教員の立場として思うことはさまざまであるが、ここで特に取り上げたい点は健康管理である。
授業を通じて学生と接していると、驚かされることがたまにあるが、中でも、一人暮らしをしている学生の食生活にはギョッとさせられたことが何回かある。一年生のクラスで、毎日カップラーメンを食べて過ごしているという男子学生がいた。なぜかと聞くと、「安いから」、「簡単だから」という。それでは、「栄養不足になるよ」と注意喚起した後、毎回授業の最初の10分間を割いて簡単なレシピの紹介をした。その後、その学生はクッキングに目覚め、レパートリーが広がったという。もう一つの例は、夏休みに学生達と一緒に食事をした際、ガツガツとまるで今までろくに何も食べていなかったかのように食べる小柄な女子学生がいたので、ちゃんと日頃食べているかと聞くと、毎日納豆だけをごはんと一緒に食べているという。これにもまた驚かされた。つまり、地方出身で一人暮らしをしていると、交際費といった諸々の出費がある中、なかなか食費までにはまわらないという。
ここでは、二人の例に過ぎないが、似たケースは山ほどあるはずだ。経済的事情はそう簡単に解決できるようなものではないであろうが、学生の意識を変えることは十分出来るはずだ。若いから、ちょっと無理しても直接身体的影響が出るわけではないので、ついつい健康を疎かにしてしまう。しかし、体は資本である。健康あっての、勉強でありサークル活動であろう。一番基本なところだ。この点を是非、心がけてほしい。
(S)
第1053回