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早大生起業家・小池伶佳が目指すのは「自分らしさを愛せる世界」

「人に何かを与えられる存在になりたい」

法学部 3年 小池 伶佳(こいけ・れいか)

アントレプレナーシップセンター(早稲田キャンパス 19‐3号館)にて

YouTubeのメイク動画を見やすくするアプリ「ビーユー」の開発・運営を行う、株式会社Cinderelaxの代表取締役を務める小池伶佳さん。早稲田大学主催のビジネスコンテストで最高評価を受賞したことが起業のきっかけの一つだと話します。「自分らしさを愛せる世界」をつくりたいという思いで会社運営に奔走している小池さんに、起業に興味を持ち始めたきっかけや「ビーユー」、会社のメンバーのこと、そして今後の展望などを聞きました。

――起業に興味を持ち始めた経緯を教えてください。

浪人期間に心のバランスが崩れてしまった経験があり、「カウンセリングサービスを通して、同じように苦しむ多くの人を救いたい」と大学入学前から思っていたんです。サービスを提供するために起業を、と考えたときに、法学と商学の両方の知識が必要だと判断。法学は必修科目を履修することで学びを深め、商学は他学部聴講などで身に付けようと、早稲田大学法学部に進学しました。

――実際に早稲田に入学していかがでしたか。

学部の授業はボチボチ受ける感じになっていますが(笑)、起業について実践的に学べる「ビジネス・クリエーションコース」(GEC設置プログラム)の授業を受けたのが大きな転機になりました。最初は「カウンセリングサービスをつくりたい」というフワッとした気持ちだったのが、学んでいく中で新しいことに挑戦する楽しさ、起業家として生きる人生に面白さを感じるようになったんです。

恩師の朝日先生との一枚

また、朝日透先生(理工学術院教授)や東出浩教先生(商学学術院教授)、井上智治先生(GEC講師)などたくさんの恩師にも出会えました。各授業で毎回最初に手を挙げていたら、その行動力が先生方の目に留まったようで。「君は面白いから起業に向いてるよ!」と言われることが増えました。

そうした自身の気付きや先生方の後押しもあり、カウンセリングサービスにこだわらず、実際に何かで起業をしたいという方向性に変わりました。

――入学から起業までの間に出場した多くのビジネスコンテストでは、何度も優勝を果たしています。中でも印象に残っているものについて教えてください。

2つあります。1つは2022年に出場した、日本最大級のピッチコンテスト(※)である「Rocket Pitch Night」。ここで優勝したことで、虎ノ門ヒルズの中にあるオフィスを借りることができ、いろいろな方にお会いする機会が増えたんです。その中には投資家の方々もいらっしゃって、今も続く人的ネットワークの形成の足掛かりになりました。

2つ目は、同年に出場した早稲田大学主催の「WASEDA-EDGEギャップファンド・プロジェクト」です。これは、アイデアの事業化に興味がある早大生や研究者を対象としたコンテストで、かねてから考えていたビジネスモデルを提案し、最高評価をいただくことができました。このときの資金を基に、Cinderelaxを起業することになったのですが、創業メンバーとこのコンテストに参加できたことも非常に大きかったですね。例えば、現在CFO(最高財務責任者)的な立場としてCinderealaxに参画している細谷は、大学の授業で出会い、一緒に出場したメンバーの一人です。

(※)創業したばかりや成長期にあるスタートアップや起業家が、投資家などに対し、自らの事業に関するプレゼンテーションを行い、ビジネスでのマッチングなどを行うイベントのこと。

2023年、ビジネスコンテスト「WASEDA-EDGE Demo Day」で発表している様子

――創業したCinderelaxでは、どんなミッションを掲げて事業に取り組んでいるのですか。

ミッションに掲げているのは「自分らしさを愛せる世界を創る」。私は元々、自分のことがあまり好きではなく自己肯定感が低かったのですが、メイクをする時間は自分のことが好きになれて。なぜだろうと考えたときに、メイクは自分らしさに向き合えるだけでなく、それを自由に表現できるものだからだと気が付いたんです。私がメイクをすることで自分を愛せるようになったように、自分らしさを何らかの形で愛せる人を増やしたいと強く思い、会社の指針にしています。

振り返ると、私が入学前に目指していたカウンセリングサービスの構想も、「多くの人を救いたい」という思いがベースにありました。提供するサービスは違うけれど、今の会社のミッションとも根本ではつながっているように思います。

――現在のCinderelaxの事業は「ビーユー」の運営ですが、これはどのようなアプリなのでしょう。

「ビーユー」はYouTube上のトレンドのメイク動画を集め、革新的に見やすくしたアプリです。具体的には、全ての動画の下に「ベースメイク」「ファンデーション」「目」など、メイク過程のボタンを配置していて、ワンタップで見たいシーンへ飛び、気になるメイク場面だけを見られます。シーンごとの保存も可能です。さらに過程ボタンの下には、動画に登場するコスメを一覧で掲載。それをクリックするとパーソナルカラーごとのお勧めや販売サイトへのリンク、他のYoutuberの使用例なども表示され、メイクの幅が広がること間違いなしです。

今話題のメイク動画を多く掲載しているので、どんなメイク動画を見れば良いのか分からないという初心者の方にもお勧めですし、気になった商品はアプリからそのまま購入できるので、メイク動画の視聴からコスメの検索・購入までをワンストップで行えるアプリともいえます。

アプリのイメージ画像(クリックして拡大)

今後は、よりパーソナル化に重きを置いた機能を搭載していきたいと考えています。顔のタイプを診断し、それを踏まえた提案をするなど、きれいに見せるためだけのメイクではなく、その人らしい魅力を伝えていくことをお手伝いしていく予定です。

「早稲田祭2023」では、著名人らに「ビーユー」の魅力を発信してもらうイベントを開催した。板野友美さん(左)やROLANDさん(右)との一枚

――会社を経営するにあたり、大変なことも多いと思いますが、どのように乗り越えてきましたか?

やはりメンバーの支えが大きいです。物事の考え方や得意分野が一人一人異なるので、それぞれが自分の強みを生かすことで会社が成り立っています。私が精神的につらかったとき、励ましてくれることはもちろん、一つ一つの作業に責任を持って向き合うよう促してくれたり、時には厳しい言葉も掛けてくれたりしました。だめなときにはだめと言ってくれるメンバーには本当に感謝していますし、いつも救われています。

Cinderelaxのメンバーと。メンバーの多様さが面白いと言われることが多いそう。左奥が小池さん

――今後の目標をお願いします。

会社としての目標は、自分らしさを大切にする人を増やすべく、まずは皆さんに「ビーユー」を知ってもらい、使ってもらえたらと思います。今後はメイク事業を中心に展開する予定ですが、特許申請済みのYouTubeでの「クリックして見たい場面に飛ぶ機能」を生かし、スポーツや料理など、さまざまなコンテンツの動画でサービスを拡大しても面白いのではと考えています。メイク以外の分野でも「自分らしさを愛せる」世界を創れたらうれしいです。

個人的には、人格を高めたいと思っています。「会社は社長の器以上には大きくならない」と多くの社長から教えていただいたのですが、それを肌で感じることが最近増えましたし、実際、決断力や責任感を持っているような人に会社のメンバーは付いてくると思います。そして、人に何かを与えられる人にこそ、巡り巡って報いが返ってくるはず。大学1、2年生のときは人から与えてもらってばかりだったのですが、“give-and-give”の言葉の通り、未熟ながらも人に何かを与えられる存在になりたいです。

第861回

取材・文・撮影:早稲田ウィークリーレポーター(SJC学生スタッフ
教育学部 2年 渡辺 詩乃

【プロフィール】

神奈川県出身。洗足学園高等学校卒業。株式会社Cinderelaxの代表取締役。新しいことや変わったことをするのがとにかく好きで、これまでに忍者体験やバーの店長、射撃に挑戦したことがあるそう。「やりたいことをやってみるのは意外と簡単。早大生の皆さんも、勇気を出して最初の一歩をぜひ踏み出してほしいです」(小池さん)

◆Cinderelax Webサイト:https://www.cinderelax.com/
◆Instagram(小池さん個人):@reika_koike

早大生のための学生部公式Webマガジン『早稲田ウィークリー』。授業期間中の平日は毎日更新!活躍している早大生・卒業生の紹介やサークル・ワセメシ情報などを発信しています。

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