Waseda Weekly早稲田ウィークリー

早稲田の学問

(338)アジアグローバル世界における日本古代史

日本史学演習6(日本古代史)

文学研究科修士課程2年 印南 志帆 (いんなみ しほ)

 名前なら誰もがよく知る『日本書紀』。この史料の読解を通じて、そこに描かれた7世紀末までの日本古代社会が、現代人もびっくりのグローバル環境の中にあったことが分かってきました。

日本古代史・アジア地域文化学をご専門とする新川 登亀男(しんかわ ときお) 教授の当演習は、担当者の報告とその後の議論という流れで進みます。テキストは国宝・北野本の複製写本。小さな墨痕も見落とさず、一文一文じっくり考察します(1カ月に読み進めるのがたったの3行!ということも)。今現在読んでいるのは、7世紀末に君臨した女帝、持統天皇の時代です。

この演習を受けて感じたのは、日本史を一国史観で捉えることはできない、ということです。『日本書紀』に記された「日本」は、東アジア世界で繰り広げられた人々の交流を通じて形成されていきます。在来の慣習と折り合いをつけつつ、東アジアの共通文法である律令・仏教・漢字文化などを取り入れ、同時にこれらを列島の周縁部にまで伝播(でんぱ) させていくのです。よって、レジュメを作るために慣れない中国・朝鮮半島の史料をひもとくこともしばしば…。

時には、アジアの歴史認識問題に関わる史料に出合うことも。タブー視はせず、各国の歴史観に理解を示しながら、厳密な論証により浮かび上がる「史実」とは何なのか、それをみんなで議論し、追求していくことに意義を感じています。

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