「一身一家一国のためのみならず、進んで世界に貢献する抱負が無ければならぬ」
これは、早稲田大学の創設者・大隈重信が創立30周年記念祝典において、本学の教旨である「模範国民の造就」について述べたものです。そして、現在の早稲田大学では、大隈の意を引継ぎ、「国民」を「地球市民」として捉えて、国籍を問わず、進んで世界に貢献する学生の育成に努めています。
2024年4月1日、「貢献の早稲田」を体現しそれを強く推進することをミッションとしたGlobal Citizenship Center(以下、GCC)が設立されました。GCCは、世界に貢献する「人間的力量」教育のデザイン、人類への貢献のビジョンを共有する「場」の構築(「貢献」を明確に意識した研究プロジェクトの推進)、誰もが早稲田の研究教育活動の成果を享受できる機会の創出(在学生のみならず校友をも対象にした人材育成の循環システムの構築)(※)など、本学の貢献ビジョンの旗振り役を担います。また150周年記念事業においては、3つのグローバルセンター構想における「貢献の早稲田」を体現する事業として位置付けられています。
なお、3つのグローバルセンターとは、早稲田大学教旨(建学の精神)である「学問の独立(研究の早稲田)」を担うGRC(Global Research Center)、「学問の活用(教育の早稲田)」を担うGEC(Global Education Center)、「模範国民の造就(貢献の早稲田)」を担うGCCを指します。
さて、「人間的力量」とは早稲田大学における人材育成の理念でありすべての「貢献」に通底する重要な力量として本学は捉えています。「人間的力量」とは『早稲田大学の卒業生が地球上のどのような地域に行っても、その地域社会の価値観を学んで、どの分野であっても、周囲の人々の幸福の実現を目指す強い意志をもち、多様な価値観や文化的背景をもった人々を一つにまとめ上げこれをリードする力量』と説明されています。人間は社会性の中で生きていますので、「貢献」とは人間にとってあたりまえのことかもしれません。人間は心のどこかで「人の助けになりたい」「社会の役に立ちたい」という気持ちがあるものです。それは、「貢献」することで他者との共感や絆が生まれ、最終的には自分自身の心が豊かになるということを知っているからです。そして、すべての「貢献」に通底する「人間的力量」の育成を明確な目的にした教育プログラムを準備し、「人間的力量」を備えた者たちが社会の様々なところでグローバルに活躍する、例えば「貢献」を明確に意識して研究を行うことで、その成果は社会に深くそして長く生き続けることが期待されます。GCCでは「人間的力量」を重要な理念として捉え、GRC、GECと連携して、上記の(※)をミッションとして「総合知による人類への貢献」を目指して参ります。
GCCのカウンターパートは教職員のみならず、在学生、校友も含みます。多くの皆様のGCCの活動への参画をお願い申し上げます。
Global Citizenship Center センター長 松居 辰則