「幅広い世代に愛される芸人を目指したい」
文化構想学部 4年 友田 オレ(ともだ・おれ)

所属するGATE株式会社の事務所にて
朝日放送テレビが主催する『ABCお笑いグランプリ』は、若手芸人の登竜門の一つとも言われています。2023年7月に行われた第44回の決勝戦に出場した友田オレさんは現役早大生。早稲田大学の公認サークル「お笑い工房LUDO」(以下、LUDO)でお笑いを始め、現在はGATE株式会社に所属し、多数のメディアにも出演しています。ピン芸人として独特なリズムネタとシュールな世界観で人気を集める友田さんに、お笑いを始めたきっかけから芸人としての活動、そして大学での学生生活について聞きました。
――芸人を目指したきっかけを教えてください。
小学生のときからお笑いが大好きで、『M-1グランプリ』(朝日放送テレビ・テレビ朝日系列)や『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ系列)などのお笑い番組を毎回楽しみに見ていました。その頃、両親の携帯電話を使って、報道番組で声に加工が加えられた犯罪者などちょっと変わったモノマネ動画を自分で撮ってみたりもしていましたね(笑)。その後、高校の文化祭で初めて人前で漫才を披露して、目の前にいた観客の皆さんが笑ってくれたのがとてもうれしくて。もっとお笑いをやってみたいと思うようになりました。
高校卒業後は上京したいという思いを漠然と持っていたので、東京の大学のお笑いサークルを調べてみたところ、早稲田大学にはLUDOというとても大きな規模のサークルがあることを知りました。早稲田に入れば上京もできるし多くの仲間とお笑いをすることができる! と受験勉強のモチベーションになったんです。高校のクラスメートはみんな国立大を目指している中、自分はLUDOに入ることだけを目指し、早稲田一筋でしたね。ただ、入学してお笑いを始めた当初、卒業後は民間企業に就職するつもりだったので、事務所に所属して仕事にするまでになるとは思いませんでした。

高校の文化祭で漫才を披露したときの写真。マイクの前にいるのが友田さん
――「お笑い工房LUDO」ではどのような活動をしていますか。
今はピンで活動していますが、このサークルに入会した1年生のときは、コンビを組んで漫才をしていました。私がボケをやりたかったので、サンドイッチマンの伊達さんのようにビシッとした突っ込みができる人と組みたい、とサークル内で呼び掛けたところ、ある先輩が手を挙げてくれました。その人と話してみると、体はムキムキなのに、とても寡黙でおとなしい性格という突っ込みキャラとは程遠い性格で(笑)。その相方が卒業するまでの約1年間、漫才をするのがとても楽しかったですね。その後はコンビを組む機会はなく、今のようにピンで活動するようになりました。
サークル内には本気で芸人を目指している人も多く、いい距離感で切磋琢磨(せっさたくま)しながら応援し合える仲間がたくさんできたと思います。今でも活動場所の学生会館には毎日のように通い、ネタの見せ合いをしています。サークル内のライブやイベントにも積極的に参加していますね。
写真左:2021年、以前組んでいた相方とサークルの同期ライブで漫才をしている様子。右が友田さん
写真右:LUDOのメンバーと、22歳以下限定のお笑いバトルライブに出演したときの写真。後列右から2人目が友田さん
――『ABCお笑いグランプリ』では順調に勝ち進み、決勝戦に進出。その様子や芸人生活について教えてください。
決勝戦を迎えるまでの日々はいつもの自分を舞台上で出せるように、「自分の置かれている状況は別にすごくない」「特別ではない」と過度におごらないように、とにかく自己暗示をかけ気持ちを落ち着かせていました。前日は緊張で寝られないとよく聞きますが、この自己暗示のおかげで、びっくりするぐらいぐっすり眠ることができたんです(笑)。あまりにも落ち着きすぎていたので、このままでは良くないと思い、とにかく楽しもう! と当日は気持ちを切り替え、気合を入れ直して臨みました。
『 ABCお笑いグランプリ』の決勝戦で披露したネタ「どうにかできたはず」。独特なメロディーとセリフが忘れられず、口ずさんでしまう人続出のネタ。

出場した『ABCお笑いグランプリ』決勝戦の出番直前の写真
最近はテレビをはじめ、いろいろな媒体に呼んでいただく機会も増えていますが、「大学生であること」は大きなメリットになっています。メディアに出ている現役大学生芸人は珍しいので、最初は勝手に疎外感を抱くこともありましたが、いざ芸人仲間で話してみると高校を卒業してすぐに芸人になった人もいて、実は自分と年齢が近い人もいるし、年上でも分け隔てなく関わってくれる人も多いです。大学生、そして早大生であることは、若さを直接的に示すことにもつながっていますし、芸人としてアイデンティティーの一つになっていますね。来年で「早大生」と名乗れなくなってしまうことは少し残念です(笑)。
――友田さんのネタの「推しポイント」を教えてください。
『 ABCお笑いグランプリ』で披露したネタ「どうにかできたはず」のように「耳なじみの良さ」を意識してネタを作っています。リズムネタを多く持っているので、耳で聞いているだけでもクスッと笑えるところがいいところだと自負しています。ライブに度々来てくださる方は、私と同世代の方が多いです。自分のYouTubeにも動画をさまざまアップしていますが、子どもから大人までより多くの方に楽しんでもらえるネタを考えていきたいですね。

トレードマークのえんじ色のシャツは早稲田を意識したわけではなく、たまたまだそう
――大学ではどんなことを学んでいますか。
学際的な学びができるという文化構想学部の特長を生かして、さまざまな分野の授業を履修しています。多様な授業を受けること自体が、自分の視野を広げることにつながっていると思います。先生方の学問に対する考え方とか、授業で学んだ知識などが、新しいネタを考えるきっかけになることもあります。なので、日々たくさんのお笑いライブに出演させてもらっていながらも、学業をおろそかにせず授業はしっかり受けるように心掛けています。

学生会館にあるサークルの部室にて
――今後の目標を教えてください。
「幅広い世代に愛される芸人」になることが一番の目標です。今はライブにもたくさん呼んでいただいていますが、他にもバラエティー番組やドラマなどにも出演してみたいと思っています。直近での目標は、「大食い番組」に出演すること(笑)。自分ではかなりの大食いだと思っているのですが、胃袋が衰える前の若いうちに挑戦したいです。
第856回
取材・文:早稲田ウィークリーレポーター(SJC学生スタッフ)
人間科学部 4年 佐藤 里咲
撮影:布川 航太
【プロフィール】
福岡県出身。久留米大学附設高等学校卒業。GATE株式会社所属。マイブームはNetflixで配信されているドラマ『ブレイキング・バット』を見ること。お勧めのワセメシは「近江熟成醤油ラーメン 十二分屋」。早稲田周辺でのトレンドとは違った、さっぱりしたしょうゆ味が気に入っているそう。
◆X(旧Twitter):@tomoda_crodango
◆YouTube:https://www.youtube.com/@tomoda_crodango/featured
◆所属事務所公式プロフィール

2022年に初めて行った初の単独ライブにて