2014年03月31日に終了しました
所長:上村 達男[うえむら たつお]
法学学術院教授
研究テーマ
世界の中核研究機関としての比較法研究拠点の全面的再構築を目指して
研究概要
経済のグローバル化は盛んに言われるが、それを律する法は各国の国内法である。法はグローバルではないが、失敗がもたらす被害はグローバルに及び、しかも各国の最弱者にとってもっとも大きな打撃となる。株価は回復しても失業者は増大する。グローバル化が失敗に終われば、各国ともひたすら他に先駆けて自国の国益を守るために汲々とする。金融危機のような問題はどこまでも法の問題であり、この問題を正しく把握するには各国法の比較研究という地道な姿勢を世界が共有する必要がある。世界で日本ほど比較法的センスを大事にしてきた国は稀有である。本研究は、比較法立国ともいえる日本が、その長所を最大に発揮して、表面的な条文の比較でなく、各国の社会の本質や歴史に遡った本質的な理論研究を踏まえた比較法研究を追及することで、伝統的な基礎法研究の充実とともに、もっとも先端的な問題について世界に通用する視座を確立しようとする。こうした発想は、基本的法制の欠落と同時に過酷な金融・資本主義の下で生きる発展途上国の法整備支援について、真に途上国の立場に立った法的な評価軸を提供しようという姿勢をもたらす。母国語で100年以上にわたって欧米の法律学を身につけ、比較法の習慣が定着している日本こそがこうした学問を発展させてことができる。まさに日本文化を代表する問題といえる。本研究の目的は、日本の国家としてのあり方を認識し、世界各国から真に信頼される比較法研究機関の確立を目標するものである。この問題意識は法研GCOEがその研究過程を通じて確立させてきたものであるが、GCOEの枠内に止まらない発展性のきわめて高いテーマであることから、全学重点領域研究としてより拡大されたスケールで研究活動を行い、将来的には日本を代表する研究機関として位置づけられることを展望している。各国の関係機関との連携を張り巡らし、大規模な研究交流を着実に実施する。日本のこうした姿勢は、日本および世界における世論形成に重要な役割を果たし、その故にアジア諸国からの信頼を勝ち取ることが期待できる。こうした日本のモデルは欧米が経験を過信することで忘れていた重要問題を果敢に指摘することで、欧米に対してそのまま本来の理念とあり方を逆に提示できる可能性も秘めている。また、こうした発想が日本の法律学の各分野においてその内容面での著しい飛躍をもたらすことになる。
研究所員
上村 達男(法学学術院教授)
浦川 道太郎(法学学術院教授)
近江 幸治(法学学術院教授)
加藤 哲夫(法学学術院教授)
リサーチ・アシスタント(RA)
李 淼
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