「現代ムスリム社会における風紀・暴力・統治についての多角的分析」第4回研究会(2018年1月20日開催)
◆会場:早稲田大学早稲田キャンパス3号館802号室
◆参加者:11名
◆内容:ゲスト講師として奈良雅史氏(北海道大学・准教授)、及び上原潔氏(研究構成員)による研究報告が行われた。奈良報告は、2000年代に中国雲南省の回族コミュニティで起こったアルコール排斥運動を事例に、中国のムスリム社会における風紀生成の一端を描き出すものであった。上原報告は、これまでの報告へのコメントを兼ねつつ、西洋哲学の視点から風紀の通念の生成過程を検証し、西洋社会とムスリム社会との相異について考察するものであった。質疑応答では、ソ連影響下地域との比較を通じた中国のムスリム社会のあり方や、市民の主権譲渡を前提とした社会で私刑が横行する問題や、ポピュリズムを通じたイスラーム主義への視点などについて議論がなされた。なお、予定されていた和崎聖日(研究構成員)による発表は、インフルエンザにより本人が欠席したため、概要の配布のみとなった。後日提出された報告用の資料によれば、和崎報告はウズベキスタンで、男性の出稼ぎ急増を受けて国内に残る妻の不貞が問題になっている状況について説明するものであった。