制度構築の政治経済学−期待実現社会に向けて−
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プロジェクト紹介

民主政治制度における人々の選択の主体性と満足感

活動予定・研究目標

 本研究の目的は、選挙制度をはじめとする集団意思決定において、人々はどのような条件下において、自らの個人的選択に関して責任を持ちうるのか、社会科学実験の手法を用いて明らかにすることである。
 現在世界のほとんどの国々では、人々の集団的意思決定の方法、すなわち人々の個人としての選好(決定)を社会全体の選好(決定)へと集約する方法として、民主的な決定ルールが採用されている。しかし、こうしたルールは時間的なコストや手続き上のコストといった点で必ずしも効率的な決定を導くわけではなく、また望ましい結果をもたらすわけでもない。このような理由から、しばしば民主政治は衆愚政治と同じように考えられてきた。では、民主的な決定ルールが他の決定ルール(例えば独裁制や寡頭制)よりも優れている点はあるのだろうか。
 一つの可能性として、民主的決定ルールの下では、人々の期待する結果に関わらず、人々が集団的決定の帰結を自らの選択の結果として引き受けることが挙げられる。例えば独裁者が行った政策が失敗しても、人々はその結果の責任を感じないで済む一方、民主的に決定された政策の失敗について人々は責任をより感じることになるであろう。すなわち民主的決定ルールは、つまり人々の期待を実現するべき手段として「納得のいく」制度なのである。ここで特徴的なのは、期待を実現したかどうかの「結果」ではなく、そのための「手段」が重要となる点である。
 では、このルールのいかなる特徴が個人の選択についての納得、満足をもたらすのだろうか。われわれが注目するのは人々の選択の主体性である。選択に際して、必要な情報を取得するための情報源、選択肢の数など、選択において個人の自由意思が介在する程度が大きくなればなるほど、人々は結果の如何に関わらず自分の投票に納得し、集団的決定の結果を自らの選択の結果として受け入れるであろう。この可能性を探るべく、本プロジェクトでは社会心理学の理論をもとに、いくつかの実験を行い、ひいては民主的制度の質の向上に資する知見を導き出すことを試みる。
 本年度の活動としては、アイトラッカーを利用した社会科学実験室での実験、1回ないしは2回を予定している。

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