マナー違反は駄目だと言うより、マナーを守るメリットを強調
政治経済学部 2年 末光 ひかり(すえみつ・ひかり)
早稲田大学の公認サークル「広告研究会」は、2017年で104年の歴史を持つ日本最古級の広告研究会です。300人を超える会員が、火曜日と金曜日の6、7限に活動しています。
「広告で社会に驚きを」というビジョンの下、「広告」を通じて学生と社会の在り方を提案し、創造することで、日本を盛り上げることを目的としています。1、2年生から構成されるグラフィック広告チーム、映像広告チーム、広告戦略チームと、3年生から構成される実践チームという4つのチームに分かれ、企業などから課題をいただき、広告を作って発信するという活動をしています。

プレゼンテーションの様子
今回、私の所属しているグラフィック広告チームは、警視庁戸塚警察署から「若者の交通ルール違反率低下のためのポスターを作ってほしい」という課題をいただき、およそ1カ月にわたり、8班に分かれて取り組みました。
調査の結果、イヤホンを着けながら、またはスマートフォンを触りながら自転車を運転する「ながら運転」や、歩行者の「信号無視」「横断禁止場所での横断」、二輪バイクに乗る際の「ヘルメット非着用」といった交通ルール違反が若者には多いことが分かりました。
そこで、私たちの日常に潜む交通ルール違反をそれぞれの班が取り上げ、どうしたら若者、特に早大生に響くポスターが作れるのかを考えました。
7月7日(金)、雑司が谷地域文化創造館にて、戸塚警察署の方に向けてプレゼンテーションを行いました。戸塚警察署長をはじめとした4人の審査員の方の前で、1年生は緊張しながらも堂々とパワーポイントを効果的に用いながらプレゼンをしました。そして見事優勝に選ばれたのは、信号無視する大学生を減らすためのこちらのポスターでした。

ポスターは、早稲田のうどん店「ごんべえ」など、さまざまな場所に貼り出されている
交通安全のポスターというと、何かを禁止し、それによるデメリットを挙げていることが多いですが、このポスターは、信号を守ることによるメリットを打ち出すことで従来のポスターとの差別化を図り、間接的に交通ルール違反をする若者を減らす狙いがあります。「美しい」という、誰もが他人からそう思われたいという思いをくみ取ってポスターに落とし込みました。
このポスターは戸塚警察署の周辺企業に配布されたほか、早稲田~高田馬場近辺のさまざまな場所に掲示されています。私たちのポスターが、交通ルールを守る早大生が増えるきっかけになれば幸いです。
今回の課題は、非商品の広告、交通ルールの啓発のための広告は、商品を売り出すための広告よりも、いかにターゲットの心に響かせるか、行動を変えさせるかを考えるのが難しかったです。今後も、4チームで切磋琢磨(せっさたくま)しながら、社会に驚きを与えられるような広告を作り続けていきたいと思います。

プレゼンテーションの後、戸塚警察署の方と共に