2014年03月31日に終了しました
所長:河野 勝[こうの まさる]
政治経済学術院教授
研究テーマ
21世紀日本の社会システムの学際的研究
研究概要
グローバリゼーション、低成長、少子化など国内外の様々な試練に直面する中、日本に固有の価値理念や日本に特徴的な制度・政策がどのように持続ないし変化していくかを見極めることを通して、21世紀の日本研究を進展させることを目指す。具体的には、経済システム、社会保障、対外関係という重要かつ対照的な3つの領域に焦点を当て、日本的理念や制度・政策の発展に関する歴史分析と、それぞれがどのような圧力を受けているかという現状分析とを学際的に融合して、日本社会システムの中長期的な展望を描く。併せて、日本研究の新展開によって、人文・社会科学の諸分野における理論家への貢献も模索する。また、本学で唯一の学際的研究所である高等研究所を拠点として実施することにより、同研究所を、本学の現代日本社会研究におけるプラットフォーム、海外発信、海外交流の拠点とすることも課題とする。【具体的な成果】3領域それぞれについて、これまで日本的、あるいは日本型と言われたシステムの形成と進化の再検討を試みる。経済システム面では、1990年代以降の変化とその進化の方向に関して、米国型システムへの収斂か特性の持続かを問う論争が世界的規模で展開してきたが、この論争に対して多様性とハイブリッド化をキーワードとした見方を提示する。また、この分析によって経済成長に対する金融市場、所有構造、制度の役割、さらに、制度の内生的変化のメカニズムに関して日本の事例に即した理論的貢献が可能である。対外関係(安全保障)については、日本国憲法を中核に制度化された戦後日本の平和主義が、変容するアジアおよび世界の戦略的環境のもとでどのように適応するかを解明する。同時にそこで得られる知見は国際関係論のリアリズム、リベラリズム、コンストラクティズムという3つのパラダイムの理論的発展に新たな貢献をなしうる。さらに社会保障・福祉国家分野でも、急速な少子化およびグローバル化の圧力のもとで、日本社会に特徴的な雇用関係や社会保障制度のあり方がいかに変化するかを解明し、理論的にも国家アイデンティティ、社会階層論、資本主義の多様化(varieties of capitalism)などの関連した分野において貢献が期待できる。また、これまでそれぞれ独立に検討されてきた3つの領域間を接点に位置する問題(例えば、社会保障制度の選択と経済システム、企業の対外進出と安全保障政策の関係など)を取り上げることによって、21世紀(前半の)日本の社会システムのあり方を総合的に展望する分析が可能となる。
研究所員
河野 勝(政治経済学術院教授)
宮島 英昭(商学学術院教授)
広田 真一(商学学術院教授)
篠田 徹(社会科学総合学術院教授)
招聘研究員
山本 和也
勝間田 弘(早稲田大学アジア太平洋センター研究院助教)
齋藤 隆志(九州国際大学経済学部准教授)
飯田 健(神戸大学大学院法学研究科特命講師)
連絡先
〒169-8050
新宿区西早稲田1-6-1 早稲田大学
早稲田キャンパス9号館5階
高等研究所事務所内