6月1日(土)・2日(日)は神宮球場へ!

安部磯雄記念野球場にて。(写真左から)印出選手、藤田マネージャー、吉納選手
2023年秋季の東京六大学野球リーグ戦では、両校共にリーグ優勝を懸ける試合となった早慶戦で負け、ライバル・慶應義塾大学が歓喜する姿を目の前にするという悔しい思いをした早稲田大学野球部。その雪辱を果たすべくスタートした2024年春季リーグ戦。チームは2020年秋以来、7季ぶりのリーグ優勝を狙える好位置に着けています。今回は、同じ愛知県の野球強豪校出身でもある、主将の印出太一選手と副将の吉納翼選手にリーグ優勝に懸ける意気込みなどを聞きました。また、早稲田大学野球部史上初の女性マネージャー、藤田南さんにも早慶戦に対する思いをインタビュー。注目の早慶戦、ぜひ神宮球場に足を運んで応援を!
※取材は2024年5月2日に行いました。
殻を破って迎える、優勝を目指す早慶戦
スポーツ科学部 4年 印出 太一(いんで・たいち) 主将・捕手 中京大学附属中京高等学校出身
スポーツ科学部 4年 吉納 翼(よしのう・つばさ) 副将・外野手 東邦高等学校出身
――今季のチームカラー、特徴は何でしょうか?

早慶戦では慶應のエース、外丸投手を打ち崩したいと言う印出選手
印出:昨季もリーグ戦を経験したメンバーが多く残っていることもあり、経験値があることが一つ。その経験値を武器に、チーム全体として「粘り」があるのが今年の強みだと思います。
吉納:加えるならば「団結力」もある。良い意味で上下関係が無いというか、学年関係無しにコミュニケーションが取れる。その団結力もチームに粘り強さを生んでいると思います。
――実際、リーグ戦序盤の立教大学戦、明治大学戦は第3戦までもつれながら勝ち点を挙げました。明治大学からは5季ぶりの勝ち点です。
印出:確かに、1勝1敗でもつれた後「しっかり3戦目に勝つ」ことが最近の早稲田の課題で、なかなか勝ち切れない状態がずっと続いてきました。でも、今年ようやく殻を破れた。勝ち点獲得以上に大きな一歩だったと思います。
――自身の成績、状態はどうでしょうか?

早慶戦はチーム一丸、大学一丸となって戦わないといけないと言う吉納選手
印出:今季は4番を任されていますが、やっぱり結果を残さなければいけない立場です。その意味では現状にまだまだ満足していません。早慶戦でピークが来るように、もっと上を目指していきたいです。
吉納:自分は明治大学戦の3戦目まで思うようなバッティングができず、「自分がもっと打てたらチームがもっと楽に勝てたのに」と反省しきりです。早稲田で主軸を打っている以上は、結果を残さなければいけないという使命感もあります。それを重圧と思わず、この経験ができることがうれしい、という気持ちで臨みたいです。
――お互いの特徴やリーダーシップはどう評価しますか?
印出:吉納の魅力は、やっぱり打撃力。バッティングに懸ける思い、練習に取り組む姿勢は、同期だけでなく下級生にも刺激になっていますし、行動で示すタイプのリーダーだと思います。
吉納:印出は、もちろん主将としてチームをまとめてくれていますが、同時にキャッチャーとして投手陣も引っ張っていく立場です。元々「俺が俺が」と突き進むよりもさまざまなことに気を配ってくれるので、より負担も大きいはず。リードに専念してもらうためにも、印出がチームのことを気に掛けなくてもいいくらいに、自分が視野を広くチームの状況を見ていきたい。自分自身としても成長しなきゃいけない部分だと思っています。
2024年春季リーグ東京大学戦2回戦で満塁本塁打を放った印出選手(左)と、明治大学戦3回戦で安打を放ちガッツポーズをする吉納選手(右)(写真提供:早稲田スポーツ新聞会)
――投手陣が奮闘していますが、実際にリードしていて感じることは?
印出: 今年3年生ながら早稲田のエースナンバー「11」を背負うのが伊藤樹(スポーツ科学部)です。入学直後からリーグ戦で投げてきた実績がありますが、樹が今年に懸ける思いはキャッチャーとしてボールを受けていても感じる部分があります。特に明治大学戦での延長11回147球完封勝利は、樹の覚悟を感じるピッチングでした。下級生がここまで頑張っているから、自分たち4年も負けていられない! という気持ちがあります。
吉納:樹のテンポのいいピッチングは攻撃のリズムにもつながります。試合をしっかり作ってくれるので、あとは野手陣が頑張るだけです。

2024年春季リーグ明治大学戦3回戦で、延長11回完封勝利を収めた伊藤選手(写真提供:早稲田スポーツ新聞会)
――その野手陣では、1番を打つ尾瀬雄大選手(スポーツ科学部3年)、2番の山縣秀選手(商学部4年)が首位打者争いを演じる好調ぶりです。野手陣の状態はどうでしょう?
印出:尾瀬、山縣が積極的に塁に出てくれることで得点につながります。3、4番を打つ自分と吉納に仕事が回ってくる機会が増えるので頼もしいです。
吉納:最終的に3、4人はベストナインを受賞できるチームこそが強いと思っていて。その意味でも尾瀬、山縣の活躍はうれしいですが、自分も打撃成績で負けるつもりはないので、彼らを追い抜けるようにしっかり頑張っていきたいです。
2024年春季リーグ東京大学戦で、それぞれ安打を放ちチャンスを演出した尾瀬選手(左)と、山縣選手(右)(写真提供:早稲田大学野球部)
――リーグ戦最終週は早慶戦です。どんな思いがありますか?
印出:早慶戦はやっぱり特別な一戦です。一つのアウト、一つのヒットで球場が半分に割れるような盛り上がりを見せるあの雰囲気は早慶戦でしか味わえないもの。そんな環境でプレーできるのは当たり前のことじゃないと本当に感じます。
吉納:印出が言うように、一つのプレーに対しての注目度、球場の雰囲気は、自分の野球人生の中でも経験したことのないものです。だからこそ、負けたときの悔しさは非常に大きい。今年こそ慶應を倒して優勝したいという思いでいっぱいです。
印出:僕らの代はまだ1度も優勝できていません。後輩たちに優勝という経験を残して卒業したいと思っているので、何としても上級生として、キャプテンとして、チームを引っ張り上げていきたいです。
――球場に応援に来る早大生へメッセージをお願いします。
印出:早慶戦は「自分は早大生だ」と感じられる1番のイベントだと思っています。早稲田と慶應のプライドがぶつかり合う様子を神宮球場で体感してほしいです。
吉納:試合に出ているのは9人ですが、ベンチ入りするメンバー25人、そしてスタンドにいる野球部員も全員で戦っています。学生の皆さんも「応援」という形で一緒に戦っていただければ、これほどうれしく頼もしいことは無いです。ぜひ、神宮球場に来てください!

色紙写真:「一莖(主将)がしっかりすることで九穂(早稲田大学野球部員)も付いて来るという意味。」(印出)。「グラウンドではどんな状況でも冷静に、そして堂々とプレーするという意味を込めて。」(吉納)。どちらも元野球部の徳武定祐さん(1961年商学部卒、元打撃コーチ)から新チーム立ち上げ時にいただいた言葉だそう
球場アナウンスでも早慶戦での優勝を後押ししたい
人間科学部 4年 藤田 南(ふじた・みなみ) マネージャー 開智高等学校出身
――1年生の時、早稲田大学野球部120年の歴史で初の女性マネージャーとして話題になった藤田さんも最終学年を迎えました。
現役の野球部のメンバーはもちろん、たくさんの先輩方にも支えられてやってこれたのですが、最近は「もう4年生になったの?」と驚かれます。気にしていただいてありがたいなと思うとともに、自分でも本当にあっという間だったなと感じています。
――マネージャーとして、普段はどんな業務で野球部を支えていますか?

神宮球場のアナウンス室にて
マネージャーの仕事は主に会計と広報業務に分かれていて、私は広報を担当しています。取材の対応もあれば、各種SNSの管理も私の仕事です。私が入部したばかりの頃は、野球部のInstagramのフォロワー数は5,000人ほどでしたが、動画投稿を増やすなど投稿内容を工夫して最近1万人に到達しました。「あの投稿見たよ」と言ってもらえることも増えてきて、野球部のことを知ってもらえる機会が多くなったかなと実感しています。
また、東京六大学野球の試合では球場アナウンスも担当しています。先攻チームのマネージャーが担当することになっているので、春の早慶戦では第2戦で担当する予定です。アナウンスでも選手を後押しできたらいいなと、「頑張れ」という気持ちも込めて選手の名前をコールしたいですね。
昨年の秋の早慶戦では、早稲田が勝てば優勝、という試合で球場アナウンスを担当しました。もし優勝すれば閉会式でもアナウンスを担当するはずでしたが、結果的には慶應に敗れ、優勝を許すことになってしまいました。今年の早慶戦こそ、優勝試合と閉会式の両方で球場アナウンスを担当することができたら、これ以上うれしいことはありません。
――いよいよ最終学年で迎える春の早慶戦です。
早稲田を選んだ身としては、早慶戦で勝って大学日本一になる、という目標があります。私は6~7歳のとき、早稲田出身の祖父に連れられて初めて神宮球場で早慶戦を観戦して、そこから早慶戦への憧れが始まりました。高校生のときも、早大野球部員として早慶戦を迎えることは「無理かもしれないな」と迷いつつも、「目指すことに意味がある」と努力を重ねてきました。だからこそ、ついにここまで来たんだ、と感慨深いです。
1年生のときは、練習開始の2時間前にグラウンドに来て練習の準備をする必要があったため、毎朝4時起きの日々でとても大変だったことを覚えています。早稲田の野球部は一般入試組もスポーツ推薦入試組も、将来的にマネージャーを志望する者も、最初は全員が同じ仕事をするのが伝統です。同期と一緒にいる時間も自然と長くなるので、それが今の団結力につながっているのかなと思います。
そうした仕事だけでなく、練習での真剣な姿も、自主練での大変な様子も、普段の面白い素顔もこれまでたくさん見てきたので、全員の努力が報われて優勝してほしいです。

2023年の練習最終日、同期との集合写真。後列右端が藤田さん
取材・文:オグマナオト(2002年第二文学部卒業)
X:@oguman1977
撮影:石垣 星児
東京六大学野球2024年春季リーグ・早慶戦の試合概要とチケット販売について
【試合日時】
◆1回戦:6月1日(土)13:00~
◆2回戦:6月2日(日)13:00~
※雨天順延
※2回戦までで勝ち点が決まらない場合には月曜以降に続けて試合
【会場】
明治神宮野球場
【チケット販売】
早慶戦のチケットについては、以下のように販売されます。各日、販売枚数が上限に達した時点で販売終了となります。
◆内野席(全席指定):前売りのみで、プレイガイド3社(チケットぴあ、ローソンチケット、イープラス)にて販売
◆第2内野席・外野席(自由席):当日券のみで、神宮球場にて販売
◆一般・学生応援席(内野・外野):早稲田大学生活協同組合店舗(早稲田キャンパス・戸山キャンパス・西早稲田キャンパス・所沢キャンパス)にて5月30日(木)まで販売。学生応援席購入時には学生証の提示をお願いします。内野・外野の選択はできません。学生応援席500円、一般応援席1,000円。
※5/27(月)時点で早稲田大学生協販売分のチケットは完売しました。
詳細は、一般社団法人東京六大学野球連盟のWebサイトをご確認ください。
【ライブ配信】
以下の方法で全試合ライブ配信動画の視聴が可能です。
◆インターネットサービス「BIG6.TV」
【早稲田大学野球部】
・Webサイト:http://www.wasedabbc.org/
・X:@wasedabbc1901
・Instagram:@waseda_baseball
【東京六大学野球連盟】
・Webサイト:http://www.big6.gr.jp/index.php
・早稲田大学野球部ブログ:http://tokyo6s.com/blog/waseda/
【公認サークル「早稲田スポーツ新聞会」】
1959年創立。早稲田大学体育各部44部の活躍を報道している、学生スポーツ新聞の先駆け的存在。取材・撮影・執筆・編集の全てを学生のみで行う。年12回(+号外)の新聞を無料発行しているほか、Webサイトでは試合記事を日々更新。
X:@waseda_sports
Instagram:@wasedasports
【次回フォーカス予告】6月3日(月)公開「キャリア特集」