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早稲田の杜を巣立つ皆さんへ 各学術院長・学校長からの贈る言葉【2024年度卒業記念号】

撮影:布川 航太

2025年3月に早稲田大学を卒業・修了する皆さんへ、各学術院長・学校長からのメッセージを贈ります。これらの言葉を胸に、夢に向かって歩んでください。

歴史とは、現在と過去の間の終わりのない対話である(E.H.カー)

政治経済学術院長
鎮目 雅人(しずめ・まさと)

この言葉は、歴史家E.H.カーの著作『歴史とは何か』の一節です。さらにカーは、歴史とは、現在の先にある未来と過去との対話でもあると述べています。われわれの社会は、地球環境問題、世界的な地政学上の変化や格差拡大とポピュリズムの台頭やリベラル・デモクラシーの後退、日本での少子化による人口減少など、さまざまな課題を抱え、現在を生きるわれわれの行動が将来を創るのです。先人たちの日々の営みが人類の歴史を創ってきたことを思い起こし、虚心坦懐(きょしんたんかい)に過去に学びつつ、自らの力で新たな歴史の一ページを創ってください。

Next One!

法学学術院長
田村 達久(たむら・たつひさ)

誰(画家ピカソか、喜劇王チャップリンか)の言葉であるかはともかく、あなたの最高傑作は何か、との問いかけへの回答が、「Next One!(次回作!)」であったといわれる。現状に満足せず、さらなる高みを目指すとの心持ちを表現した言葉だ。皆さんが今まさに飛び出さんとする日本の経済社会はイノベーションを声高に求める。これを成功させるには新たなものを積極的に取り入れるという心構え、すなわち、進取の精神が大切ではなかろうか。この精神を涵養(かんよう)された皆さんのいっそうの活躍を願い、この言葉を贈る。

「大事は軽く、小事は重く」(鍋島 直茂)

文学学術院長
柳澤 明(やなぎさわ・あきら)

「座右の銘」というほどではありませんが、いつの頃からか、この言葉がよく頭に浮かびます。佐賀藩の藩祖鍋島直茂の言葉だということですが、本来の意味はよく知りません。ただ、大きな決断を迫られたとき、あまり悩んでも結局正解は分からないことが多いので、深く考えずに直観に従う方が、かえって良い結果を招くこともあるようです。逆に、一見どうでもいいような小さな事こそ、よく考えて慎重に判断するのが大切だと思います。そうした日常の小さな積み重ねが、大事にぶつかったときの直観を培ってくれるのではないでしょうか。

立ち寄り一見せばやと思ひ候(世阿弥)

教育・総合科学学術院長
箸本 健二(はしもと・けんじ)

立ち寄って一目見たいものだ。旅する僧の好奇心に満ちた台詞(せりふ)は、夢幻能の冒頭にしばしば登場します。歌枕、古戦場、花の名所…名所古跡を「一見せばや」と訪ねる僧の姿は現代のコンテンツ・ツーリズムとも重なります。僧の訪問は、里人(主人公の化身)による故事来歴の紹介、僧による主人公の回向を経て、いにしえの装束をまとった主人公の霊が回向を謝して舞を披露する、夢幻能特有の世界へと広がりを見せます。思いがけない、そして豊かな出会いのチャンスともなる「一見せばや」という好奇心をどうぞ大切にしてください。

至人は行を留めず(荘子)

商学学術院長
横山 将義(よこやま・まさのり)

これは荘子の言葉であり、創意工夫による前進の必要性を説くものと解されています。パンデミックから続くパラダイムシフトの中、皆さんが立ち向かう新たな社会では変革が余儀なくされ、既成概念にとらわれることなく行動することが求められます。これからはおそらく trial and error の繰り返し、場合によっては error and error の繰り返しになるかもしれません。学生生活の中で培った知的探求心を活用し、未知の世界を楽しみながら自らの可能性に挑戦してみてください。皆さんのご活躍を心よりお祈りします。

アイデアの良い人は世の中にたくさんいるが、良いと思ったアイデアを実行する勇気のある人は少ない(盛田 昭夫)

理工学術院長
戸川 望(とがわ・のぞむ)

ソニーの創業者、盛田昭夫の言葉です。「やろうと思えば、いつでもできる」、「やればできる」と言う人が社会には大勢います。やろうと思えばできることと、実際にやることは大きく異なります。社会の海原に旅立ち、そこで一歩を踏み出す勇気が必要なのです。どんなに小さなことでもいいので、勇気を持って一歩を踏み出してください。そこには想像もしなかったような、輝かしく期待に満ちあふれた新たな世界が待っていると思います。卒業・修了する皆さんが、これから世界のありとあらゆる場所で大いに活躍することを期待しています。

I always listen to what I can leave out.
「いつも何を省けるかを聴いている」

社会科学総合学術院長
佐藤 洋一(さとう・よういち)

情報の海、人の渦の中で、泳いでいく。そのためにはそぎ落とすことが必要だ。ジャズの巨匠マイルス・デイヴィスは、ある時期冗舌な表現から、音を減らす方向へとかじを切った。必要なのは、そぎ落とし、大切なものを際立たせること。だがそのためにはよく聴き、真髄を理解しなければならない。AIは無限の情報を提供し、SNSのフィードは絶え間なく流れ続ける。アルゴリズムが推奨し、検索エンジンが答えを示す。しかし、それは本当に「あなたの音」か? よく聴け。そして削れ。余白の中に、あなたの音は響く。

ジンカで培った力を社会へ

人間科学学術院長
扇原 淳(おおぎはら・あつし)

皆さんが人間科学部・人間科学研究科で学んできたことには、人がどのように考え、感じ、行動し、他者や自然、世界と関わるのかという「人間科学」の深い学びが息づいています。皆さんはその視点を持ちながら、well-beingな社会の実現に向けて、多様な価値観や立場の違いを受け入れ、課題解決の糸口を見いだし、対話を通じて行動する力を培ってきました。緑あふれる自然に恵まれたトコキャン、ジンカで身に付けた「俯瞰(ふかん)する力」で、社会に貢献し大いに活躍されることを期待しています。皆さんの未来が希望と挑戦に満ちたものとなるよう、心から応援しています。

自分ができること以上のことに挑戦しなければ、成長はない(ラルフ・エマーソン)

スポーツ科学学術院長
松岡 宏高(まつおか・ひろたか)

“Unless you try to do something beyond what you have already mastered, you will never grow.”(Emerson)皆さんは大学生活の中で、それまで自分ができなかったことに数多く挑戦したことと思います。だから、成長できたのではないでしょうか。ただし、ここで止まらないでください。これからも、やったことのないこと、できないこと、小さくても構わないので新たなチャレンジを続けてください。そして、それを達成したときの喜びを感じ続けてください。卒業してからも、皆さんには成長する可能性が大いにあります。

Festina lente.

国際学術院長
稲葉 知士(いなば・さとし)

ローマの初代皇帝アウグストゥスが座右の銘にしていた言葉で、ローマ語で「ゆっくり急げ」という意味です。現在、世界は一瞬たりとも未来を予測することが困難な状況にあります。早稲田大学での学びを生かし、多様な国の価値観を理解し、自分のえり好みの判断を超えた地球上に生きる1人の人間として、自分が社会に対して良いと思うことは、「できるだけ早く着手し慎重に」実践してください。いろいろな人と出会って大いに議論し、自分と仲間の可能性を信じ、世界に貢献するリーダーとして、ご活躍を期待しています。

解剖台の上のミシンと蝙蝠(こうもり)傘の偶然の出会いのように美しい(ロートレアモン)

芸術学校長
宮本 佳明(みやもと・かつひろ)

ロートレアモンの『マルドロールの歌』に収められた有名な一節です。異質なものの出会いに美を見いだす姿勢は、シュルレアリストたちに大きな影響を与えました。それは美術の世界にとどまらず、私たちを取り巻く風景にも当てはまります。全てが計画し尽くされた都市よりも、偶然できてしまった妙な交差点や地形に惹かれることがないでしょうか。人生もまたしかり。異物との予期せぬ出会いの中にこそ、豊かな気付きがあることが多いものです。皆さんも自ら異質な他者と相まみえることで、豊かな人生を切り拓いて行ってください。

早大生のための学生部公式Webマガジン『早稲田ウィークリー』。授業期間中の平日は毎日更新!活躍している早大生・卒業生の紹介やサークル・ワセメシ情報などを発信しています。

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