Olympic and Paralympic Project Promotion Section早稲田大学 オリンピック・パラリンピック事業推進室

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【開催報告】第3回川淵三郎キャプテン企画・早稲田2020講演会(ゲスト講師:初瀬勇輔氏)

本学の特命教授である川淵三郎氏がコーディネーターを務める「早稲田2020講演会」が11月19日、大隈記念講堂大講堂にて開催されました。第3回目となる今回は、ゲストスピーカーとして視覚障害者柔道のパラアスリートであり、健康経営の推進や障害者雇用に関する事業を行う株式会社スタイル・エッジMEDICAL、株式会社ユニバーサルスタイル代表取締役の初瀬勇輔氏が登壇。自身の経験に基づいた障害者スポーツやパラリンピックの現状と課題などに関する講演を行いました。

講演会の冒頭で挨拶に立った川淵三郎氏は、日本のスポーツ界が欧米のプロスポーツのようにスタジアムやアリーナを中心としたエンターテインメイント産業としての成長する必要があるとし、「その発展を主導するための人材の育成が急務。早稲田大学には、その輩出という役割において関して非常に期待しています」と学生に呼びかけました。

早稲田2020講演会(WAPアスリート講演会)のゲストスピーカーとして壇上に上がったのは、視覚障害者柔道の代表選手として北京パラリンピックに出場した初瀬勇輔氏。パラアスリートの他にも、2社の会社経営者、多数のスポーツ・障害者関連団体の理事などを務め、障害者の社会進出やスポーツの発展などに向けた幅広い活動を展開しています。

初瀬氏が若年性緑内障を発症したのは19歳のとき。さらに大学2年生では左目の視力もほとんど失い「これからどんな仕事に就くことができるのか」「自分は人に迷惑をかけずに生きていけるのだろうか」と思い悩んだといいます。しかしそこから前を向くきっかけとなったのは、視覚障害者柔道との出会いだったそうです。「もともと高校生まで柔道をしていたのですが、視覚障害柔道はまた違う世界。最初は『目も見えずに戦う』ということに恐怖感がありました。しかし組手争いがなく、畳の上では平等な視覚障害柔道という競技に魅了され、障害があっても競い合うことができる喜びや自信を取り戻すことができました」と語りました。

またパラリンピアンであるという自身の立場から、2020 年の東京大会への課題を挙げ、「ロンドン大会以降、効果的なCMの効果もあってパラリンピックの観客動員や注目度が大幅にアップしました。しかしこれを一時的なブームやバブルで終わらせるのではなく、2020年後も『文化』として根付かせることが大切です。多様性を認め、障害者がある人、ない人が自然に混ざり合うことができる世界の象徴となる大会にするためにどうするのか、しっかりと方向性を定めていかなければいけません」と述べました。

「障害者は現在日本に約936万人いるといわれています。これは『マイノリティ』という数字ではありません。障害者が失った身体の機能を取り戻すことは難しいですが、それを補うシステムを考え、障害者であっても社会に貢献することができるモデルの構築を目指すこと。それが障害の有無を超えて、誰もが生きやすい世の中にするために必要なことではないでしょうか」と呼びかけた初瀬氏。「自分は早稲田の卒業生ではないですが、パラリンピックで21個のメダルを獲得した水泳の河合純一さんや、28歳でスケルトンに挑戦しソルトレイク、トリノの2大会に出場した中山英子さんという早稲田大学出身のオリンピアンとの親交から、早稲田大学のもつ多様性を大いに感じています。健常者・障害者がともに能力や特性を活かし合える、多様性豊かな世の中にするために、早大生のみなさんの活躍を期待しています」とエールを送り、約1時間の講演を締めくくりました。

質疑応答では会場の学生から多くの質問が出されました。「突然障害者となり、ゼロからのスタートを切らなければいけない状況にあって、自分を前に突き動かしたものはなにか」という質問に対しては「自分を支えてくれる家族や友人たちの存在もさることながら、視力を失ったことで自分がこれからやれることの選択肢がシンプルになったと、考えを切り替えられたのが大きかった。それで進むべき方向がはっきりした」と答え、「世界のスポーツ文化成熟という目的において、2020年東京大会はどうあるべきか」という質問には「一人でも多くの人に観客やボランティアとしてパラリンピックを体感してもらいたい。『気の毒、かわいそう』から『すごい!』というように、社会の障害者への見方が変わるきっかけになれば素晴らしい」と話し、会場からの多くの拍手を得ていました。

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