
2010年度の活動予定・活動目標
21COE-GLOPEで行われてきた制度選択の政治経済実験を再検討し、GLOPE2での新たな実験(政治経済実験)を計画し、政策提言につながる新しい研究成果を得ることが本プロジェクトの目的である。なお、このプロジェクトは今年度からの新規計画となるので、他の類似プロジェクトと合併することもあり得る。
P(1):社会的ジレンマ状況において協力行動を導くには、懲罰が効果的なことが知られている。これまで懲罰に関しては、個人的な懲罰に関する研究が主流であった。一方、現実には多くの懲罰は警察制度など、制度的に中央集権的に行われることが多い。ここでは、そのような中央集権的罰則制度において、罰則適用が絶対的基準に基づくか、相対的基準に基づくか、により人々の行動・協力度がどのように変化するか実験を用いて検証する。その際、とくに、基準を多数決で選択するときどちらがより選択されるか。また。基準が外生的に与えられた場合に比べてどのように変化するかを比較検討する。
P(2):本研究は21COE-GLOPEの研究の直接的な発展研究である。社会的ジレンマ状況に分権的懲罰あるいは報酬制度を導入することにより、協力度が変化することはすでに多くの先行研究がある。21COE-GLOPEにおける実験研究においてこの分権的制度決定のタイミングおよび選択の手続きの公平性(多数決か独裁か)についていくつかの興味深い実験結果を見ることができたが、最終的な結論は得られていない。その研究を続行し、明確な結論を導くことが目的である。
P(3):様々な混雑状況において、皆が行列を作り秩序を保って行動する場合と我先に駆け込み混沌となる状況が生ずることがある。この状況を社会的ジレンマモデルを用いて分析し、そこにおいて、様々な制度(罰則、示唆など)を導入してその効果を測定する。さらに、日本とフランスの実験結果を比較し、人々の行動の文化的差異、ならびに制度の効果の差異を比較検討し、制度構築、政策提言につなげることを試みる。
P(4):以上の研究は理論的には均衡選択理論、あるいはフォーカルポイントの理論と関連が深い。そこで、アイトラッカーにより、それらの理論の検証を行う。
メンバーは相互に連絡を取りつつ研究を進めるが、主として、P(1)、P(2)は竹内、上條、船木、P(3)はFortat、船木、Denan-Boemont、P(4)は河野、船木、二本杉が担当予定である。