッションや考察を通して自分の意見を深化させたと同時に、現場で働く方の「生の声」を聞くことができたからだと思います。