
左から、野中選手、田中選手。早稲田大学上井草グラウンドにて
2025年も熱戦が繰り広げられているラグビーの関東大学対抗戦。今年は、11月23日(日)に秩父宮ラグビー場にて早慶戦が、12月7日(日)に国立競技場にて早明戦が行われます。この対抗戦での優勝、そして大学日本一を目指す早稲田大学ラグビー蹴球部から、主将の野中健吾選手、副将の田中勇成選手に、今年のスローガン「One Shot」に込めた思いや、早慶戦・早明戦への意気込みを語ってもらいました。
また、ラグビー蹴球部の活躍を日々追っている早稲田スポーツ新聞会(公認サークル)にもインタビュー。今年のチームの見どころや注目選手について聞きました。早稲田ラグビーの魅力を知って、みんなで応援しましょう!
※取材は2025年10月14日に行いました。
INDEX
▼一つ一つのプレーにこだわり一致団結! ラグビー蹴球部インタビュー
▼早稲田ラグビーを熱烈トーク! 早稲田スポーツ新聞会インタビュー
一つ一つのプレーにこだわり一致団結! ラグビー蹴球部インタビュー
主将・センター(CTB)
スポーツ科学部 4年 野中 健吾(のなか・けんご)東海大学付属大阪仰星高等学校出身
副将・フランカー(FL)
教育学部 4年 田中 勇成(たなか・ゆうせい)早稲田実業学校高等部出身
主将・副将が語る2025年のチームの魅力
――お互い、どんな主将・副将として見ていますか?
田中:主将の野中は下級生の頃からリーダーシップを発揮していて、その姿をずっと近くで見てきました。ラスト1年、そんな野中がチーム内でコミュニケーションの中心になり、部員全員が一丸になることができれば、本当にすごいチームができる。そう感じて野中を主将に推薦しましたし、その期待通りのチーム作りができていると思います。

野中主将
野中:主将就任にあたっては大田尾竜彦監督(2004年人間科学部卒)からも、「お前の気持ちをチームに伝えていくことが必要だ」と言われたので、大所帯のチームの中でどれだけ自分の考えや気持ちを伝えていけるかは、今も日々意識しています。
自分から見た副将の田中は本当に純粋で、ラグビーに対して真面目で情熱もあります。といっても熱いだけでなく、意外と冷静で頼りになるんです。
田中:入部してからの3年間、まだ日本一をつかみ取ることができていません。だからこそ、ラスト1年にかける気持ちは自分でも強いと思っています。
――2025年のチームスローガン「One Shot」に込めた思いは?
野中:昨年の関東大学対抗戦では優勝し、すごく良い準備をして大学選手権決勝に臨みましたが、日本一には届きませんでした。何が足りなかったのか考えた時に浮かび上がったのは、一つ一つのプレーにもっとこだわること。そして、チームが団結して一つになって戦う意味も込めています。

田中副将
田中:昨年のチームは佐藤健次さん(2025年スポーツ科学部卒。現・埼玉パナソニックワイルドナイツ/日本代表)という圧倒的なリーダーがいて、チームを引っ張ってくれました。でも、今年は全員がリーダーシップを取っていこうという共通認識で始まっています。その狙い通り、責任感を持った一人一人がいかに団結していくか、という意識は持てています。
野中:ここまでの対抗戦でも、昨年以上にチームが一つになる良さと、全員で一緒に戦う気持ちは出せているはず。ただ、もっと一つになれる伸びしろも感じています。部員だけでなく、観客の皆さんも巻き込めるようなチームを目指していきたい。そして、その一体感を試合で発揮していくためにも、まずはディフェンスから流れを作り、アタックの部分でもフォワード陣・バックス陣という役割関係なく、チームとして一体となったアタックにつなげていく。実際、昨年以上に良いアタックができていると思います。
――個人として取り組んでいることは何ですか?
野中:まずは、主将としてチームで一番体を張ること。そして、オフ・ザ・ボール(※)の動きの質を高めていくこと。責任を持って自分にできることを全うしようと意識しています。
※ ボールを持っていない状態のこと。ボールを持っていなくても、ボールを持つ選手(オン・ザ・ボール)の動きを予測し、プレーの準備を整える能力が求められる。

2025年関東大学対抗戦・青山学院大学戦にて、自ら相手ディフェンスを突破しようとする野中選手(写真提供:早稲田スポーツ新聞会)
田中:個人としては、チームの最重要課題であるディフェンス面で運動量を高めていくこと。そこが自分の強みでもあるので、より一層厳しく追い求めていきたいです。あとはリーダーの一人として、どれだけ周りを巻き込んでいけるか。情熱を周りに伝播させていくことも自分の役割だと思っています。

2025年関東大学対抗戦・青山学院大学戦にて、タックルでボールキャリアーを押し戻す田中選手(写真提供:早稲田スポーツ新聞会)
憧れの大舞台で最高のプレーを!
――早慶戦、早明戦という伝統の一戦に臨むモチベーションを教えてください。
野中:小さい頃からテレビで見てきた試合ですし、お客さんの熱量も違います。そんな大舞台に自分自身が立てること、プレーできる幸せを改めて実感しますし、しっかり勝ち切らなければならない、という自覚を持っています。いつも以上に気持ちの入る試合です。
田中:自分も小さい頃から見ていた憧れの舞台であり、昨年初めてその舞台に立った時は感慨深かったです。いつもとは違った雰囲気が会場全体に流れていて、慶應義塾大学も明治大学も、早稲田に対して強い思いを持って臨んでくるので、いつもの自分たちのプレーが出しにくい。その環境下で、どれだけいつも通りの一貫したプレーを見せることができるかが、勝つためには重要になってきます。
――早慶戦は日本ラグビーの聖地である秩父宮ラグビー場で、早明戦は国立競技場での開催となります。それぞれの会場の魅力、やりがいはどんな点ですか?
野中:秩父宮は本当に観客との距離が近くて、僕らの声や選手同士がぶつかり合う音も聞こえる臨場感が醍醐味だと思います。どのくらい近いかというと、プレーしていて自分の父親の声が分かるほどです(笑)。
田中:秩父宮での試合もやりがいはありますが、昨年の早明戦で初めて満員の国立競技場でプレーした時のことはよく覚えています。スクラムを組んだ際には、本当に地面が揺れていると錯覚するほど観客の盛り上がりもすごくて、自分のラグビー人生の中でも幸せな時間でした。今年もまた、満員の観客の中で最高のプレーをしたいと思います。

2024年関東大学対抗戦・明治大学戦にて、スクラムを組む選手たち(写真提供:早稲田スポーツ新聞会)
――早慶戦、早明戦を見に来る早大生にメッセージをお願いします。
田中:ラグビーの面白さ、早稲田を応援する面白さをより多くの人に感じてもらい、非日常的な空間で大きな声を出す爽快感を体感してほしいです。
野中:やっぱり応援の力はすごく感じますし、それぞれの声援や手拍子が本当に僕たちの原動力になっています。ぜひ、大きな声での応援をお願いします!

取材・文:オグマナオト(2002年第二文学部卒業)
X:@oguman1977
撮影:布川 航太
早稲田ラグビーを熱烈トーク! 早稲田スポーツ新聞会インタビュー
早稲田スポーツ新聞会 ラグビー蹴球部担当
政治経済学部 3年 村上 結太(むらかみ・ゆうた)
スポーツ科学部 2年 大林 祐太(おおばやし・ゆうた)

左から、大林さん、村上さん。戸山キャンパス 戸山の丘にて
早稲田ラグビーの記者イチオシ! 注目選手を紹介
――取材を通して感じる2025年の早稲田ラグビーの特徴は何でしょうか?
村上:全国から集まる個性的な選手が、それぞれ個の力を発揮するところが魅力の一つ。昨年から試合に出続けているメンバーも多く、個で輝く選手たちが連携できるところが、今年のチームの強みだと思います。ディフェンスを一生懸命頑張るチームですが、今年はさらにテンポよくアタックを仕掛けていくところが、見ていて本当にワクワクします。
大林:今年のチームの魅力は、一体感。試合でもメンバー外の選手たちが観客席からスローガンである「One Shot」の掛け声をして、みんなでチームを盛り上げています。2024年度の大学選手権決勝では負けてしまいましたが、「決勝にまで進んで負けたから分かる経験もある」と大田尾竜彦監督がおっしゃっていて、その経験値が生かされていると感じます。
――試合を観戦する上で、この選手に注目すると展開が分かりやすい、というと誰でしょう?
村上:まずはチームの司令塔、スタンドオフ(SO)の服部亮太選手(スポーツ科学部2年/佐賀工業高等学校出身)です。1年生だった昨年から中心選手で、大学ラグビー界のスーパースター。最大の武器はキックで、空気抵抗を受けずに敵陣深くまで長い距離を飛ばす「スクリューキック」は、大学ラグビーのトレンドを変えてしまったほど。そしてキックだけでなく、ゲームコントロール能力も非常に高い! もはや「戦術=服部選手」と言いたくなるほどの存在感があり、パスも含めて全てのプレーが高レベル。試合中、服部選手がどこにいるか、ボールを持ったら何をするのか、追い掛けるだけでワクワクできるはずです。

2025年関東大学対抗戦・青山学院大学戦にて、鋭いステップでディフェンスをかわす服部選手(写真提供:早稲田スポーツ新聞会)
大林:前線で体を張るフォワード陣では、スクラムで最前線に立つプロップ(PR)の前田麟太朗選手(スポーツ科学部2年/桐蔭学園高等学校出身)。高校時代に全国制覇を成し遂げ、高校日本代表にも選ばれましたが、ルーキーイヤーの昨年はなかなか試合に出ることができず、苦しい期間を過ごしました。その悔しさをバネに、今年は得意のスクラムで圧倒的なパフォーマンスを見せています。スクラムを組む際は、ぜひ注目してほしい選手です。

2025年春季大会・明治大学戦にて、ラインブレイクする前田選手(写真提供:早稲田スポーツ新聞会)
村上:ダイナミックな「ザ・ラグビー」というプレーを堪能したいなら、ロック(LO)の栗田文介選手(スポーツ科学部4年/愛知県立千種高等学校出身)。早稲田のラグビー部はサイズのある選手が少ないと言われがちですが、栗田選手は身長184cm・体重102kgでとても体が大きく、誰よりも前に出てしっかり体を張ってくれる。栗田選手のぶつかり合いは衝撃音がすさまじく、観客席でも聞こえるほどです。

2025年関東大学対抗戦・筑波大学戦にて、タックラーを引きずりながらゲイン(ボールを前に運ぶ)する栗田選手(写真提供:早稲田スポーツ新聞会)
大林:体格の良さなら、新人プロップの平山風希選手(スポーツ科学部1年/大分東明高等学校出身)にも注目です。身長180cm・体重127kgの巨体なのに足が速い。爆発的な突進力・突破力があって、相手からすると一人では止められない。ボールを持って突破していく姿は壮観です。

2025年春季大会・帝京大学戦にて、力強いボールキャリーを見せる平山選手(写真提供:早稲田スポーツ新聞会)
村上:バックス陣のスピード感を堪能したいなら、一人は日本代表でも活躍するスーパースター、フルバック(FB)の矢崎由高選手(スポーツ科学部3年/桐蔭学園高等学校出身)。そしてもう一人、「早稲田の切り込み隊長」という言葉が似合うセンター(CTB)の福島秀法選手(スポーツ科学部4年/福岡県立修猷館高等学校出身)。バックスとは思えない豪快な力強いプレーが特徴的で、福島選手がボールを持って前に運ぶことから早稲田のアタックが始まっていく。相手のディフェンスを崩し、そこからのパスが起点になることが多いので、その推進力に注目です。

2025年関東大学対抗戦・立教大学戦にて、ライン際を駆け上がる矢崎選手(写真提供:早稲田スポーツ新聞会)

2025年関東大学対抗戦・筑波大学戦にて、タックラーを引きずりながらオフロードパスを狙う福島選手(写真提供:早稲田スポーツ新聞会)
バックスではもう一人、黒川和音選手(人間科学部4年/茗溪学園高等学校出身)を知っておくと、通な楽しみ方ができると思います。すごく器用な選手で、司令塔のスタンドオフもセンターもできる。パスもうまくて、タックルも強く、ボールを前に運ぶ能力も高い! どんな戦況でも、誰かがけがをしても「ベンチに黒川がいるから大丈夫」と安心できる選手で、後半の大事な局面でも黒川選手に交代すれば、チームのクオリティーを落とさずに戦うことができます。

2025年招待試合・天理大学戦にて、ラインブレイクする黒川選手(写真提供:早稲田スポーツ新聞会)
――最後に、そんな個性派集団をまとめる野中主将、田中副将の魅力も教えてください。
大林:田中副将は熱いハートと情熱を持っている人物です。「早稲田のプライド=田中のプライドであり、田中のプライド=早稲田のプライドだ」という表現をするチームメイトもいるほど。身長166cmと決して大柄ではない体で試合に出続け、フォワードとして体を張れるのも、そのプライドがあればこそ! だと思います。
村上:情熱で仲間を引っ張るのが田中副将なら、プレーで引っ張っていくのが野中主将。1年生から試合に出続けていて、僕ら早稲田スポーツ新聞会も毎年見出しに使いたくなる魅力的な選手です。田中副将は「野中が成長すれば、そのままチームの爆発的な成長にもつながる」と語っていて、インタビューをしていても、ラストイヤーにかける熱量が日増しに高まっているのが分かります。
また、プレーでは大事なプレースキックを任されており、その成功率はとても高く、グラウンドの端からでもしっかり決めてくれる。チームスローガン「One Shot」そのまま、野中選手の「One Shot」の積み重ねが大事な局面でチームを救ってくれるはずです。

戸山キャンパス 37号館2階W Spaceにて
取材・文:オグマナオト(2002年第二文学部卒業)
X:@oguman1977
試合スケジュール
【早慶戦】11月23日(日) 14時キックオフ @秩父宮ラグビー場
【早明戦】12月7日(日) 14時キックオフ @国立競技場
ラグビー蹴球部
公式Webサイト:https://www.wasedarugby.com/
X:@waseda_rugby
Instagram:@wasedarugby_1918
【公認サークル「早稲田スポーツ新聞会」】
1959年創立。早稲田大学体育各部44部の活躍を報道している、学生スポーツ新聞の先駆け的存在。取材・撮影・執筆・編集の全てを学生のみで行う。
年12回(+号外)の新聞を無料発行している他、以下のWebサイトでは試合記事を日々更新。
Webサイト:https://wasedasports-sousupo.com/
X:@waseda_sports
Instagram:@wasedasports
【次回フォーカス予告】11月24日(月)公開「オンラインカジノの注意喚起特集」






