
2012年度の活動予定・成果目標
本年度も、昨年度に引き続き、研究メンバーを中心とする研究会を定期的に開催し、研究活動の活発化をはかる。この研究会では大学院生などによる研究報告に加え、方法論に関する先端的文献を題材とする研究会も行い、メンバー間の方法論の共有と理解の深化を目指す。さらに、計量分析と事例研究を効果的に組み合わせて先端的な研究成果を発表している研究者を講師として招き、研究交流を行うことでメンバーの研究水準の向上をはかりたい。今年度は、そうした研究をラテンアメリカ研究の分野で実践している神戸大学の高橋百合子氏、中東の民主化についての専門化である東京外国語大学の酒井啓子氏を講師として招聘する予定である。
また、今年度も昨年度に引き続き比較政治経済分科会を1回、開催する予定である。これまでの分科会では東京大学、北海道大学、名古屋大学、筑波大学、神戸大学などの他大学の大学院生が報告者として参加し、大学の垣根を越えた研究交流が生まれてきている。今年度も他大学の大学院生と共同で研究会を組織し、若手研究者にとっての比較政治経済研究の核を形成することを目指したい。また、昨年度同様、研究メンバーによる国内外での研究発表を活発に行い、研究交流をさらに進めていくと同時に、各研究メンバーの研究水準のさらなる向上をはかりたい。
本年度の活動の重要な柱として、昨年度から準備を進めてきた書籍の刊行が挙げられる。本プロジェクトは、プロジェクト全体の研究成果を形にするために、2012年度中の書籍刊行を目指している。執筆者としては本プロジェクトの研究メンバーの大学院生が中心となるが、これまでの比較政治経済分科会において研究報告を行った他大学の大学院生、若手研究者にも寄稿を呼び掛け、比較政治学の先端的研究を集めた論文集として書籍を刊行することを予定している。2012年度は、春学期中に刊行論文の草稿をプロジェクトメンバーによるワークショップや火曜セミナーで発表して内容について議論しあう場をもち、それを受けた各論文の内容修正を経て今年度中に書籍として刊行することを予定している。なお、この書籍にも論文を寄稿する予定の東島が今年度中に資料収集のための現地調査(カザフスタン、約2週間)を実施する予定である。
このように、(1)研究会を通じたメンバー間の研究報告、方法論の共有、ならびに若手研究者の比較政治経済研究のコア形成、(2)活発な研究交流、(3)書籍刊行に向けた連続研究会の開催の3点を本年度の主要な活動目標とし、世界水準の比較政治経済研究を進めていくための土台を築きたいと考えている。