早大アスリート特集第7回目は、J2のアルビレックス新潟に所属する男子サッカーの小島亨介選手(2019年スポーツ科学部卒)です。ア式蹴球部に所属していた頃から世代別代表の正GK(レギュラーのゴールキーパー、以下GK)としてプレーし、昨年にはサッカー男子日本代表A代表にも選出されました。また今年1月に行われた東京五輪アジア最終予選(AFC U-23選手権)ではチームキャプテンを務め、東京五輪での活躍も期待されます。今回は小島選手に、早稲田大学で得た学びや直近の目標、オリンピックへの意気込みなどを伺いました。
サッカーを始めたきっかけ
――サッカーを始めたきっかけを教えてください
小学生のころ何かスポーツをやりたいと思っていた時に、ちょうど日韓W杯があり、それをみてサッカーを始めようと思いました。
――なぜGKのポジションについたのですか
本格的に始めたのは中学1年生の時です。小学6年生のときに学校内のチームではフィールド(フィールドプレイヤー。キーパー以外のプレイヤーのこと)とキーパーどちらもやっていましたが、選抜のチームではキーパーを引き受けていました。キーパーが楽しかったので隙間時間の昼休憩を使って友達と練習していました。そういったことを繰り返すうちに、所属していたチームのコーチが「キーパーやってみるか」と言ってくださり、本格的に始めることになりました。
早稲田で得たこと
――名古屋グランパスU-18を経て早稲田大学に進学した理由を教えてください
トップチームに昇格できないことが決まってから、大学で勝負したいという気持ちがわきました。そこで早稲田の練習に参加しました。その時、今までにない雰囲気と、自分と向き合う環境がしっかりと作られていたのを感じ、「ここであればサッカー選手としてだけではなく人間としても成長できるな」と思いました。その時の自分に足りない部分があったので、最初は違和感がありましたが、違和感のあるところで鍛えるほうが成長できると思ったので早稲田を選びました。
――大学に進んで良かったですか
自分と向き合う時間が作れたので良かったです。自分は高校卒業のタイミングで(体の)線が今よりも細くパワーもありませんでした。まずそこを4年間で成長させたい、そして自立した選手になりたいと思っていました。キーパーコーチが毎日は来られない状況だったため、自分でトレーニングメニューを考えることになりました。その経験により、自立することができたと思います。
――同世代のプロを見て思っていた事はありますか
同世代がプロに入って、やはりプロの世界は厳しいと感じました。自分は4年間プロとしてプレーしていないので、卒業後にプロについていけるように、日々前のめりに練習に取り組みました
――早稲田大学ではどのようなことを学べましたか
勉強ではスポーツ科学部でしたので身体に関して深く学びました。大学生活では自主性が大事なので、自分の意見を人に伝える力や人の意見を踏まえてチームを動かしていく力が必要でした。そのことは「指導者が一番」である環境だと考えられないことだと思います。ただ大学であれば学生スタッフもいますし、一緒になってチームを作り上げていくというところがあるので、チームをどう動かしていくか、どう運営していくかという点を学べましたね。
――早稲田大学で影響を受けた人がいれば教えてください
多くの方に影響を受けたので、一人をあげるとしたら難しいですが、やはり同期の存在は一番大きかったです。僕らの代は岡田(優希)が主将でしたが、岡田がかなりチームを引っ張ってくれました。ただ岡田だけでなく、全員が意思を伝える事を意識していました。同期同士、仲が良かったですが、お互いに対する厳しさもありました。凄くいい同期だったと思います。
ア式蹴球部での経験と後輩への想い
――なぜ大学リーグで優勝できたと思われますか
出ている選手出ていない選手関係なく、みんなが自分の思っている事を伝えるという点でチームにいい影響を与えていました。メンバーのだれかがチームに悪い影響を与えてしまった時は注意する人もいましたので、いい循環が生まれていました。その意味で、同期に恵まれていたと感謝しています。
――いまでもア式蹴球部時代の同期とは交流がありますか
連絡は今でも取りますし、ご飯を食べに行きます。
相馬(相馬勇紀、2019年スポーツ科学部卒業、名古屋グランパス所属)は日本代表の練習でも会います。このあいだの代表(東京五輪アジア最終予選での代表メンバー)でも同じ部屋でしたが、懐かしいという感じは一切しなかったです(笑)。
――現在のア式蹴球部には注目していますか
とても注目して見ています。Twitterの速報をよく見ます。僕ら同期で一人数十秒の動画メッセージを集めて、試合前のミーティングで流してもらっています。
――今年の四年生はどのような学年だと思われますか
勢いがあるだけではなく真面目な部分もあると思うので、チームがうまく働けばかなり良い成績を挙げられるのではないかと期待しています。
さらなる飛躍へ向けて
――プロの選手としてプレーする中で、驚いたことはありますか
充実した環境には驚きました。当たり前のようですが、ご飯が朝と夜に出てくることなど。練習面は一言で言うと、質が高いです。自分の頭で考えて練習することが常に求められます。
――やはりオリンピックは意識していましたか
オリンピックはずっと意識していました。東京に決まる前からオリンピックには出たい、と思っていました。
――直近の目標があれば教えてください
直近で言えば、オリンピックで金メダルを取りたいですし、将来的に言えば日本代表としてワールドカップで試合に出場したいです。これはずっと変わらない目標です。やはり世界の大きい大会なので自分が出て活躍したいですし、サッカー選手である以上その舞台は目指さないといけないと思います。
――オリンピック直前ですが、率直にどのような思いがありますか
いよいよだなと思います。チームとして金メダルを取ることを公言しているので、自分としては試合に出て金メダル獲得に貢献したいです。まずは選ばれることを目標に、そのためには所属チームの試合で結果を残すことが必要だと思っています。
記事 :早稲田スポーツ新聞会 橋口遼太郎
カメラ :早稲田スポーツ新聞会 馬塲貴子