「正解がない大学生活の過ごし方 考えるヒントにしてほしい」
文化構想学部 2022年3月卒業 中村 優(なかむら・ゆう)
2022年3月、早大卒業と同時期に、初の著書『かわいいノートでがんばる作戦 高校生の勉強ノートの作り方 STUDY WITH ME』(学研プラス)を出版した中村優さん。この本を出版したきっかけは、大学生に役立つヒントに特化した自身のInstagramだったと言います。そんな中村さんには、中学3年生から大学1年生まで、「ももいろクローバーZ」の妹分「3Bjunior」でアイドルとして活動していたという異色の経歴も。今回は、著書の制作秘話から、SNSの活動、全力でやりたいことをやり切ったという早稲田大学での4年間などについて聞きました。
――中村さんは、3月に初の著書を出版しました。出版のきっかけや制作のこだわり、苦労したことについて聞かせてください。

『かわいいノートでがんばる作戦 高校生の勉強ノートの作り方 STUDY WITH ME』(学研プラス)
この本では、私が高校時代に実践していたとっておきのノート術を、丁寧に解説しています。詳しいことはぜひ本を買っていただきたいのですが(笑)、チラリとお話しすると、「ペンは『鎮静効果』と『印象効果』がある青ペンを使う」とか「見返すことを前提に余白多め+文字は大きめ』など、誰でもすぐに実践できる方法を惜しみなく紹介しました。出版のきっかけは、高校時代のノートの取り方を紹介したInstagramの投稿を、学研の編集者の方が見てくださったこと。昨年4月に「ノート術をテーマにした本を出版しませんか」とお誘いをいただきました。
執筆だけでなく、編集の作業にも携わったのですが、特に苦労したのは、高校時代のノートを誌面で再現するために、教科ごとにノートを作り直したこと。当時は、卒論執筆の時期と重なっていて、両立には少し苦労しました。
また、勉強のモチベーションを上げるためにも、ブックデザインのかわいらしさにもこだわりました。今時の高校生がどんなものをかわいいと思うのか、SNSで現役の高校生に話を聞いたりもしました。前からずっとファンだったイラストレーターのしろくまななみんさんに挿絵を依頼して、とてもかわいらしい本を一緒に作り上げることができたことは、宝物のような経験です。
本のタイトルは高校生向けとなっていますが、自分ノート(手帳とメモ帳とTo do リストなど、全てひとまとめにしたノート)や、資格勉強のノート作りにも役立つヒントが盛りだくさんなので、ぜひ早大生の皆さんにも読んでいただきたいです。
写真左:担当編集者との打ち合わせの様子
写真右:中村さんが書き起こしたノートを元にしろくまななみんさんが作成したノート
――出版のきっかけとなったInstagramでの発信を活発に行っていますが、始めた理由やこだわっている点を教えてください。

ある一週間のスケジュール。意外にもスケジュール管理はスマホ派。時間を有効に使うためにも、予定は細かくしっかりと立てることを大切にしている
投稿を始めたのは、新型コロナウイルス感染症の影響でオンライン授業が始まった2020年5月です。初めてのオンライン授業で戸惑うことだらけでしたが、自分で試してみて良かったと感じた受講の仕方などを、私と同じように試行錯誤している学生たちにシェアしたいと思ったことがきっかけです。初投稿から徐々に、高校時代の勉強法や大学生の暮らし術などの情報を発信するようになりました。現在は、「大学生のためのお役立ち情報」に焦点を当てて、勉強法、サークル選びの注意点、大学生の必須アプリ、資格取得や就活情報など、自分の生活に取り入れたくなり、さらにQOLが上がる情報を発信することを心掛けています。中でも、大学生の1日の過ごし方や、通学バッグの中身紹介などの投稿は、特に人気ですね。
自由な時間が多い大学生活では、何に力を入れて過ごすかは人それぞれで、正解はないと思っています。あくまで私の投稿は、充実した楽しい大学生活を過ごすヒントにしてもらえればと思っています。

中村さんが運用するInstagramの投稿。写真の投稿では大学入学前にすべきことを紹介している。早大生のフォロワーも多く、DMで相談が来ることも
――では、中村さんが早稲田大学に進学した理由を教えてください。
私は他大学の付属高校に通っていて、高3の春までは内部進学するつもりでいました。でも、その高校にも推薦制度で入学したこともあり、今まで必死で勉強をし、目標を達成する経験をしていないことにふと気付いて。大学ではさらなる高みを目指したいという気持ちが強くなり、早稲田大学を受験しました。文化構想学部を志望したのは、当時はマスコミ関係の仕事に就きたいと考えていて、その分野の授業が多いためです。
早稲田を志望したのには、実はもう一つ理由があります。早大生になったら「高学歴アイドル」としてクイズ番組などで活躍できるかも! という淡い期待が芽生えたこと。しかし、当時所属していた事務所は進学先を公表しない方針だったため、私の計画は失敗で終わってしまいました(笑)。
受験の時は「人生で一番頑張る1年にしよう」と決めて死ぬ気で勉強しました。その経験が今の自分の自信にもつながったので、早稲田を受験して本当に良かったと思っています。
――中村さんは、大学1年生の11月に所属していたアイドルグループを卒業しています。なぜ両立ではなく、卒業することを決めたのですか?
早大生として生活を始めると、高校生活とは異なる自由な環境がとても楽しく、限られた時間の中でやってみたいこと全てに取り組むためにも、大学生の生活に専念したいと思うように。また、幼少期から芸能活動をしていた私にとって、アイドルとしての活動はやり切ったという気持ちもあったので卒業を決めました。
実は卒業コンサート当日は、早稲田祭と重なってしまって。私は公認サークルFMwasedaというラジオサークルに所属していて、早稲田祭当日もサークルが主催するイベントでMCを担当する予定になっていたため、朝は早稲田祭に参加、午後は卒業コンサートでパフォーマンスをするという大忙しの1日に。とても忙しい日でしたが、周囲がどちらの活動にも協力してくれたため、忘れられない1日になりました。
写真左:公認サークルFMwasedaの早稲田祭でのイベントの様子
写真右:アイドル時代。コンサートが終わってホッとしている表情の1枚
――今春早稲田大学を卒業しました。卒業後の進路や将来の夢を教えてください。
WEBマーケティングを扱う企業に就職し、会社員として働きます。その会社では主に、企業のSNS運用に携わる予定です。SNS運用では若い人から見て、どう感じるかという視点も非常に大切だと思うので、積極的に自分の考えを出せるようにしたいです。
一方で、Instagramの投稿も続けていきたいと思っています。今までは、大学生の視点から同じ大学生に向けて情報を発信していたのですが、4月以降は社会人になって感じたことなども発信する予定です。例えば、新社会人の目線から、「大学生のうちにやっておけばよかった10のこと」といった発信もできれば面白そうだなと考えています。また、今回のようにInstagramでの発信を元に、2冊目、3冊目の出版も目標にしています。

卒業式を迎え、戸山の丘で
――この号は「入学記念号」ですが、中村さんから早稲田大学の新入生に向けて、この時期にやっておくと良いことがあれば教えてください。
入学当初は、大学生活で少しでもやってみたいと思うことがあれば、すぐに行動に移すと良いと思います。アルバイトや留学、インターン、サークルなど気になったものに取り組んでみれば、新たな発見があるかもしれません。私は1年生の頃に4つのサークルを掛け持ちしていました。今の時期はやってみたいことはどんどんチャレンジして、後から取捨選択するのがお勧めです。
一方でやってみたいことを見つけられない新入生もいるかもしれません。そのような新入生にお勧めなのは、早稲田大学から送られてくる情報をこまめにチェックすること。大学からは、授業外で行われる課外活動やセミナーの募集などもWasedaメールで送られてきます。これらに参加してみると、授業以外でも興味の範囲を広げることができると思います。私もこのメールがきっかけで1年生の時からキャリアセンターが実施しているセミナーに参加していました。また、2年次の秋学期、同志社大学に国内留学したのですが、これを知ったのもWasedaメールで募集要項が送られてきたことがきっかけです。Wasedaメールを普段使っているスマホに転送されるように設定して、こまめにチェックする習慣をつけると、自分の視野を広げる機会を得ることができますよ。
写真右:入学式でワセダベアと喜びの1枚
写真左:2年生のとき。国内留学先の同志社大学でもラジオサークルに参加し、活躍した
第808回
取材・文・撮影:早稲田ウィークリーレポーター(SJC学生スタッフ)
人間科学部 3年 佐藤 里咲
【プロフィール】
神奈川県出身。法政大学女子高等学校(現、法政大学国際高等学校)卒業。Instagramでは、大学生活を充実させるヒントの発信をテーマに投稿。2022年3月10日には、『かわいいノートでがんばる作戦 高校生の勉強ノートの作り方 STUDY WITH ME』を学研プラスから出版。趣味は、お笑い芸人のラジオを聴くこと。お勧めは『オードリーのオールナイトニッポン』と『三四郎のオールナイトニッポン0』(いずれもニッポン放送)。お勧めの授業は、「ウーマン・キャリアクリエイト講座」(GEC設置科目)。社会で活躍する先輩社会人の話を聞くことができ、就職活動にも生かすことができたと話す。