ワークショップ概要
■企業名:野村證券株式会社(以下、野村證券)
■テーマ:「大学生が考える!高校生向け金融経済教育」授業プログラム・教材(プロダクト)の共同開発
■参加学生数:10名(ワークショップ中は2チームに分かれて進行)
■活動期間:2025年1月17日(金)~2025年3月19日(水)
■公式ワークショップの回数:上記期間中、10回実施(うち1回は学生のみ)
■テーマ概要(募集要項を一部編集):
金融に関する基礎知識やプロダクト開発に必要なリサーチ等の手法を野村證券の現役社員から学ぶとともに、実際に野村證券が様々な地域の高校で提供している授業を体験しながら、金融・経済を学ぶ観点や現役学生の世代が真に必要とする知識・スキルについて議論を深めます。そして、学んだ知識やスキルを活かしながら、野村證券が日本各地域で提供する「金融経済教育」の新プロダクト・サービスの具体的な内容をチームで協働して検討します。本ワークショップでは、授業プログラムを提案するスキルを習得するだけでなく、プロダクトやサービス開発のプロセスを通じて社会で働く意義や新規事業を企画するために必要なマインド、基本スキルを身に着けることも目的としています。
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公式ワークショップ活動の様子
■テーマ伝達会【1/17】
今年度始めて導入した「テーマ伝達会」。野村證券から2名の社員の方々にご来校いただき、本ワークショップのテーマ設定の背景や、テーマに込めた思い、活動の目的や目指したいアウトプット象等をご説明いただきました。また「リサーチ」について、その重要性や手法をご教示いただき、アウトプットの質を上げるためのヒントをいただきました。学生は緊張した面持ちでしたが、集中して講義に耳を傾けており、あっという間の1時間となりました。
■第1回 オリエンテーション【2/3】
試験期間が終わり、いよいよ第1回のオリエンテーションです。オリエンテーションを皮切りにワークショップが本格的に始動します。オリエンテーションでは大学から「WSの参加にあたっての心構え」について、野村證券から「企業活動」について説明がありました。その後は参加学生全員が自己紹介を行い、お互いのバックグラウンドやパーソナリティーを共有しました。さらに、今後活動するチームの発表も行われ、オリエンテーション後半では早速チーム別にアイスブレイクを兼ねたグループワークを実施しました。これから2か月間苦楽を共にする仲間を前に、緊張しながらもワクワクしている学生の姿がありました。
- 企業説明の様子
- 付箋を用いてアイディア出し
- アイディアの共有
■第2回 高校生向け金融経済教育 授業体験【2/7】
第2回では実際に野村證券が高校生向けに提供している「金融経済教育に関する授業」を体験しました。「人生の選択肢を広げよう!自分の将来とお金の話」と題し、家計管理やライフプランニングについて学びました。実際に自分の描くライフコースを想像し、必要なお金を計算するワークシートを実践したり、金融資産の増やし方を分かり易く説明するアニメーションを見る経験は「受講者としての視点」だけでなく、これから企画を進める「教材提供者としての視点」からも新たな気付きを得るきっかけとなりました。
■第3回 株の小話から変化の読み解く/社会保障制度について 講義【2/14】
第3回では「株」を取り扱うにあったっての基本的な考え方や変化の読み解き方(決算短信、会社四季報、新聞の読み方)の講義をいただきました。また、実在する企業の株の動き方を予測・考察してみる体験も行い「自分達には何が出来るのか」を考えるだけでなく「ニュースを聞いて終わらせてはいけない」「身近な情報から周囲を取り巻く環境や影響を考える癖づけの重要性」を学ぶ機会となりました。
ワークショップの後半では「公助・共助・自助」の違いを整理しながら、社会保障制度や資産形成について確認する講義をいただきました。意外と身近にある制度、知らなかった制度、老後のことだと勝手に思い込んでいた制度等、新たに理解を深めることが出来ました。
■第4・5回 初期共有・グループワーク(プログラム構成の検討)、対面グループワーク【2/21、2/26】
第4回ワークショップは「プログラム構成の検討」というテーマのもと、チームで決めた提案の軸やその中身を自分達の言葉で言語化・文章化することをゴールとしてグループワークを実施しました。また、最後の30分では「ミニプレゼン」と題し、両チームの軸やどの様に企画を進めていく予定なのか等を発表しました。発表後は、それぞれのチーム同士で質問や感想を伝えあい、お互いが新たな気付きや刺激を得ていました。
第5回ワークショップは学生だけでグループワークを行う公式日程です。第4回ワークショップで受けたフィードバックや自主グループワークで見つけたアイディアをブラッシュアップし、中間共有会に臨むために両チームともに必死に議論・検討を進めました。
- 公式WSの様子
- 対面グループワーク
- 対面グループワーク
- 議論の経過
■第6回 中間共有プレゼン【2/28】
第6回中間共有プレゼンは野村證券株式会社大手町本社で実施しました。トレーディングフロア見学、野村ホールディングス ファイナンシャル・ウェルビーイング室 シニア・コミュニケーションズ・オフィサーの池上浩一先生による特別講義、中間共有会と盛りだくさんな3時間でしたが、どの場面も集中して臨む学生達の姿がありました。今回特別に組んでいただいた「トレーディングフロアの見学」では、サプライズで「Welcome!早稲田大学生」のサイネージを出していただきました。学生たちは大興奮!この後のプレゼンテーションにも気合が入ります。また、池上先生による特別講義は「グローバル化する世界で今、求められる人材」と題し、金融経済の知見を広げるだけでなく”これからの時代を生きてゆく「人財」として今何をすべきか”を考えるきっかけを与えていただきました。あっという間の90分間でしたが、池上先生の熱い思いが全身に伝わる時間となりました。
中間共有プレゼンでは、各チームが今まで議論してきた「What(何を提供するか)」を中心に発表を行いました。会場には野村證券の様々な部署から社員の方々に集まっていただき、金融経済教育の視点だけでなく、プレゼンの見せ方、伝え方等ありとあらゆる観点から忌憚ないご意見、ご指摘をいただきました。学生達はいただいたご意見を真摯に受け取り、何が通用したのか、何が出来ていなかったか等を整理する姿がありました。 今後はHow(Whatをどう実現するか)の検討を進める等、更に内容が具体化してゆきますが、中間共有会を一つの区切りとして乗り越え、チーム一丸となって後半戦を迎えます。
- 中間共有会の様子
- 学生からの質疑応答
- 緊張した面持ちで発表
- プロからのフィードバック
■第7回、第8回 グループワーク(プログラム作成、教材プロットの準備)【3/7、3/14】
中間共有会を終えると、最終報告会までの公式ワークショップは第7回、第8回の残り2回です。ここからのワークショップはグループワークをメインとし、中間共有会でのフィードバックを元に自分達の提案をブラッシュアップするべく議論と作業を重ねます。また、第8回ワークショップでは「プレ報告会」と称して、最終報告会を想定した報告会を実施。野村證券さんから企業視点の鋭い指摘を受けたり、プレゼンテーションのプロフェッショナルとしてスライドの見せ方や発表のテクニックをご教示いただいたりと、最後の最後まで沢山のフィードバックをいただきます。学生は自分達の提案を今一度見返し、チーム全員で考え、答えを反映するべく邁進します。
- 詳細部分まで議論を重ねる
- グループワークの様子
- アイディア出し
- 企画・構成案を検討
■第9回 最終報告会【3/19】
最終報告会は野村證券株式会社大手町本社で実施しました。今回のワークショップテーマ「「大学生が考える!高校生向け金融経済教育」授業プログラム・教材(プロダクト)の共同開発」についてプレゼンテーションと授業の実演を30分、質疑応答を15分の持ち時間でそれぞれ発表しました。
「高校生が将来お金に関する知らないことへの不安が少ない人になること」を目的として資産形成ゲーム等の手法を用いながら「気付く」「興味を持つ」「学ぶ」のパートに分けた授業構成を提案したチーム、「ウェルビーイング」に着目して「多様な選択肢から自分なりの答えを選び、豊かさを実感できる状態」を目指して講義パートとオリジナルワークシートを用いた体験パートに分けた授業構成を提案したチーム、夫々に個性と“大学生ならでは”の要素が組み込まれた集大成を報告しました。ご講評は野村證券の鳥海副社長、ファイナンシャル・ウェルビーイング室園部室長、早稲田大学須賀副総長、早稲田大阪高等学校米田先生よりいただきました。ご専門の知見からの鋭いご指摘がありながらも、お褒めの言葉や学生へのエールを沢山いただきました。
最終報告会後は、チーム毎に最終報告会とこれまでのワークショップ全体を振り返りました。これは本プログラムで一番の肝であり、重要な時間と位置付けています。これまでの自分を振り返り、また共に走ってきたチームメンバーからの他己評価を受け取って、自分の強みを見つけたり、内省したり、参加学生それぞれが自分なりの気付きを得る時間となりました。
本ワークショップを通じて見つけた気付きや学びが次の一歩に繋がることを祈っています。
- 最終報告会の様子
- プレゼンテーション
- 最終報告会の様子
- 授業の実演で講評者と交流

最終報告会を終えてWポーズで集合写真
参加者の声
- 参加学生として、プロフェッショナルと同じ時間を過ごすことができて光栄でした。現場社員と話すことはほとんどないはずなので、貴重な機会だと思います。社会に出るまえに経験して良かったと思います!(文化構想学部 2年)
- このワークショップでは、自分の役割の意義や、他者からの評価など、これまで気づかなかった新たな自分を発見する貴重な機会となりました。また、同じ大学の学生だけでなく、社会人や高校現場の関係者、企業代表といった多様な視点からフィードバックを受けられるのも、このワークショップならではの魅力だと感じました。さらに、アイデアの創出にとどまらず、議論やプレゼンテーションを通じて実践的なスキルを磨くことができ、とても有意義な時間を過ごせました。(人間科学部 2年)
企業担当者コメント
- 本ワークショップでは初めてアプローチとして、過去の先輩たちの提案を元に「具体化する」ことに取り組んでもらいました。具体的な要素は考えやすい一方で、活動目的と正対する難しさも感じてもらえたと思います。学生としての視点を盛り込み、新しい視点での提案をアウトプットしていただいたことは期待以上でした。自分、そしてチームでの活動から学んだことを、今後の学生生活にも活かしていただけることを期待します。
- 前半では意見やスタンスのすれ違いなども見られましたが、後半になるにつれ、チームが一丸となっていく様子は、さすが早大生だと感じました。チームとしてもさることながら、個々人の成長も著しく、見てる私たちも背筋が伸びる思いでした。企業担当者としてこのワークショップに携われてよかったと感じています。
- 普段私たちが提供している教育プログラムとは異なる視点で「お金の学び」につなげていくアプローチは新鮮でした。チームの中でメンバーそれぞれが自律的に役割を持って議論を進める様子に、みなさんのレベルの高さを感じました。提案を活かしながら高校生に授業を届けていきたいと思います。また、今後の皆さんの力にもなると思いますので、ぜひ「日経STOCKリーグ」への挑戦もお待ちしています
問い合わせ先
早稲田大学GCCオフィス(Office of the Global Citizenship Center)
propro@list.waseda.jp