
日本、そして世界各地から早稲田にやってきた学生が、自身のふるさとを紹介する「早稲田ふるさと大使」。今回は、スリランカ出身のアベイタラナさんが、その魅力をお届けします。
小さいけれど、心はとても大きな国
国際教養学部 3年 アベイタラナ マリンダ
インド洋に浮かぶ小さな島国、スリランカ。その名前を聞くと、多くの人は紅茶やカレーを思い浮かべるかもしれません。けれど、自分にとってスリランカは、とても静かで深い香りを持つ場所です。海と山が寄り添い、緑が一年中絶えないその国には、ゆっくり流れる時間と、人々の優しい笑顔があります。
僕が育ったスリランカの中部にある都市・キャンディは、霧が丘を包み、朝露が木々を濡らす美しい町です。放課後になると、友達と一緒に坂道を登り、夕日に染まる町を見下ろしました。遠くに見える寺院の鐘の音と、森を抜けてくる風の香り。それらが交じり合う瞬間、僕は自分の心がこの土地と一つになっているように感じました。

キャンディ市にある、有名なクイーンズホテル。英国の植民地だった頃に建造され、160年以上の歴史がある
僕の家族はブラックペッパーの農園を営んでいます。父の手で育てられた胡椒の木は、強い太陽の光の下で育ち、香り高い実を実らせます。収穫の日、家の庭いっぱいに広げられたブラックペッパーが、風に揺れながら太陽の匂いを吸い込んでいく。その香ばしくて少し刺激的な香りは、今でも僕にとって“ふるさとの記憶”そのものです。子どもの頃は、父のそばで胡椒の粒を手の平に乗せ、その香りを確かめるのが好きでした。指先に残るスパイスのぬくもりが、なぜか安心をもたらしたのです。
スリランカの家庭では、スパイスは単なる調味料ではなく、家族をつなぐ“香りの糸”です。朝になると、ココナツやカレーリーフの香りが台所から漂い、母の声と共に一日が始まります。食卓を囲みながら家族で笑い合う時間、それが僕にとって、世界で1番豊かな瞬間でした。
写真左:自宅の庭から見える夕焼け
写真右:父が営むブラックペッパーと紅茶の農園

地元近くにあるお寺、ネリガラ寺院。山の上にあり、景色がとても綺麗です
スリランカは、仏教、ヒンドゥー教、イスラム教、キリスト教などが共に息づく国でもあります。宗教が違っても、人々は互いに祭りを祝い合い、喜びを分かち合います。その寛容さと優しさに、僕はずっと救われてきました。違いを恐れず、尊重し合うこと、それがスリランカが教えてくれた生き方です。なので、「スリランカってどんな国?」と聞かれると、僕はいつも「小さいけれど、心はとても大きい国だよ」と答えます。
また、スリランカの言葉で「Ayubowan(アーユボーワン)」というあいさつがあります。「あなたに長寿と幸福を」という意味です。この言葉のように、スリランカはいつも人々を包み込み、祈り、笑顔で迎えてくれる。僕もそんな心で、世界の人とつながっていきたいと思っています。
◎ スリランカはこんなところ ◎
インドの南東に位置する島国で、首都はスリ・ジャヤワルダナプラ・コッテ。人口は約2,176万人(2024年12月時点)。面積は約6万5,610平方キロメートルで、北海道の約0.8倍。1年を通して温暖な気候で、海や山など豊かな自然環境を有し、「インド洋の真珠」と呼ばれる。紅茶やスパイス、ココナツなどの農業が盛ん。日本との時差は-3.5時間。






