【活動概要】
2024年度滋賀県長浜市と早稲田大学の地域連携ワークショップが終了しました。同ワークショップは昨年スタートし、今年が2回目の開催となります。長浜市の田根地区では15年以上に渡り国内外を問わず様々な大学生を受け入れてきました。「獣害」「空き家」「少子化」などの地域課題に対して、多くの大学生が田根地区を舞台に向き合ってきた一方で、大学のプログラムなどが終了すると、大学生と田根地区との結びつきが希薄になるという課題がありました。この状況を踏まえて「大学生と地域をつなぐ持続可能な仕組みを提案せよ!~田根地区を訪れた大学生が継続して関わるために必要なこととは~」というテーマが設定されました。大学生ならではの視点でこの課題を解決するべく、多数の応募者の中から選考を通過した10名の学生が5名ずつ2チームに分かれて、約2か月間活動しました。
【活動報告】
7月9日に早稲田大学にてオリエンテーション(キックオフ)を行いました。オリエンテーションには長浜市役所のご担当者様や地域おこし協力隊の方にもご参加いただき、田根地区に関するレクチャーをしていただきました。
オリエンテーションの様子
その後、7月12日に参加学生同士の仲を深めるための交流会を行い、同会の終盤にチーム分けが発表されました。多くの学生同士が初対面ということもあり、序盤はよそよそしさもありましたが、終盤にはすっかり仲良くなっていました。交流会以降はチームごとに7月29日と30日のオンラインヒアリングに向けた事前調査を行い、オンラインヒアリングに臨みました。オンラインヒアリングでは長浜市役所の方や地域おこし協力隊の方をはじめとして、田根地区にゆかりのある方々にお話を伺いました。多くの学生にとってヒアリングをする経験は初めてでしたが、事前にきちんと質問内容を整理していたこともあり、スムーズにヒアリングを行うことが出来ました。8月4日~7日にかけては田根地区にてフィールドワークを実施しました。田根地区で様々な活動をしている大学生や田根まちづくりセンターの方にヒアリングをさせていただきました。また、長浜市役所を訪問した際には浅見宣義市長にもヒアリングをさせていただき、長浜市の将来に対するお考えを伺いました。
田根地区での参加学生の様子
8月29日の中間報告会では両チームともにヒアリングや現地調査を通して得た知見を基に施策を提案しました。中間報告会にご参加いただいた長浜市役所のご担当者様や地域おこし協力隊の方からは、学生目線での提案内容に対して評価いただいた一方で、「具体的な数値目標は?」「施策の実現可能性は?」「アンケートなどは取ってみた?」など提案内容の裏付けや具体性が欠けている点に関してご指摘いただきました。中間報告会終了後に学生に感想を聞いてみると、「フィードバックを通して今一度提案を見直す必要があると強く感じた」「今まで以上にチームで協力しないと聞き手が納得する提案は出来ない」などのコメントがありました。悔しい表情を浮かべつつも、中間報告会終了後すぐにチームごとに反省会をしていたことが印象的でした。
中間報告会から9月20日の最終報告会までの期間ではそれまで以上に両チームともにメンバー同士が協力し合いながら、より良い提案を目指して議論を重ねました。そして迎えた最終報告会では、両チームともに自信をもって長浜市関係者の方々に提案をしました。浅見市長をはじめとした長浜市関係者の方々からは、「発表資料が丁寧に作り込まれている」「多くの人にヒアリングをしたことが伝わってくる内容であった」といった好意的なコメントを多数いただくことができました。
最終報告会後の記念撮影
今回のワークショップの経験を活かして、今後の学生生活や社会人生活で参加学生が活躍していくことがとても楽しみです。
参加学生の声
- 私は、地域連携ワークショップを通して、2つのことを改めて実感しました。1つ目、当たり前のことは、意外と難しいということです。例えば、合意形成をすること、自分の意見や言葉を正しく伝えること、自分が思っているよりそれは伝わっていないこと、全く別の角度から同じ物事を捉えていること、などです。これらのような当たり前のようで当たり前でないことに丁寧に向き合い、メンバー間でズレては擦り合わせていく、とても貴重な機会となりました。2つ目、周りへの感謝です。ワークショップでは様々な方々に出会いますが、その方々の支えを実感すると同時に、今自分の置かれている環境は信じられないくらい幸せなのだと感じ、周りへの感謝の気持ちがさらに強まる期間となりました。(人間科学部 2年)
- 参加して良かったと思うところは、本プログラムはチームでプロジェクトを考えるため、合意形成をすることや認識のズレを正すといった複数人いるからこその困難を乗り越えなければならない状況を数多く経験できるところ。そしてその困難を大学職員の方に気軽に相談することができる点もありがたかった。また、ゼロからプレゼンまで行うことが自身の成功体験の一つとして自信につながるかもしれない。
このようにプログラム自体にも魅力はあるが、個人的には一緒に活動したメンバーと出会えたことも大きな魅力だと思う。メンバーの長所に刺激されたり、価値観に影響されたりして自分の人生の分岐点の一つになったように感じた。 (教育学部 2年) - 今回のワークショップでは、チームで目標に向かって考え抜くことの楽しさ、難しさを実感しました。また、少しずつですが、自信をもって意見を言えるようになってきていると感じています。至らない点も多くありましたが、関係者の皆様やメンバーのおかげで充実した時間となりました。本当にありがとうございました。今回のワークショップで学んだことを今後の大学生活に生かしていきます。 (社会科学部 2年)