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日本で唯一、能のワキ方のお稽古ができるサークルです

「謡」で能の世界に没頭する
「早稲田大学下懸宝生会」

文学部 4年 櫻田 純菜(さくらだ・じゅんな)

早稲田大学下懸宝生会(しもがかりほうしょうかい)は、能の流派の一つである下掛宝生流のお稽古ができる公認サークルです。普段は能楽師の大日方寛先生に、年に1度下掛宝生流お家元で人間国宝の宝生欣哉先生にお稽古をつけていただいています。

能にはシテ方・ワキ方という役があります。シテ方とは能の主役のことで、幽霊や神様など浮世離れした役を演じ、多くの場合は能面をかけています。それに対して、シテの相手役で生きている人間を演じるのがワキ方です。下懸宝生会ではこのワキ方を専門に演じていて、主に謡(能におけるせりふや歌のこと)のお稽古をしています。

ワキ方では諸国一見の僧侶や神主、武士などの役を演じますが、それらは必ず男性であり、能の最初から最後まで舞台上にいてシテと問答します。能の物語の経緯を語り、観客を能の世界に導く案内役であると同時に、自分から多くは語らないシテの話を引き出し、慰める役でもあります。プロのワキ方は男性が演じることが決められていますが、弊会のような学生のサークルでは女性もワキ方を演じることができます。

宝生能楽堂で行われた関東宝生流学生能楽連盟自演会に参加した時の写真。右端が筆者

そんなワキ方のお稽古ができる下懸宝生会の魅力は、力強く生き生きとした謡にあります。私が初めてサークルの見学に行き、先生と先輩方の謡を聞いた時、部屋全体がビリビリと震動するほどの気迫に圧倒されました。私自身は能を一度も見たことがない全くの未経験者でしたが、圧倒されたまま勢いで入会を決め、以来3年間続けてきました。普段の自分の声とは違う、幼い頃外で遊んでいたときに発していたような、癖のない本来の自分の大声を出して謡っているうちにわれを忘れ、能の中の役だけに没頭できる感覚がとても好きです。

弊会では年に4回ほど、実際に能舞台に立ちます。そのうち3回は、他大学の宝生流の能楽部の方々との合同自演会で、あとは早稲田大学大隈講堂で行われる秋季公演です。秋季公演は5つある早稲田大学の全能楽サークル合同で行うもので、シテ方と一緒に演じます。2024年には実際の衣装を着て、大隈講堂のステージに設置した能舞台に立ちました。

写真左:筆者が大隈講堂での秋季公演で半能(前半を省略し、後半だけを演じる能)『敦盛』のワキ、熊谷次郎直実役を務めた時の一枚。序盤、直実が名乗りを上げ、「一の谷に下って敦盛を弔おうと思う」というせりふを謡っている場面です
写真右:秋季公演の出番直前の一枚。中央が大日方先生

衣装の重みと緊張もあって足がしびれて大変でしたが、そんな中でもじっと我慢してシテの話を聞き続けるうちに、シテが満足して消えていく場面で、役として「やり遂げた」感覚を全身で得られたことが非常に印象に残っています。先生から、ワキ方は「耐えて許して慰める」役だと日頃教えていただいたことを実感できたような気がしました。

見学はいつでもお待ちしています。未経験者はもちろん、2年生以上の方、他大学の方、留学生の方も男女問わず大歓迎です。能を通して、新たな自分に会ってみませんか?

【公認サークル情報】
サークル名:早稲田大学下懸宝生会
団体区分:同好会
サークル創設年:1948年
ジャンル:日本文化
活動日時:先生とメンバーの相談の上で決定(週に1回程度)
構成人数:約21人
活動場所:学生会館1階和室、学生会館10階E1004(他サークルと合同)
◆Instagram:@Shimohou
X:@WSimohou

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