
2012年度の活動予定・成果目標
本GCOEのテーマに密接に関連する制度選択の政治経済実験を行い、政策提言につながる新しい研究成果をまとめて、公表することが本プロジェクトの目的である。
P(1):社会的ジレンマ状況において協力行動を導くには、懲罰が効果的なことが知られている。これまで懲罰に関しては、個人的な懲罰に関する研究が主流であった。一方、現実には多くの懲罰は警察制度など、制度的に中央集権的に行われることが多い。ここでは、そのような中央集権的罰則制度において、罰則適用が絶対的基準に基づくか、相対的基準に基づくか、により人々の行動・協力度がどのように変化するか実験を用いて検証する。昨年度はその結果を分析し、学術雑誌へ投稿することができた。本年度はそこで分析された問題を制度選択の視点で再度見直し、年度早々に実験を行い、その結果を分析することである。研究の結果はG-COE終了後、早期に書籍あるいは雑誌投稿という形で公表する。
P(2):社会的ジレンマ状況に分権的懲罰あるいは報酬制度を導入することにより、協力度が変化することはすでに多くの先行研究がある。21COE-GLOPEにおける実験研究においてこの分権的制度決定のタイミングおよび選択の手続きの公平性(多数決か独裁か)についていくつかの興味深い実験結果を見ることができたが、最終的な結論は得られていない。この問題について、P(1)と関連付けながら、結果をまとめ、書籍などを通じて新しい知見を公表する。
P(3):様々な混雑状況において、皆が行列を作り秩序を保って行動する場合と我先に駆け込み混沌となる状況が生ずることがある。この状況をスタグハントゲームとして分析し、そこにおいて、様々な制度の効果を実験により測定した。さらに、電力使用量の調整に関する制度比較の実験も行った。昨年度は両実験を実施、結果をまとめることができた。本年度はその内容を学会等で報告し、議論を基に精緻化して論文としての出版に全力を尽くす。なお、この研究は世論調査やそれに付随したweb調査の結果とも関連している。最終的な結論を得るためにweb調査を他のプロジェクト共同で行う場合もある。
P(4):以上の研究は理論的には均衡選択理論、あるいはフォーカルポイントの理論と関連が深い。そこで、アイトラッカーにより、それらの理論の検証を行う。また、オークションプロジェクトあるいは世論調査プロジェクトも連携して研究を行う。
メンバーは相互に連絡を取りつつ研究を進めるが、主として、P(1)、P(2)は竹内、上條、船木、二本杉、Vesteg、P(3)はFortat、船木、Dena-Boemeont、Veszteg、P(4)は船木、日野、宇都、山崎、遠藤が担当する予定である。