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現場での問いをデータで確かめる 医療・介護政策の研究【経済学研究科】

 

早稲田キャンパス 121号館ソーシャル&ヒューマン・キャピタル研究所の前で

大学院ってどんなところ? 現在、早稲田大学には21の大学院があります。今回の「研究まっしぐら!」は、経済学研究科で研究に励む草野さんのキャンパスライフを紹介。大学院へ進学した理由をはじめ、学問の魅力だけでなく、一日の過ごし方も伝えます。

日々の暮らしや学びで抱く疑問を手放さず、納得できるまで掘り下げる

大学院経済学研究科 博士後期課程 3年 草野 哲史(くさの・あきふみ)

私は医療経済学という分野で研究をしています。特に関心があるのは、医療や介護を巡る制度や政策が人々の暮らしにどんな影響を与えているのかを、データを使って明らかにすることです。私が所属する野口晴子先生(政治経済学術院教授)の研究室では、医療・介護のビッグデータを活用した政策評価に取り組んでいます。研究方法としては「因果推論」と呼ばれる手法を用いて、ある制度や出来事が本当に人々の生活を変えたのかを検証しています。

研究を始めたきっかけは、公務員として医療や介護といった社会保障政策に関わった経験です。より良い政策にはエビデンスが欠かせないと感じ、自身でどんなことができるかと考え、経済学研究科に進学しました。

これまで取り組んできたのは、介護と労働の関係や産科医療に関することです。介護と労働の関係では、配偶者が脳卒中で倒れたとき、その家族の働き方や心の健康がどう変わるのかを、大規模な追跡調査データから分析しました。また、産科医療に関する研究では、地方で病院の分娩(ぶんべん)を取り扱う産婦人科が減少することが、医師の診療や生まれてくる子どもの健康にどう影響するのかを調べました。いずれも、社会保障の分野で今関心が集まっているテーマです。

こうした研究は、家族の介護をする人をどう支えるか、また、限られた医療資源をどう最適に配分するかといった政策を考える際の手がかりになると考えられます。

写真左:同じ研究プロジェクトの仲間と研究内容について話し合っている様子
写真右:学会の発表で使用したポスター。通常、研究開始から学会発表までは1年くらい、現在学術誌に投稿している研究には3年程度取り組んでいます

社会保障において注目されているテーマと、因果関係が成立するテーマとを組み合わせるところに、研究の面白さを感じています。どんなに重要な問いでも、原因と結果の関係を正確に取り出せる状況が整っていなければ、論文として形にしていくことは困難です。世の中の関心が高いテーマの中に、たまたま、条件がそろった状況を見つけ出せたとき、研究としての手応えがあります。さらに、先行研究の確認やデータ整備といった地道な作業を経て研究できたときは、達成感があります。

2025年6月、カナダのトロントでの学会「Sixth World Labor Conference」で発表した時の様子

研究の出発点は、日々の暮らしや学びの中でふと抱く「なぜだろう」という疑問です。社会的に重要であっても、すぐには論文にならない問いに、根気強く挑み続けていきたいと思っています。皆さんも、大学在学中だけでなく卒業後も、感じた「なぜ」をぜひ大切にしてください。

ある日のスケジュール

趣味の登山中に撮影した一枚

  • 07:00 起床
  • 09:00 大学の研究室でいくつかのジャーナルをチェック、データ処理(電車通学では一駅前で降りて、研究室まで歩くようにしています)
  • 12:00 昼食
  • 13:00 データ処理、論文作成(キャンパス内で同級生に会った際は、研究テーマについて立ち話)
  • 18:00 帰宅・夕食
  • 23:00 就寝

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