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【開催報告】第4回川淵三郎キャプテン企画・早稲田2020講演会(ゲスト講師:山口香氏)

本学の特命教授である川淵三郎氏がコーディネーターを務める「早稲田2020講演会」の第4回が、6月17日(月)に井深記念ホールにて開催されました。

第4回目となる今回は、ゲストスピーカーとして山口香氏がご登壇されました。山口氏はソウルオリンピックの柔道52kg級で銅メダルを獲得し、現在は筑波大学教授でありながら、日本オリンピック委員会理事、全日本柔道連盟監事など様々なスポーツ協会の役員を歴任されています。山口氏には「今までのスポーツ、これからのスポーツ」と題し、これからのスポーツのあり方についてご講演いただきました。ホールに集った体育各部の1年生を中心とした多くの学生や校友が、ともにスポーツの現在・過去・未来について考えました。

講演会は、コーディネーターである川淵三郎氏の挨拶から幕を開けました。ノーベル博士の山中伸弥教授の例を出しながら、手段と目的は異なることを説明し、「一生懸命ワークハードするのはビジョンがあってこそであり、ビジョンを追い求めて生きていくことがこれからは大切になってくる。」「そのビジョンは何か分かっていなくても、一生分からなくても、ビジョンを念頭に置いて生きていくことに価値がある」と語りました。

早稲田2020講演会(WAPアスリート講演会)のゲストスピーカーとして壇上に上がったのは、ソウルオリンピックの柔道52kg級で銅メダルを獲得し、現在は筑波大学教授である山口香氏。その活動は、教授である傍らで日本オリンピック委員会理事、全日本柔道連盟監事を努めるなど、柔道界にとどまりません。

昨年度、大学スポーツ界では、社会全体が注目するような不祥事がたくさん起こりました。そのニュースから、スポーツとは何なのかが問われ始めていると山口氏は言います。来年の東京2020オリンピック大会を前に、昔のスポーツを経験した山口氏だからこそ考えるお話をしていただきました。

これまでの日本スポーツ界を形成してきたのは、2つの要素があるといいます。まず一つ目は、柔道や剣道など「道」という言葉にもあるように、修行の要素が強く「厳しさ」が強調されてきたこと。二つ目は、1964年に開催されたオリンピックで日本チームが16個の金メダルを獲得したこと。恵まれた環境ではなくても頑張ればなんとかなるという成功体験が、私たちが今までのスポーツ観から脱せられていない原因だといいます。

スポーツ界には、「『はい』しか言わない人間が好まれる」「結果を残した人間への盲目的な信頼」「我慢や努力、根性に勝るものはない」などの習慣が今でも続いているといいます。また、「ボランティア精神で行われてきたこと」「マネタイズすることが悪」「同じ価値観や嗜好を持つ人が集まり、よそ者を排除する傾向がある」「スポーツ界の常識が現実社会から乖離している」ということも挙げられました。ご自身の体験も合わせて述べられていたため、会場からは頷く様子も見られました。

そんな山口氏はこれからのスポーツについて、「盲目的に伝統を引き継ぐのではなく、残していくべきもの、変えていくべきものを考える」「競技力向上を目指すには、僅かな差を見つけ出すopen mindが重要だ」「チームワーク(多様性)が勝利の鍵であり、分業を進めていく」「殴られ、怒鳴られてやるのではなく、自らの意思で取り組む」と4つの要素を挙げられました。社会が変わっていく中で、残していくものと変えていくものを考えなければスポーツ界だけが置いていかれてしまい、社会とスポーツ界が乖離していってしまうこと。これはこうだと決めつけて考えるのをやめるのではなく、思い込みから離れてフラットに考えてみることが大切であること。監督やコーチが全て担ってきた状況から分業を推し進め、マネージャーやトレーナーなど多様性を尊重しそれぞれの力を発揮することで組織を作っていくこと。押し付けるのはなく、自らの目標に向かってやっていくこと。全てに共通して言えることは、慣習や自らの競技について自主的に考え続けて、そして行動していくことだと感じました。

最後は、「スポーツで全てを解決できるわけではないが、解決できる部分もある。東京オリンピックが見せてくれた姿「我慢と根性」。それがその後の日本を作ってきたのかもしれないが、2020年には、私たちのオリンピックをきっかけにスポーツだけではなく日本人の考え方や日本人のあり方が変わっていくかもしれない。」「今日の話をちょっと頭に入れて、これからのスポーツのあるべき姿を考えていってもらえたら嬉しい。」と述べられました。

文章作成:早稲田スポーツ新聞会 3年 石名遥

 

<当日の様子>

開会挨拶をされる川淵氏

司会の競技スポーツセンター所長、石井教授

登壇される山口氏

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